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予定外だがドラゴンの素材が1頭分手に入ったので、今日の討伐は終了してお弁当タイムだ。

大型の魔獣は、依頼の素材や急ぎで必要な素材以外は街に帰還してからギルドで討伐と場所を報告すれば、解体班が出動してくれるシステムらしい。

今日は最初からスライム予定とはいえ魔獣と戦うつもりだったので、お弁当も薬草採集時と違ってがっつりメニューである。


「わお!今日はなんだか豪華だね!」


「今日は薬草採集よりも体力を使うかと思いましたので」


エリシエルがお弁当を覗き込んで目を輝かせる。

ちなみにお弁当は、いつもエリドとカイルが背負ってくれている。

狐獣人のルナールが前世での物語のように好きかどうかはわからないが、今日のお弁当のご飯はいなり寿司だ。酢飯以外に、大葉と梅ご飯、生姜ご飯、豆ご飯バージョンを準備した。おかずは唐揚げ、春巻き、卵焼き、ポテトサラダ、野菜の焼き浸しだ。5人分だからかなりのボリュームである。デザートは新作のいちご大福だ。


「セイランさんと採集に来るとこのお弁当が楽しみなのよねえ」


「俺ももらってもいいのか?」


「勿論です、どうぞ」


皆それなりの腕の持ち主なので、お弁当中も警戒は怠らないが特に魔獣が襲ってくる気配はない。スライムは時々いるが、核を取るために攻撃しない限りはおとなしいらしい、なんかごめんて気分だ。


「お嬢さんはアルトディシアの出身か?それともフォイスティカイトか?」


なんだかルナールが真剣な顔をしている。


「アルトディシアですけど、何か?」


「この料理はアルトディシアの料理か?アルトディシア地区の食事処に行けば食べられるのか?」


おお、ルナールはお約束通りいなり寿司が気に入ったようだ。


「いえ、残念ながら、これはいなり寿司といいまして、我が家の料理人と私とで考案したものですの。他では食べられませんわ」


「そうか・・・」


しょんぼりと頭の狐耳まで垂れ下がり、なんだかわしゃわしゃしたくなる。


「セイランさんは魔獣の素材の依頼これからも出すでしょ?ルナールに指名依頼して依頼料安くする代わりにお弁当提供するようにしてもらったら?私は時々そうしてもらってるよ。100年以上生きてるけど、セイランさんの提供してくれるご飯とお菓子が1番美味しいんだよねえ」


「そんな依頼方法が可能なのか?」


「それでいいのなら、私は構いませんけれど・・・金カードの冒険者に依頼する相場より安くなりますよ?」


なんせエリシエルがいつも提示してくれるのは、相場の半額なのだ、それにお弁当で。


「別に金には困っていない。是非それで頼む」


どうやら私は、採集メインのエルフ冒険者に続き、魔獣討伐メインの獣人冒険者の胃袋も掴んでしまったらしい、2人共優秀だから専属になってくれるなら助かるけども、それでいいのか?

エリドとカイルは無言で頷いている。


「今日のお菓子何これ?初めて食べるー!やだ、すっごく美味しい、幸せ!」


100年以上生きているエルフがこれだけ感情を露わにして喜んでいるんだからいいのか。




余談だが、ルナールは私が味を改良したポーション類のお得意様だったらしい。

というより、獣人族全体が泣いて喜ぶレベルで少し割高な味の改良されたポーションを諸手をあげて歓迎したそうだ。

魔術具のレシピを売りに行った時に判明した。


アストリット商会の商品開発に関しては私の関与は極力伏せているけど、セレスティスの薬屋に味改良版の各種ポーションのレシピを売った時は、薬効は従来のものと特に変わらないから別にいいだろうと思って、薬学を受講している学生です、と名乗ったから、特に隠してなかったしね。


獣人族は人間族よりも味覚や嗅覚が鋭いから、いつも決死の覚悟で各種ポーションを飲んでいたらしい。

店主が、この人が獣人族の喜んでる改良ポーションの製作者だよ、とルナールに紹介してくれたおかげで、店にいた数人の獣人族までもが涙を流さんばかりに感謝の意を表してくれた・・・


そんなに飲みにくかったんなら、もっと前に誰か味の改良しろよ、て気分になった。


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― 新着の感想 ―
下手に恋愛とこじつけるよりこうやってほのぼのライフをみている方が好きですね。 他のやつはすぐイケメンが出てきて恋愛してるので。
[良い点] ほのぼのしてていいですね [一言] > そんなに飲みにくかったんなら、もっと前に誰か味の改良しろよ、て気分になった。 ほんとそれ
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