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ダンス・ウィズ・ウーズ 3

 ひとしきり怪物に攻撃を加えたジェノがレリーの元に戻ってくる。息一つ乱していないが、その表情は苦々しい。


「どう?」

「いや、全然ダメですね。全く通ってる気がしません。ウーズの方がよっぽど斬れますね」


 お手上げという風に肩を竦めて見せるジェノ。


「だからウーズじゃないって言ってるし。じゃあ、次は魔法かな」


 レリーは小さな呟きと共に両手に球形のエネルギー弾を生み出すと、怪物へ向けて放つ。それに併せてジェノも同じような魔法を放った。

 エネルギー弾は次々と怪物の表皮で弾け、銀の液体を波立たせる。次々とエネルギー弾を放っていく二人だったが、表皮の波が大きくなるだけでダメージがあるように思えない。


「むー」


 悔しそうな声を出すレリー。


「次は顔に当てるから、ジェノはそこ斬って」


 最早駄々っ子の言い草であるが、ジェノは苦笑いしながらそれに応じる。


「あれが顔ならですけどね」


 剣を構え、レリーの魔法のタイミングを計る。

 レリーが再びエネルギー弾を放つ。それは狙い違わず顔の中央で弾け、同時にジェノがスッと間合いを詰めそこへ切りかかる。

 次の瞬間、怪物の顔の下部がパカッと裂け、ジェノに噛みつこうと襲い掛かってきた。


「うそっ」


 慌てて身を捻りその攻撃を躱したジェノは、勢い余って地面を転がる。怪物はそこを狙って両の前足で次々と踏みつけようとしてくる。


「レリー!」

「ごめん。まさかそんな事になるとは思わなかった」


 地面を転げまわりながらその足を避け続けるジェノは、やり場のない怒りをレリーにぶつけようとするが、取り付く島もない。当のレリーは小刻みに肩を揺らし笑いをかみ殺しながら、その様子を見ているだけだ。


「口があるという事が分かっただけでもおっけー」


 全ての攻撃を避けきったジェノが、一旦距離を取り態勢を立て直す。


「全く、レリーが余計な事を言うから……」


 ボヤキながらも油断なく怪物の様子を伺う。口を閉じた怪物の顔は、再び銀の液体に覆われ元の状態へと戻っていた。


「口って一か所かな」


 レリーの言葉にジェノはうんざりした口調で答えた。


「さあ、どうでしょうかね。試してみたらどうです?」

「うん、そうする」


 レリーはそう言うとまたエネルギー弾を作り出した。


「今度は上目に当てるから、ジェノも上の方斬ってね」

「は?いやいや、次は自分で斬ったらいいじゃないですか」

「もう、魔法準備しちゃった」

「普通に撃てばいいでしょ。その後に私が魔法撃って、レリーが斬りかかればいいだけの話じゃないですか」


 ジェノが抗議するが、レリーには最初から聞く気が無い。


「じゃ、よろしく」


 そう言って魔法を放つ。


「あー、もー」


 ジェノも仕方なく怪物に斬りかかっていった。

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