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ダンス・ウィズ・ウーズ 5

 首飾りから紅玉を一つ外したジェノは、怪物に向かって放り投げる。その紅玉は怪物の表皮に触れると、火球となり爆発する。銀色の液体は今までになく大きくうねるが、すぐに元通りになった。


「どう?」


 レリーに訊かれたジェノは渋い表情で頭を振った。


「ダメですね。不本意ながら、魅了も恐怖も試してみましたけど全く効く気がしませんね。まあ、そもそも目があるかどうかも分からない相手に効く訳ないんですし、ウーズだったら絶対に効きませんしね」


 その口調は少々投げやりだ。


「だからウーズじゃないし」

「ウーズじゃないにしても、あいつに精神なんて高尚な物あるんですかね?人の心を抉ったり、人の心を抉ったり、人の心を抉ったりするしか能のない私では、もうどうしようもないです」


 完全にお手上げと言った感じのジェノ。レリーにしたところでそれは変わらない。


「……逃げますか」


 ポツリと言ったジェノの言葉に、レリーの表情が険しいものになる。


「この程度なら私一人で足止め出来ます。レリー達はその隙に皆を連れて逃げてくれれば……」


 そう言うジェノだが、歯切れが悪い。


「この程度、ならね……」


 森に入った時から感じている脅威の根源は、この怪物で間違いないだろう。傷を負わせられない敵というのは厄介だ。だが、今のところ傷を負わせれられてもいない。感じていた驚異の割には、手応えがない。二人の不安はそこにあった。


「そうなんですけどね。とは言え、このままだとジリ貧なのは間違いないですし、何より子供達がもたないでしょう」


 マリエラに守られてる上に直接的な攻撃の対象になっている訳ではないアンと子供達だが、怪物の脅威に晒されている事に変わりはない。そのプレッシャーにいつ耐えられなくなってもおかしくはない。


「……仕方ないか」


 ジェノの言う通り、今のところ打開策は思いつかない。それならば、全員に余力のある間に撤退するのも一つの手だ。


「それじゃ、気を付けてね」


 レリーはジェノに声をかけ、マリエラに撤退の指示を出しつつ自らも後退の準備を始める。


「はいはい。それじゃ、もう一働きするとしますか」


 ジェノは軽い感じで応えると、またもや怪物に斬りかかっていった。

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