第八話 宴会
「あんたごときの手を借りなくても、これぐらいできるわよ」
「なっ⁉誰があんたなんかで・・・・・・」
「ぶっ殺すわよ!!!!!!」
「これは私のわがままで言ってるわけじゃない、私はあんたの事が心配なんだ・・・・・・せめてここじゃなくて向こうに・・・・・・」
「・・・・・・なんだかあんた変わったみたいだな。昔はあいつに助けてもらってばかりだったのにな・・・・・なんだか急にあんたが遠くなったみたいだ・・・・・・」
「・・・・・・なんかあった時には言ってくれ、私が全員は集めてあんたの元に集結する。安心しな、そこまで全員死なねえから・・・・・・」
目が覚めると自分は布団の中で寝ていた。
(・・・・・・夢・・・・・・か・・・・・・)
身体を起こす。そして夢の出来事を思い出す。
(誰なんだあいつは・・・・・・)
顔にモヤがかかっていて、顔を見ることができなかった。
(声からして・・・・・・出てきたのは、二人・・・・・・)
しかし、いくら考えても答えは出なかった。
「やっとお目覚めかしら」
声の方を向くと、紫が水色の服を来た女性と縁側に座って酒を飲んでいる。
「もう宴会は始まっているわよ」
その言葉で外を見る。もう空は真っ暗で月が浮かんでいた。しかし外は昼間のように明るく、騒がしい。
「すごい宴会だね・・・・・・」
見る限り、人間だけの宴会ではなさそうだ。逆に妖怪たちの宴会と言ってもいいだろう。人間など手でかぞえきれるほどしかいない。
「そちらの方は・・・・・・?」
つい気になって聞いてしまった。多分この人も人間ではない。
「彼女は、西行寺 幽々子。冥界の管理をやってるわ」
「・・・・・・」
「そんなにじっと私の顔を見てるけど、何か付いているかしら?」
「いや、そうではないんだが・・・・・・」
(何故だ・・・・・・?幽々子にあったことがある気がする・・・・・・)
顔を見た時、何故か懐かしいと感じた。
「幽々子・・・・・・あんた、以前どっかであったことが・・・・・・・ないか・・・・・・?」
「あなたと?・・・・・・記憶にないわね・・・・・・」
(・・・・・・気のせいか・・・・・・)
「それより・・・・・・レイ、貴方もう大丈夫なの?」
「大丈夫?何の事だ?」
「記憶にないの?貴方、魔理沙を母屋に運んだ後、倒れたんじゃない」
「そうだったか?」
頭を働かせ、記憶を手繰り寄せようとする。しかし、そんな記憶は頭の中にはなかった。
「すまない紫、思い出せない・・・・・・」
「そう・・・・・・でも今は何ともないんでしょう?」
「あぁ、今は何ともない」
「それなら、あっちに行って楽しんできなさい」
「そうさせてもらう」
自分は紫と幽々子の元を離れ、騒がしく宴会をしている方へと向かう。
「レイ・・・・・・だったかしら。彼、何者なの?」
「だから、さっきから分からないと言ってるじゃない、幽々子。」
「でも、彼は幻想郷に私が来る前にはいなかったわ」
「・・・・・・」
「まあ、考えても無駄よね」
盃に酒を注ぐ。
「今夜は満月・・・・・・綺麗ね、紫」
「そうね・・・・・・」
紫はレイ達の方をじっと見る。霊夢がレイの持っていた酒を奪う。それを奪い返そうと、レイが頑張っている。
「なんだか楽しそうね、あの子達」
紫は思わず笑みを浮かべる。その紫を見て、幽々子も笑みを浮かべた。
「そうね・・・・・・」