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閑話 進み始める

~キャトラス軍軍刑務所所長室~


 超常の存在同士の戦闘が行われた夜から2日後の昼前。

 軍刑務所の副所長が呼び出された所長室にて、その部屋の主に詰問されていた。


ダンッ!


「もう一度聞く。

 何故実弾を使用させた?」


 質問に対し煮え切らない態度を取る副所長の雄に、所長は拳を執務机に叩き付け威圧した後、再度同じ質問を繰り返す。


「ひぇっ!

 指示です、当官は上からの指示に従っただけで

 すぅ!」


 元風紀粛清部隊から叩き上げの所長の威圧に、家柄によるコネで座った副所長は震え上がって答えた。


「貴様、上からと言ったな?」


 所長は副所長の発言に確認を取る。


「そうです!

 だから当官に意図を問われましても…」


 言質を取られたことに気が付かない副所長は、何とか責任を逃れようと必死だ。


「黙れっ、これは重大な問題だ!」


 軍刑務所は軍に附属する施設である。

 また職員のほとんどが軍から推薦され、政府の当該機関から承認された者である。

 とはいえ組織体系としては軍から独立しており、副所長の上の役職は所長しかないのである。

 そして所長は「服役者の制圧の為の実弾使用の指示」など一切出していないのである。

 つまり副所長は所長を飛び越えて、外部からの指示に従ったということになる。

 権限の独立を維持せねばならない刑務所において、その事実はキャトラスの法令に真っ向から違反していることを指し、民間に露見した場合現政府に対しての不信を招くことになってしまう。


(かと言って隠蔽などしようものならば、軍の存続が

 危ぶまれる事態に発展する可能性もある。)


 軍には現在、「終戦の英雄」の収監に対して市民の抗議が殺到しているという。

 そこに「(法を犯した)外部の指示により、収監中の英雄を標的とする暗殺事件が発生」となれば…。


「副所長、貴様を拘束する。

 “上”とやらの話をたっぷり聞かせて貰おう。」


 そのような事態を引き起こさない為には、早急に詳細の解明と関わった者達への厳罰が必要である。


「なっ、いくら所長と言えど私にそのようなことをし

 てただで済むとお思いか!?」


 事態の深刻さを理解出来ない愚か者が、こともあろうに所長を脅す始末である。


「はっ、逆に私に何か有れば調査が楽になるであろう

 な?」


 天晴れなことに事が起こるまで覚られない綿密であった計画も、所長の排除というイレギュラーを捻り込んだらボロが必ず出る。


「なっ…!?」


 事態収集の為自らの身を掛ける覚悟を示す所長に、理解不能なものを見る目を向ける副所長。


「監査官、連れて行け。」


「「はっ!」」


 万が一の可能性を考え待機させていた監査官二名が副所長を拘束する。


「離せっ、私にはバレル家の伝がある!

 貴様ら木っ端兵士などどうとでも!

 おいっ、聞いているのかキサむぐっ…!?」


「それでは、失礼します。」


「ご苦労であった。」


ガチャン


「……。」

(バレル家か…、確か小将階級に…。

 所属派閥は…。)


 静かになった執務室。

 そこで所長は副所長の残した手掛かりを、軍の諜報部へとリークするべく動き始めた。





















~惑星キャトラス某所~


 惑星キャトラス、都市から遠く離れた山中。

 ひっそりと建てられた庵にて、未だ衰えぬ筋肉を纏った大柄の老雄と、場所に似つかわぬ糊の効いた燕尾服を着た老雄が茶を飲み交わしていた。


「…む。」


 山の自然が発てる音意外が聞こえぬ静かな茶会は、大柄な老雄が発した声により終了した。


「どうか致しましたか?」


 自らの用意した茶に、何か不備があったかと問う燕尾服の老雄。


「いや…。」

(この気配は、弟子と…何者だ?)


 言葉少なに否定し、思考の海に潜る大柄な老雄。


「……時が動いたのでしょうか…。」


 その様子に、何かを感じた燕尾服の老雄。


「全く…、随分と怠け者の弟子だ。」


 呆れたと言う言葉だが、その声音には喜色が表れている。


「ええ、何十年待った事か忘れてしまいました。」


 実際は年数どころか日数すら覚えているが、大柄な老雄に合わせ冗談を言う燕尾服の老雄。


「……何故あの時動かなかった?」


 唐突に真面目な雰囲気で語る大柄な老雄。


「主が望みませんでしたので。」


 なんてことも無いように答える燕尾服の老雄。


「職を辞しておいて、か…。

 忠義者だよ、お前さんは。」


「確かにフォレスト家は辞させていただきましたが、

 若の侍従を辞した覚えはありませんな。」


「耄碌して忘れただけではないか?

 あの時から何十年経った?」


「あいや、これは一本取られました。」


「抜かせ、わざと仕向けたくせに良く言う。」


「相手を愉しませる話術も嗜み故。」


「その他も錆び付いてはおらぬだろうな?」


「勿論ですとも。

 若がフォレスト家にお戻りになられたら使えねば。」


「その時は儂も馬鹿弟子に発破を掛けるとしよう。」


「「わはははは!」」


 片田舎の山中、木霊する二人の老雄の笑い声。

 フォレスト(森 王)の正当なる継承者の帰還は近い。

次回は来週更新予定です


いつも読んでいただきありがとうございます。


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