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キャベ14

 もちろん父と離れるのは嫌でした。

 幼い頃に母を亡くしてから、二人で生活して来た事もあり独りぼっちになるのが怖かったのです。


 ですがわたしは、毎晩思い悩み苦しんでいる父を見てきています。そもそもその決断をしてもらうために『キャベツ農家』を手伝う事を決めたのです。


「お父さん、行っていいよ」

「だが、カトレシアが独りになってしまうけん」

「安心して。帰って来るまでしっかり農園は守っているから!」


 ほんの数ヶ月のつもりでした。

 だけど、父は帰ってくる事はありませんでした。

 戻って来たのは戦場に行く時に被っていた兜と父の死を告げる一通の手紙だけ。


 だけどわたしは、あの日自分で決めたのです。後悔が無いと言えば嘘になってしまうのですが、覚悟がありました。だからわたしは今でも、何度でもキャベツを作り生きていく事が出来るのです。


 だからアレクにも納得出来る形で決めて貰いたいと思っているのでしょう。



 ヴァンとアレクはしばらく話していました。彼等は立場や方向性は違うものの、お互い誰かを守るという点では共通していたのです。


「私はルミノール領以外の事を見ていなかったのだろう……」

「そんなもんだろう。俺だって仲間以外の事はなるべく考え無い様にしている」


 領地以外の現状を知ったアレクは、ヴァンの理由に理解を示していました。しかし問題はそれだけではありません。


「交換は飲むつもりではいる。ルミノール伯もそれを見越しての事だろう、しかしな……」


「何か問題があるのですか?」


 わたしはふと気になってしまい、つい口にしてしまいました。


「ああ、支援は出来る。表立ったものではない事もあるから罪に問わない事も可能だ。だが、それは短期的な解決にしかならないのだ」

「問題ないさ、俺たちは所詮ははぐれ者だ。とりあえず食料が手に入れば後はなんとかするさ」

「また、どこかの領地を襲い交渉するのだろう。そもそもわざわざルミノールで聖女を攫おうとした事には他に理由があるのではないか?」


 するとヴァンは黙ってしまう。

 はっきり言って今回は聖女を攫うはずが、わたしと間違えて攫い失敗だったのです。アレクはその事が引っかかっていたのかも知れません。


「それは……」

「いまさらどうこう言うつもりはない。こうやって話すことが出来ているのだ。本当の目的も正直に話して見てはくれないか?」


 ヴァンはしばらくその場で黙っていました。アレクもそれを見守る様に、ただただ彼が話し始めるのを待っている様で、何を言われても受け入れる様な覚悟を感じる目をしています。


「俺は……」


 彼は拳を震えるほど力強く握ると、そのまま危機迫った声を出しました。


「力が欲しい。俺だけじゃなくてあいつらにも精霊の力が有ればこの生活を変える事が出来る」

「なるほど、それで聖女を攫ったという訳か」

「ああ、気付いていたんだよ。あいつが聖女では無いってことは」

「だから、ルミノール伯と交渉したんだな」


 あれ?

 ヴァンは違う事に気づいてたんですか? それって交渉に行った時点で妥協案に切り替えていたって事ですよね。


「むむぅ……」

「カトレシアはなぜ怒っているのだ?」

「わたしには農園を直す仕事があるんです。それを妥協案で交渉されたというのは納得できません!」

「そうは言ってもだな」

「じゃあどうすりゃいいんだよ」


 どうすれば良いと言われても困りました。ふと、ヴァン以外はあまり強く無い事を思い出します。


「ヴァン以外は強く無いのですよね?」

「俺とマリス以外は精霊の力は無いからな。だが、一般の騎士なら倒せる位には武芸に長けている者は勿論いるし、マリスみたいな万能な奴もいる」

「なるほど、だから聖女を……」

「まぁ、戦力にはなれない子供もいるがな」


 なるほど……。


「何人くらいいますか?」

「俺含めで十八人だ。そんな事を聞いてどうするつもりなんだよ」

「分かりました。ここは彼等の行先をわたしに任せてみませんか?」

「はぁ? 何言ってんだよっ、お前なんかに任せられるかよ!」


 わたしは一つ思いついてしまいました。


「カトレシア、何かいい案でもあるのか?」

「ええ。これはアレクにも協力してもらわないと出来ないですけど」

「構わない。できる限りの事はしよう」

「いやいや、ルミノール騎士団長を動かせるってお前何者だよ……」

「ただのキャベツ農家です。ですが、今はたまたまお金があるのですよ!」


 そう言って白金貨がたっぷり入った袋を揺らします。貴族にとっては大した事はないかも知れませんが、庶民にとっては大金。わたしはキャベツ畑さえ復活出来ればいいので使い所だと思いました。


「まず、武芸に長けた人は騎士団が管理している志願兵に入ってはいかがでしょう?」

「なるほど、実力が有るなら祝福を受けられるという訳か!」

「そうです、以前トーマが志願兵上がりだと聞いていたので、騎士を倒せる程の人達はすぐに祝福を受けるチャンスがあるかもしれません!」

「可能性はあるな……」


「なんだよ、そんなシステムがあるのかよ?」

「そう、ルミノール領ならね!」

「だけどよう、戦える奴はいいとして他はどうするんだよ。年寄りや小さな女の子もいるんだぞ?」


 ここまでくるとニヤニヤが止まりません。


「このお金でわたしが面倒をみます、みんなでキャベツを作りましょう!!」

オープニングが終わり次のストーリーが始まります!


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