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今さら言えない異世界ガチャの秘密 4

「ご納得いただけましたか?」

「ご納得いただいたかどうかは微妙な所だけどさ」

「っ!なんとっ!」


 穂波の冷たい言葉に、大仰に肩を落とす神。


「琵琶湖の神の世界がピックアップされてたのは、まあいいわ。何となく分かる。でもね、昨日の世界は意味分かんないんだけど」


 自らの使徒を売り込みたかったであろう琵琶湖の神の世界に対し、昨日の世界は何を目的としてピックアップされたのか皆目見当もつかない。


「そう言われましてもねぇ。わたくしは提携先からのご要望に従って、粛々とピックアップするのみですし」

「『おねリン』の主催者だって言うんなら、相手の世界がどんな世界なのか少しくらい精査してよ」

「勿論、本転生していただく際には、相手先の世界についての詳細な資料を作成させていただいた上で、転生のあれやこれやを決めさせていただく所存でございますが。仮転生は仮転生ですからねぇ。世の中に数多ある世界のありのままを体験していただく、という意味ではわざわざ精査する必要もないのかな、と」

「面倒くさがってるだけでしょ」

「ま、その辺りはご想像にお任せします」


 わざとらしい笑顔でわざとらしく頭を掻いて見せる神に、穂波もわざとらしく大きなため息をついて見せた。今に始まった事ではないが、『おねリン』のシステムについて神と話すのは本当に疲れる。


「因みに、昨日のピックアップは差し詰め《魅惑のハンティングワールド》とでも言ったところでしょうか。残念ながら誰も引かれませんでしたが、あのクプヌヌが居る世界もピックアップされていたのですよ」

「その誰しもがクプヌヌを知ってる前提で話すの、やめてくれないかな」


 事あるごとに聞かされるクプヌヌの名だが、穂波にとっては未だに謎の生物だ。


「おや、穂波さんはクプヌヌご存じない?」


 神がそう煽ると、穂波は忌々し気な表情を見せ、顔を背けてしまった。


「他にどんな世界がピックアップされてたか知らないけど、どう考えても俺達が狩られる側の世界だよね」


 聖がポツリと呟いた言わずもがなの感想に、京平が面白くなさそうに付け加えた。


「生きのいいエサでも欲しかったんだろ」

「とんでもねぇ話だな」

「何を仰います、京平さん。そんな厳しい世界でも鋼の意志を持って生き抜く、そんな強靭な心身を持つ転生者を求めているのかもしれないではありませんか!」


 神が調子良く口を挟むと、京平は僅かに顔を歪めた。


「確かに、向こうの世界のニーズに合った転生者が欲しいなら、それはそれで有りか……」


 現世にもリアルに巨大生物を狩ってみたいと思う人間がいるかもしれない。そんな人間にしてみれば、是非とも転生してみたい世界と言えよう。自分なら絶対に御免だが。


「ま、本当かどうかは知りませんけどね」


 最後に無責任な一言を付け加えた神だったが、どうせそんな事だろうと思っていた三人は無反応だ。その事に少し残念そうな素振りを見せた神だったが、すぐに気を取り直し言葉を続ける。

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