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パニック・ハウス 1
威嚇の咆哮と共に入口の扉を激しく殴る音がする。
少し居眠りかけていた京平は、その音に体を震わせ、目を覚ました。
「くそ、まだ諦めないのかよ」
割れた窓から差し込む月明りで辺りを確認する。横で死んだように眠っていたシスターと子供達も、目を覚まし不安げに顔を見合わせている。
玄関の扉を破ろうと激しく叩き続けているのは、シスター達を追っていた怪物だ。二階にいてもその激しさが判るほどで、音が鳴るたびに子供達に怯えの表情が走る。建物自体は石造りで、玄関扉も頑丈そうな一枚岩だった。そう簡単に破られるとは思えないが、破られない保証もない。
追い返せるなら追い返しておきたい。
京平は三人に隠れているよう声をかけ、足元に置いていたクロスボウを手にすると、痛む体を引きずるようにしてバルコニーへと走り出した。




