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Bad Will Hunting 13

「で、初期装備を貰えなかった京平はどうする?何か取り出していく?」


 プレゼントボックスには太郎坊兼光がもう一振りと謎のちょっといい剣がある。


「初期装備の件はいいんだよ。ま、今回の目的は調査だから、とりあえず無しで行こう。それに、俺の攻撃なんて期待されない程度らしいしな」


 徒手空拳というのは不安だが、聖のように誰かに戦い方を学んだわけではない。下手に戦いに加わっても、かえって聖の邪魔になりかねない。


「必要になったらその時に取り出すよ」


 神が気付くタイミング次第な面はあるが、頼めばすぐに手元にやってくるのだ。今取り出すメリットは無い。


「そっか。じゃあ、そうならないように俺が頑張るよ。何せ俺は……」

「『聖騎士王(パラディンおう)』になる男、でしょ」

「お、おう……」


 勢いよく剣を掲げて宣言しようとした聖だったが、穂波に台詞を取られ肩透かしを食らった格好になった。


「期待してるわよ」

「任せとけ」


 だが、すぐに気を取り直し拳を突き上げて見せた。


「二人共、ちゃんと帰ってきてよ。か弱い乙女を一人取り残すとか、絶対やめてよね」


 その言葉に反射的に顔を見合わせかけた京平達だったが、慌てて何事もなかったかのような表情を作る。


「……何か言いたそうじゃん」


 だが、既に遅かったらしく穂波から詰問されてしまった。


「別に大したことじゃない……んだけど……」


 穂波が向けてくる鋭い視線の圧に、早々と白旗を上げる聖。京平が余計な事を言うなとプレッシャーをかけてくるが、穂波からの比ではなく効果はない。


「師匠もそうなんだけど、あんまりか弱くない人に限って自分の事をか弱いって言うよなって、思ったり思わなかったり……」


 台詞が進むにつれ鋭くなっていく穂波の視線に反比例するかのように、聖の声は小さくなっていき最後は誰も聞き取れない位になってしまう。横では予想通りの状況に京平が肩を落としている。


「……帰ってきたら正座ね」

「……はい」


 諦めたように頷く聖達。


「ちゃんと正座する為に帰ってきなさいよ」

「……はい」


 正座はともかく、穂波なりに心配してくれているのは間違いないだろう。


「じゃ、じゃあ、そろそろ行ってくる。これ以上、正座案件が増えても困るし」


 事態を悪化させないように話を終わらせにかかった京平の言葉に、聖も大袈裟に頷いて同意を示した。


「……気を付けてね」


 穂波もそれ以上は追及しようとはせず、軽く手を振って二人を送り出そうとする。その視界の端に例の冒険セットが映り込んだ。調理道具や保存食等、中を確認をした際に取り出した品の一部がそのまま出しっ放しになっている。二人が探検している間に片付けないと、と思った穂波だったが、ふとある事を思いついた。

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