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キャベ22

 参加者ではなく、主催側?

 白い服を纏う清潔感に溢れた彼がルミノール伯爵だと言う事でしょうか。


「今日は集まってくれてありがとう。僕が三代目のルミノール伯爵だ」


 領主が現れた事で、会場の熱気はピークに達しました。つまりはこのコンテストは、領主公認のイベントなのだとわたしはこの時初めて理解しました。


「我が領地は過去の褒章により得た物だ。故にこれと言った資源はない。だが、数々の有能な者たちによって王国内でもトップクラスに栄える事が出来る様になった」


 広い王国内には他にも小さな領地は幾つか存在しています。ヴァン達が生まれたのもその中の一つなのですが、領主に任されたそれらの土地の中でも異色なシステムで発展してきたのがルミノール領です。


「昨今では、圧政などにより国力が低下している土地も多くなっている。これからは、もっと魅力的で住みたい土地にする為、他国との差別化を図り更に高度な発展を遂げなければならない」


 伯爵はその為にコンテストを開いたのです。比較的歴史の浅いルミノール領では、独自の文化という物はまだまだ少なく、兵力も数の上では少ない状態です。もしかしたら彼は王国にも影響を与える様な領地にしたいと考えているのかも知れません。


「コンテストはその一環だと思い楽しんで貰えればと思う」


 そう締めくくると伯爵は、アレクを見る。だが、その姿が先程までの名君のオーラが少し無くなった様な気がするのは気のせいでしょうか。


「それで、投票はどうするんだ?」


 あれ? 聞いてしまった。

 もしかして彼は、台本通りに話していただけだったのでしょうか?


「あー、そうそう。順番に並び紙に番号を書いて投票してくれ。それで集計するらしい」


 らしい?

 ヴァンが交渉した時から薄々感じてはいたのですが、伯爵は任せ切るタイプなのでしょうか。もしかして税率が低いのも、騎士団の体系化がなされているのもほぼ任せっきりにしていたから?


「キャベ子さんはもちろんマリスに投票するっすよね?」

「え、ええ。まあ」


 トーマは仕事を終えたのか、観客席で投票に並ぼうとしています。


「トーマも投票できるの?」

「まぁ、自分の所以外にはできるっすよ。それより伯爵は変わった人っすよね」

「うん。なにかイメージしてたのとはちがうね」

「だけど、あの方は理想がぶれる事がないから領地がうまく回っているんすよ」


 確かに任せるだけでは上手くいかない様に思います。伯爵は理想を伝え任せる事で客観的に審判を下しているからこそ、汚職や圧政を防いでいるのです。


 押し付けるのと、任せるのは似ている様で違う。これからキャベツを作る際人が増えた時にも伯爵の様に上手くコントロール出来る様に考え無ければいけないと思いました。


 今回、マリスが出る事になったおかげでこの領地の事を知る事が出来ました。普段農園で過ごしているだけでは、多分知る事は無かったと思います。


 そして、投票が終わり待ちに待った結果発表。


「優勝は第一騎士団の代表マリス様です!」


 発表と共に大きな歓声と、既にファンが付いてしまったのか街娘の黄色い声が響き渡ります。


「ではでは、優勝した感想をどうぞ!」

「まぁ、あたしの美しさが世に知れ渡って光栄だわ。みんなも夜更かししてはダメよ?」


 その瞬間、会場は固まりました。まさか憧れでファンになった瞬間、結果的にオネェをカミングアウトされるとは誰も思わ無いと思います。


 異変に気がついたトーマは慌ててステージに立つと、勢いよく話しました。


「ありがとうございます! マリスさんのおかげでうちの第一騎士団としてはありがたい名誉を得る事が出来ました」


 再び歓声が湧くと、トーマは歓声が止むのを待ち落ち着いた様に話し始めました。


「えっと、俺は十七歳なんすけど今回本気で優勝狙いに行ったのには訳があります」


 マリスの優勝はわたしとしてもありがたいのですが、そもそも今回参加したのはトーマの幹部入りが目的なのです。


「本来騎士は厳しい訓練に励む為、二十歳までは結婚とか出来ない決まりになってます。ですが、幹部、つまりは大隊規模の隊長になれば年齢関係なく結婚できるという事で第一騎士団はランクアップすれば大隊なわけで、そこの隊長は俺なわけで……」


 トーマがどんどん赤くなっているのがわかりました。そんなに結婚したい相手がいたのでしょうか。


「実はその人はこの会場にいます!」

「うおぉぉぉお! キャー」

「だから、この場を借りて告白したいとおもいます!」


 その瞬間会場はコンテストの時以上の歓声と熱気に包まれました。正直なところ、トーマは知り合いという事もありどんな人に告白するのかわたしも気になっていました。


 トーマは更に前に出ると大きな声で叫びました。


「キャベ子さん。いやカトレシアさん、俺と結婚前提に付き合ってください!」


 どうしてこのタイミングでわたしに声を。と思った瞬間、トーマの視線を追う会場は一斉にわたしを見ました。


 あの……もしかして告白したい人って……。

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