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キャベ24

 貴族街に着くと、ミルルはまだ先の方だと言った。しかしそこはルミノール伯爵が治める前にあった旧市街地で今は誰も住んではいないとの事です。


「聖女様、そんな所でなんやってんすか」

「もしかしたら攫われたのかも知れないわね」

「いやいや、だけど聖女様攫うって何が目的なんすか!」


 するとマリスは足を止め、落ち着いた口調になりました。


「あたし達も聖女様を攫おうとしてたじゃない? あれって他国からもルミノールの聖女は重要視されているからなのよ」

「あの人が?」

「精霊と話せる聖女なんて他国にはいないの。いてもそうね、貴方くらいの能力が殆どだわ」


 ルミノールの聖女は龍族の末裔でした。確かにそれほど貴重な存在が何人も居るとは思えません。ましてや自由の無い土地で龍族なんていたなら何をされているか分からないのが現実です。


「そっか……ミルルちゃん。場所をもっと具体的に教えてくれないすか?」

「あそこに見える塔のちょうど裏あたりだよ」

「なるほど。ここからは俺が行きます」

「わたしも行くよ」

「でも危ないっすよ?」

「聖女様にはコサージュを貰った恩もあるし、それにトーマが守ってくれるでしょ?」

「あたしもいくわよ? こう見えて色々と便利だとおもうわよ?」


 トーマは少し考えると、マリスには子供達を見ていてもらう様にいいました。


「貴方一人で大丈夫なの? カトレシアは戦力にはならないわよ?」


 マリスがそう言うと、トーマは指を弾きます。すると青い光の鳥が彼の周りを包みました。


「コンテストでは散々だったんすよ。カッコつけさせて下さい。こう見えても俺は『閃光の騎士』っすから!」


 圧倒的な練度の魔力を見せると、マリスはため息をつき言いました。


「わかったわ。だけどカトレシアに何かあったらただじゃおかないわよ?」

「任せて下さいよ!」


 トーマはサムズアップすると、前を向き覚悟を決めた様な真剣な表情に変わる。


 街から見えていた塔は思っていたよりも離れていました。それまで見えていた綺麗な建物は塀を抜けると人の気配の消えた風化した瓦礫がそこら中に積まれています。


 するとトーマが話しかけて来ました。


「俺は隊長の事が嫌いなんすよね」

「いきなりどうしたの? わたしは慕っている様に見えていたけど……」

「別に尊敬してないわけじゃないんすよ。ただ、お人好し過ぎるというか、正しい事をしていれば上手くいくと考えている感じが好きになれない」


 わたしはトーマとアレクはどこか似ていると思っていました。彼には申し訳ないのですが、アレクを若くした様なそんな印象すら持っています。


「トーマはちがうの?」

「俺はもっと狡猾で強かですよ。ルミノールにはそう言う奴も必要だと思ってます」

「そうかな?」

「ヴァンの時もそうだ。たまたま奴がそこまで悪くなかっただけで、キャベ子さんを危険に晒す事にならなかったんだ」

「でもあれは結果的に……」

「運が良かったんすよ。本当はすぐに隠れ家を見つけていたのに、ヴァンが伯爵と話すまで待っていたんです」


 それを聞いて、もしトーマが隊長だったならマリス達は無事では済まなかったのかも知れないと思いました。ですが、彼の理由も理解出来ます。現に私はあの時、殺されていたかも知れないし、助けを待っていたのです。


「だから俺は、聖女様を攫った奴には容赦なく斬るつもりです」

「そんな。彼女が付いて行っただけかも知れないよ?」

「そのあたりは見れば分かりますよ」


 トーマが告白したのも、もしかしたらアレクを意識したからなのかも知れません。彼のアレクに対する敵対心は肌で感じる程ピリピリとしていました。


 小さな廃屋が見えると足を止めました。


「ここっすね。聖女様の精霊を感じます」

「周りに誰かいるの?」

「そこまではわからないっすけど、彼女が動かない所を見ると拘束されているかも知れないっすね」


 トーマは息を殺し、廃屋の中を覗きます。わたしも出来るだけ周りに気を遣って彼の後ろに付いて行きました。


 指を口にあてると、ここで待つ様に指示します。すると彼はものすごい速さで中に突撃しました。


「おい、貴様らここで何をしている?」


 その瞬間、中を覗くと鎧を着た男の首元に剣を突き立てているトーマの姿がありました。聖女様は眠っているのか、椅子に座って縛られている様にみえます。


「やばい、騎士だ!」

「そのまま椅子から離れろ」

「頼む、従ってくれ……」


 手際よく椅子から離すと、彼等を睨み尋ねました。


「何をしていた?」

「ちっ……」

「ぎゃあああああ!」

「もう一度聞く、何をしていた?」

「わかった、わかったからそいつを斬るのはやめてくれ」


 トーマは人質の肩に刃を食い込ませ、明らかに血が出ている様に見えます。


「こいつ『閃光』だ……」

「という事はルミノールのエースか、残念だが俺たちは王国直属の兵士だ」

「直属だと?」

「そいつを殺す事は王国に敵対するも同じ、お前は今とんでもない事をしているのだぞ?」


 トーマの表情が曇ります。


「嘘をつくな、なぜ王国の兵士が聖女様を攫う?」

「お前も騎士ならわかるだろう? 命令だからだ」


 王国の命令。つまりは王の命令で来ているという事です。一つの領地であるルミノールは従うしか無い様にも思えます。


「ならば全員消せば問題ないのだろう?」

更新時間を変えてみました。


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