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数日ぶりの投稿です。


ズジャッ…


 意趣返しに、無防備な鳩尾に一撃を入れると、膝をから崩れ落ちる(ジャクソン)


「「「おおっ!?」」」


 意識が朦朧としながらも膝を地面につくに留まった爺に、見物のゴロツキ共がどよめく。


「…っ!」


 決着がついたと見て審判代わりの看守が駆け寄る素振りを見せたが、私は視線でその場に留まるよう伝え、構えて待つ。


「?…。」


 戦闘態勢を解かない私に、看守はよく分かっていないながらも何かを感じたらしくその場に留まった。


(『……ねえ、マル。』)


(「待つにゃ、もう少しだけ。」)


 非難するように私を呼ぶシアを宥めながら、意識は膝立状態で頭を垂れる爺に向いている。

 ピコの元同期が言っていた話が本当であるなら“それ”は出てくるだろう。


ズズ…ッ


(「来た!」)

(『っ、マルッ!?』)


 異常な魔力の高まり。

 私と同時にそれを感じ取ったシアが、「何してんの!?」と言った具合に私を呼ぶ。

 ジャクソンがその身に宿すものの力を闘気術としていることは理解していても、まさか目覚めさせられる程とは思っていなかったらしい。

 そうこうしている内に魔力はジャクソンを中心に高まり収束していき、


ドンッ!!


 集積した魔力が圧縮された際に発生する衝撃が、運動場の土を巻き上げジャクソンの姿を隠す。


「「「うわあぁぁっ!」」」


 遅れて届いた衝撃が、見物の何名かを転倒させた。


ジリッ


 殺気を伴う鋭い視線が私に突き刺さる。


ボッ!


「ふっ!」


 反射的に右の拳を全力で振り抜く。


ガンッ!


 おおよそ生体から出ないであろう、岩塊同士をぶつけたような硬質な音が響く。


「グウゥゥッ…!」


 野獣そのものの唸り声を発し、止まった拳を押し込もうとするジャクソンの身体を操るモノ。


「久しぶりだにゃ、森王?

 あの時の決着つけるにゃ!」


 遥か昔、手勢を率いた天虎に負ける前の話。

 寄り代がなく存在が不安定であったマルコシアスは、森王との闘いの途中で顕現出来なくなった。


「ガアァッ、貴様あのときの!?」


 返答など必要のない、自身に言い聞かせる言葉に反応が返って来た。 

 吼えていたジャクソンが言葉を発したのだ。


「おっと、まさかそこまで起きてたにゃ?」


 話を聞く限りでは、爺の潜在意識が森王の影響を受けて力を行使する暴走状態だと思っていた。


(「まあ、都合が良いにゃ!」)


 本能的な闘い方をする暴走状態は御し易い。

 勝敗を重視する者なら不都合と言うだろうが、そんなことで勝利してもつまらない。

 押し返すように強化の出力を上げる。


「ウオオォッ!」


 対抗するようにジャクソン(森王)も出力を上げてくる。


バヂンッ!


 拮抗していた魔力バランスが乱れ、強烈な反発力に変化して両者を弾く。

 

スタッ

ザリッ


 不意に弾かれたことでバランスを崩すも、転倒するような間抜けを晒すわけは無い。


「ふむ…?」


 とりあえず現状の魔力出力限界は互角。

 他の勝負の衰盛を決する主な要素は体格や練度といったものになる。

 逆に言うと、ある程度の体格や練度といった要素を覆すのが魔力出力なのだ。

 そして不利なことに、ピコ()ジャクソン(森王)では体格が倍近く差がある。

 魔力で防御していたにもかかわらずピコが一撃で気絶したことから、そのアドバンテージの大きさが伺えるだろう。


(「格闘の練度もほぼ互角…。」)


 遥か昔、獣の姿でやりあった際はあまり器用でなかったと記憶しているが…。


(『私たちと同じじゃない?』)


 これまで黙っていたシアが発言する。

 私の気が散らないように配慮してくれていたようだが、私が思考している余裕が出来たとみて参入してきたらしい。


(『だってマルと私で一柱(ひとつ)でしょ?』)


(「…頼りになるにゃ。」)


 第三者の冷静に俯瞰した視点の話で、私と森王の決定的な違いを確信した。

 本当に頼りになるセコンドである。


(「そうと決まれば…!」)


タンッ!


 睨み合いの状況から主導権を握るために飛び掛かる。


「無駄だっ!」


スパンッ!


 これまでの打ち合いでジャクソンの扱う武術が“待ち”寄りであることは把握した。


タッ、トンッ、スパンッ!

タッ、トンッ、スパンッ!


 それならそれで構わない。

 寧ろ好きに仕掛けることが出来る。


タタンッ…、スパッ!


 ジャクソン(森王)の周りを跳び周り、時折フェイントを混ぜて打撃を加えていく。


スパンッ、スパンッ、スパンッ!


 打つ、打つ、打つ。


スパパパパッ…!


 打撃の強化の魔力を足の強化に回してまでひたすらに打ち込む。


「ぐっ、ぬうぅっ…!」


 威力はほぼ無いに等しいだろうが、一方的に攻撃を加えられているという認識は負担になる。

 加速した打ち込みを捌き切れなくなったジャクソン(森王)が遂に音を上げる。


「無駄だと分からんのかぁ!」


ブォンッ!


 大声と大きく振られた腕。


パアァンッ!


「っ!」


 振られた腕の勢いで速度が完全に殺された。


トン…


「捕まえたぞ!」


 地面に足をついた私に、ジャクソン(森王)がもう片方の拳を振るい、


グラリ


 体勢を崩した。


「ぬぅ!?」


 予想だにしない自らの失態にジャクソン(森王)は困惑の声を上げた。

 そしてその隙は私が待っていたものである。

 万が一に備えた防御の魔力を拳に籠める。


ドッ!


「うらあぁぁっ!」


ドスッ…


 強化された足で踏み込み、突き出した拳はジャクソンの鍛えられた腹筋に埋まる。


…パアアァァンッ!!


 現状最大の一撃。

 その衝撃はジャクソンの身体を吹き飛ばすことはない。

 しかし透過した衝撃が発する音から察せられるダメージは、確実にジャクソンに与えられた。


「ごっ、おぉぉ…。」


 森王のミスはジャクソンの身体を自身の感覚で扱おうとしたこと。

 ジャクソンの会得した武術を扱うまでは良かったのだろうが、借り物の身体に慣れていないことは着地時の音で分かった。

 つまりだ、森王は寄り代の体格と技術に胡座をかいたことが敗因なのだ。

 


 





 




 

いつも読んでいただきありがとうございます。


私事ですが、最近仕事が忙しく執筆の時間が取れていません。

元々趣味で書き始めたものなので、今後は時間が空いた時にのんびり執筆していこうと思います。

今後ともぜひよろしくお願いします。


よろしければ、作者のモチベーションアップのため

ブックマーク、☆評価、いいね等、

よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

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