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キャベ20

 予想以上の完成度に、ドキドキしてしまったのは事実です。つまりはトーマの目で見抜いていた通りの結果になりました。


「これなら優勝間違いなしっすよ!」

「あら、そうかしら?」

「ただ本番は喋らない方がいいっすね……」


 その日、トーマは帰っていきましたがマリスもまんざらでも無い様子でコンテストに向けて意気込んでいる様です。来月の末との事ですが、畑作業をしていればそんなのは一瞬で経ってしまうのです。



 こうして迎えたコンテストの前日。昼過ぎにわたしたちは馬車で街に向かいます。新しく作ったじゃがいもも少し収穫出来たので試しに市場へ持って行ってみる事にします。


「じゃがいも売れるといいわね」

「形も厳選しましたし、出来は結構いいと思うんですよね」

「そうね。じゃがいも自体、知っている人も多いと思うから心配しなくても大丈夫よ」


 とはいえ、ルミノール領では殆ど出回ってはいなかった物。売れなかったらと言う不安と、最悪食べてしまうか交換すれば良いとも思っています。


 街に着くと、暗くなっていました。いつものところで宿を取り明日のコンテストに備えます。予定では明日の朝イチでトーマが迎えに来てくれるとの事。


「明日は早いし、早く寝ましょう」

「そうですね」


 宿で明かりを消して、マリスの寝息が聞こえ始めた頃わたしの耳元で声が聞こえます。


「お姉ちゃん。起きてる?」

「ん、ミルル? どうしたの?」

「あのね、この街神獣がいると思うの」

「フェンリルがいるって事?」

「ううん、ちょっと違う。だけど、パリルと同じ様な気配を感じるの……」

「そう。あんまりよく分からないのだけど、居たらまずいのかな?」


 今はほとんど居ないと言われている事もあり、わたしは少し心配になりました。


「大丈夫。悪い気配ではないけど、マリ姉は今緊張してると思うから心配かけたくなくて」

「そうね。明日それとなくトーマに言ってみるね。ああ見えて凄腕の騎士だから」

「うん……」


 確かに、平気そうにしていてもマリスは緊張しているのがわかる。彼女が寝てから声をかけたのもミルルなりに気を遣っての事だと思いました。


 それにしても神獣。もしかしたらコンテストに紛れて参加でもしているのでしょうか。何もなければいいのですけど。


 ミルルの言葉が気になりながら朝を迎えると、既に準備満タンのマリスがイケメン男前モードで立っていました。


「カトレシア、どうかしら?」

「相変わらず、完璧です!」


 やはり別人にしか見えません。ですがミルルはやはり気配の事が気になっているのか少しぎこちない様な気もします。


「ミルルはイケメンは嫌いかしら?」

「ううん、マリ姉すごくカッコいいよ!」

「きっと照れてるんですよ!」

「あら、ミルルもそう言う年頃?」


 勘のいいマリスは何かに気づいた様ですが、わたしはすかさずフォローし誤魔化しました。慣れない格好をしているせいかそれ以上彼女はなにもいいません。


 宿をでると、トーマの部隊の人達が待っていました。


「うぉぉぉお! トーマさんヤバいですね!」

「だろ? マリスさん、会場まではこのローブで隠していきましょう!」

「そう? たすかるわぁ」


 そう言ってトーマは黒いローブを被せ、まるで護衛するかの様に広場へ向かいます。わたしも子供達を連れて付いて行くと、開催されるまで別れる事となりました。


「それじゃあ、わたし達はじゃがいもを売りにいきましょうか!」


 リュックに詰めた厳選したじゃがいもを市場の人に見せに行きます。本来なら場所を借りて売る所ですが、今日はお試しと言う事で話を聞いてみる事にしました。


「あら、キャベ子じゃねーか。こんな時期に珍しいな!」

「はい、今日はちょっと新しく作ったのでみてもらいたいのです」

「お、新作かい?」


 そう言ってリュックからじゃがいもを取り出します。


「ほう、これはじゃがいもじゃねぇか!」

「はい、じゃがいもです」

「ルミノールじゃ時々行商人が売りにくるくらいだから、多少は需要はあると思うけどな」

「あんまりですか?」

「まぁ、試食とかすればいいかも知れねぇな!」


 市場のおじさん曰く、ルミノール領の人は調理の仕方や保存方法がわからないかも知れないとの事。それらを見せれば、十個入りで銀貨一枚くらいならいけるかも知れないと言われました。


 十個で銀貨一枚。珍しいからか試食を抜いても結構いい値段で売れそうです。早速わたし達は隅の方で売っていいとの事でしたのでとりあえず蒸して、塩を振って試食を出してみる事にしました。


「銀貨一枚。芋みたいだけど、なんだいこれは?」

「じゃがいもと言う芋です。よかったら一ついかがですか? 蒸すだけで美味しくいただけますよ!」

「それじゃ食べてみようかね!」


 ミルルとリリムも売り子をしてくれます。パリルは恥ずかしいのか、蒸した芋を運んでくる係をしていました。


「おや、本当に蒸すだけでいいのかい?」

「塩を振ってますが、バターとかで食べても美味しいですよ!」

「それじゃ一つ頂こうかしらね」


 おじさんの言う様に、銀貨一枚でコンスタントに売れていきます。このペースならコンテストまでには確実に売り切れる事間違いなしです。


「カトレシア、俺にも一つくれないか?」

「そしたら試食を……アレク!?」


 まさかのアレクが目の前に立っています。


「トーマから市場にいると聞いて来たんだ……」

じゃがいも売れました!


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