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Bad Will Hunting 2

 エフィとの出会いの翌日。彼女からのアドバイスを胸に新たな気持ちで『おねリン』へと臨んだ三人。だが、バラバラに異世界ガチャを回したにもかかわらず、同じ世界の同じ場所へと転生したのだ。

 だだっ広い平原で顔を見知った顔に出くわした三人。この時点で嫌な予感がしない訳でもなかったが、転生してしまったものは仕方がない。そう気を取り直すと同時にいつものように神の声が聞こえてくる。だが、告げられたのはワールドクエストでは無かった。


「さて、本来ならばここでワールドクエストの発表といきたいところなのですが。なんとなんと、この世界では初期装備を貰えてしまうんですねぇ」

「初期装備?」


 初出の単語に疑問符を浮かべる三人。


「ええ、ええ、そうですそうです。片手剣と盾のセットか大剣、もしくは双剣、或いは斧、槍、弓、弩、大槌。この中からお好きなものを一つ選んでください。いやぁ、わたくしのように太っ腹な神様も居る所には居るものですねぇ」


 暢気に宣う神であったが、京平の表情は晴れない。


「あんたが太っ腹かどうかは置いておくとして……貰える装備って全部武器じゃねぇか」

「いいじゃないですか、武器。そう言うのお好きでしょ?」

「好きとかそう言う話をしてるんじゃないんだよ。裏を返せば、最初っから武器の一つも渡しておかないと危ない世界って事だろうが」

「えー?そうですかねぇ……」


 京平の抗議に白々しい声で答えた神は、そのままワールドクエストを告げた。その内容は、薬草を採取しろだの、肉を焼けだの、危険とは程遠い物にも思える。だが……


「……その厨二っぽさ爆発の報酬は何だ?」

「爆轟大斬斧ですか?これはまあ、斧って字が入ってますから斧なんじゃないですか?それとも灼炎灰燼鎗の方ですか?これは槍ですかねぇ」

「何で肉焼いたり薬草採ったりした程度で、そんな物騒な名前の武器が手に入るんだよ!どう考えたっておかしいだろうが!」


 淡々と答える神に京平が声を荒げる。だが、そんな事で動じるような神ではない。


「因みに鳳翔煉獄弩は弩でしょうね」

「まあ、この流れで《ど》って言われたら、そりゃ弩だろうさ」

「そうですか?もしかしたら土という可能性だって考えられるんじゃないですか?腐葉土の仲間みたいな土」


 神渾身の小ボケも三人には響かない。


「初期装備で武器必須な世界で、土貰ってどうしろって言うんだよ」

「仮に土だとしても、《れんごくど》って響きの時点で、既に腐葉土の対極みたいな雰囲気漂わせてるじゃない。そんな土じゃ何も育たないわよ。だいたい煉獄だの爆轟だの灰燼だの、火属性っぽいのばっかりってどういう事なのよ」


 黙ってやり過ごそうとしていた穂波だったが、結局は口を挟む。黙ったままストレスを感じ続けるよりかは、多少でも文句を言った方が精神的にはマシだと思ったらしい。


「そうは言われましても、別にわたくしが決めた訳ではありませんし」

「……確かにね」

「さて。それでは、そろそろ初期装備の方、選んでいただけますでしょうか?京平さん達がどうしてもと仰るのならば、初期装備無しの上級者プレイでもわたくしは構いませんが……」

「上級者プレイって……初期装備無かったら厳しいって自分で言っちゃってるじゃん」


 呆れたように言ったのは聖だ。これがレリー相手だったら、イケるイケると言う根拠のない台詞と共に有無を言わせず装備無しで始めさせられそうな気がして、思わず身震いする。


「何を仰います。だいたい装備有スタートなんて、ありとあらゆるゲームでわたくしをボコれる京平さんにしてみればヌルゲーでしょう?」

「現実とゲームをごっちゃにするなよ……」


 京平のため息交じりに呟く。異世界転生がゲームのように上手くいけばどれほどいいだろうか。

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