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東方夢幻録  作者: 桜梨沙
第三章 兄と友への哀歌《ラメント》 〜Lamento
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第四十一話 地底で出会った者

 地底を歩き回って数十分。二人はすでに迷子になろうとしていた。


(地底にこんなに店があるとはな・・・・・・)


 見た感じ地上と大して変わらない店がところどころに並んでいる。


(まぁ、そんな事より・・・・・・)


「これからどうするか・・・・・・」


 地霊殿の場所探しは難航していた。様々な店の店主に地霊殿の場所を聞いたものの、口を開く者はいなかった。それどころか、店を追い出されたり、殺されかけたりもした。


「なぁ、蓬莱。さとりってやつは地底でも嫌われているのか?」


「ホウラーイ?」


 首をかしげる蓬莱。


「そうだよな。分かんないよな・・・・・・」


(しかし、あの反応からして、嫌われている可能性は高いよな・・・・・・)


 腕を組んで考える。その時、何かをぶつかった。


「ん・・・・・・?」


 ぶつかったものを見る。それは自分の二倍程の身長を持った青鬼だった。


「あぁん?」


 鬼はメンチをきってくる。


(しまった・・・・・・・・・・・・)


 こんな鬼と戦いになれば負けるのは必定だ。身体中から脂汗が出てくる。


(取り合えず、謝らないと)


「す、すみません。前を見ていなかったもので・・・・・・」


「前を見ていなかったねぇ・・・・・・そうだとしても、我等鬼に対して、道を開けないのは許されないよな?」


地底(ここ)には初めて来たもので・・・・・・」


「ほぅ、新入りか・・・・・・それなら、ここのルールを教えないとな」


 鬼がそういった瞬間、鬼は自分を掴み、おもいっきり投げた。


「なっ・・・・・・!!?」


 自分の身体は野球の球のような速さで飛んでいる。


 ズドーンッ!!!


 その音とともに、背中に物凄い痛みが走る。多分、身体が家を貫いたのだろう。その後も何度も痛みが背中に走る。


(やばい・・・・・・い、意識が・・・・・・・・・・・・)


 このままでは戦う以前の問題だ。戦う前に気を失うか、死ぬかのどちらかになるだろう。


(せめて、意識だけでも・・・・・・)


 その後も身体は数件の家を貫いていった。


「・・・・・・・・・・・・」


 身体が止まったのは家を十件以上貫いた後だった。もう、意識はほとんどない。


(くそっ・・・・・・自分の人生こんな所で・・・・・・終わりかよ・・・・・・)


 〔クックックックッ・・・・・・やはり、貴様は貧弱だな〕


(!!・・・・・・お前は・・・・・・守矢神社の時の・・・・・・)


 何者か分からない者が脳内に語りかけてくる。


 〔貧弱な貴様は寝ていろ。あんな奴、この俺様が片付けてやる〕


(やめ・・・・・・ろ・・・・・・)


 本能がこいつに身を委ねてはいけない。そう、危険信号を出している。


 〔案ずるな。こんな傷付いた身体だが、万が一があっても負けはしない。身体の限界の前に片をつける〕


 しかし、もう、自分には抗う力など残っていなかった。意識は少しずつ、そいつに飲み込まれていく。そして、完全に無くなってしまった。



「さてと」


 レイは傷付いた身体を起こし、背伸びをする。そして、首元の懐中時計で時間を確認する。


「もって10分だな・・・・・・」


 レイはそういうと、悠長に歩いてさっきの場所まで行った。


 さっきの場所まで戻ると、蓬莱が果敢に鬼と戦っていた。しかし、蓬莱は圧倒的不利。やられるのも時間の問題だろう。


「小賢しい!!」


 青鬼の拳が蓬莱に直撃する。蓬莱は飛ばされ、自分には当たって止まった。蓬莱を見てみるとかなりボロボロになっている。壊れたのかと思ったが、辛うじて意識はあるようで、気を失っているだけだった。レイは蓬莱を近くの家の壁に寄りかかるように置くと青鬼の方へと向かった。


「・・・・・・・・・・・・」


 青鬼がこちらに気付く。


「ほう・・・・・・その傷で立てる者がいるとはなかなかだな」


 青鬼はレイ方へとゆっくり歩み寄って来る。


「なぁに、あんな攻撃、攻撃にも入らねぇよ」


「なぁに?」


 レイの挑発が頭に来た青鬼。怒っているのが目に見えて分かる。


「なら、もう一度喰らって、死ねぇ!!!」


 再び青鬼がレイの身体を掴もうとする。しかし、手の中には何も無かった。


「そう何度も、同じ手を喰らうか、この阿保!」


 レイの身体は青鬼の顔の前にあった。


「そんな阿呆はこれでも喰らって頭スッキリさせな!!」


 それと同時にレイはサマーソルトを青鬼の顎に入れる。


「がはっ・・・・・・」


 サマーソルトを入れられた青鬼は体勢を崩し、ふらつく。


「ちょっとはそのイカレたおつむは良くなったか?」


 レイは煽りながら、戦闘体勢をとる。


「安心しな。手加減で武器無しで戦ってやるよ」


「き、貴様!!鬼をなめおって!!」


「ナメてないかいねぇよ。ただ、事実を言っただけだ」


 その言葉に怒った青鬼はよろめきながらも、戦闘体勢をとる。


「これでも喰らって死ねぇ!!」


 青鬼はレイに突っ込みながら攻撃を仕掛ける。


「隙だらけだぜ!!」


 攻撃を巧にかわし、敵の懐に潜り込む。


撃砕(げきさい)!!」


 レイの膝蹴りが青鬼の鳩尾に入る。その威力は絶大で、骨の折れる音が辺りに響いた。


「飛んでいきな!!」


 青鬼の身体は宙に舞う。そして、天上にぶつかり、落下しはじめた。


「もう一撃行くぜ!!」


 そういうと、レイは青鬼の身体目指して飛び上がる。


「黄泉送りは十八番だぜ!安心しな、ちゃんと一撃で逝かせてやるからよ!せいぜい冥界で楽しく過ごしな!!」


傲岸砕(ごうがさい)!!!」


 レイは両手を握り一つの拳を作ると、青鬼の背中に重い一撃を喰らわせた。その威力は鬼のも力と酷似しており、青鬼は勢い良く地面に叩きつけられた。


「ちっ、()りきれなかったか。この身体がいかに貧弱かよくわかる」


 レイはそう言っているが青鬼も周りの地面は2~3メートルほど沈み込んでいる。


「へぇ~鬼に対してこんなことができる相手がまだいたとはね」


 周りに集まっていた野次馬の中から女性の声が聞こえて来る。野次馬は一斉に声の方向を向く。声の方向のする前にいた野次馬達は道を開けるように左右にずれた。


「あんた、今のじゃ戦い足りないだろう?どうだい、私と戦わないか?」


 そこに立っていたのは女の鬼。真っ赤な角を持ち、四肢には枷をはめている。そして片手には真っ赤な盃をもっており、それには並々と酒が注がれていた。


(こいつも鬼か・・・・・・そういえば鬼には力の強い者を見ると力比べをしたくなるっていう、面倒な性格があったな・・・・・・この状況、戦う以外地霊殿に行くのは難しいだろうな。だが、問題は・・・・・・)


 懐から懐中時計を取りだし、今の時刻を確認する。


(この身体がもつのはあと五分弱。しかも、この鬼、さっきのようにはいかないだろうしな)


「・・・・・・分かった。受けてたとうじゃねえか」


 レイは鬼の方へゆっくりと近付いていく。鬼も同じく、レイに近付いていく。


「あんた、名前は?」


「俺か?名前な・・・・・・」


(そういえば、あいつはレイとか名乗っていやがったな・・・・・・)


「一応、レイって名前だ」


「・・・・・・あたしは勇儀、星熊勇儀って言うんだ」


(星熊・・・・・・どこかで聞いたことがあるような気がするな。まぁ、思い出せないってことはそれぐらいの奴って事か)


「せいぜい私を楽しませてくれ!!」


 勇儀のその言葉を合図に戦いの火蓋が切られる。その戦闘はさっきのものとは比べものにはならなかった。勇儀の一撃は非常に重く、喰らえばあの世逝きは確実だった。それを分かっていたのか、レイは勇儀の攻撃を避けつづけていた。攻撃する気配がまるで見られない。


「おいおい、そんなものなのかい!?」


「あいにくだが、こんな傷付いた身体ではそんなに力が出せないんでな!!」


 レイは勇儀の挑発には乗らず、ずっと避けに徹する。


「さっきとはまるで戦い方が違わないかい!」


 勇儀からは猛攻が繰り出される。しかし、その攻撃は、レイに当たるどころか、一撃も掠りもしなかった。


「へぇ、よく避けるじゃないか。なら、これはどうする!!」


「枷符 咎人外さぬ枷‼」


 勇義がそう高々と宣言する。その声と共に弾幕が大量に出てきた。それは名前のとうり、枷を連想させるような円状の青い弾幕。小型の弾幕がその続けざまに出てきた。


(初発のすぺるがこれか・・・・・・・・なかなか厄介な敵じゃないか・・・・・・)


 弾幕を紙一重で回避するレイ。それを見ている勇義もきぶんが上がってきたようだ。


「へぇ、あんたやるじゃないか。あんたが鬼じゃないのが残念ってくらいだよ!」


「そりゃあ、ありがたいことだ」


 一気に勇義との間合いを詰め、技を繰り出す。


「飛散水!!」


 レイの足が勇義の足を払う。それによって勇義の体勢は崩れた。しかし、


「おっと、危ない、危ない」


 勇義はすぐに態勢をたてなおし、レイに攻撃の隙を与えなかった。


「あんた、中々やるじゃないか。あんたが鬼じゃないのが残念なくらいだ」


「鬼のあんたに褒められるなんて、うれしい限りだぜ!!」


「こうやって拳を交えることができる人間に会うのも久しぶりだ」


 勇儀の顔のはいつの間にか笑みが浮かんでいた。


「本当に拳をを交えるのは楽しい!!あんたもそうは思わないかい!?」


「もちろん、楽しい。だからこそどんな相手でも立ち向かえるんだ!!」


 勇儀とレイの拳がぶつかり合う。その瞬間衝撃が生まれ、周りの野次馬達を吹き飛ばした。


「くっ・・・・・・」


 膝を折ったのはレイだった。それもそうだろう。人と鬼。力を比べれば鬼の方が圧倒的に上だ。しかし、勇儀にもダメージが入っているのは間違いなかった。


「私の目には間違いは無かったようだね!!」


 勇儀は一旦レイと間合いをとる。


「なら、これには耐えられるか!!」


 そういうと勇儀は盃の中の酒を呷り、攻撃の構えを取る。


「四天王奥義 三歩必殺!!」


 その一撃は他の攻撃とは比べものにならないほどの、桁違いの威力だった。その威力で、レイの周りには砂埃が立ち上がる。レイはその砂埃に飲まれ、見えなくなった。それと共に周りの野次馬達が騒がしくなる。砂埃がおさまったのはその騒ぎが消えてからだった。段々、砂埃がはれてくる。その中には、一つ人影があった。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」


 息を荒々しくあげながら、レイはそこに立っていた。


「・・・・・・見事!」


 勇儀もその一言しか言えなかった。あの威力の攻撃を受け止めると思っていなかったのだから当然だ。


「よくそんなボロボロな身体で私の奥義を受け止めれたね・・・・・・」


「ま、まぁな・・・・・・」


 レイの声はかなり弱っている。


「これは、私の負けを認めざるおえないよ」


「へっ・・・・・・こんなもんかい!」


 威勢を張るレイ。


「本気のあんたはもっと強いんだろうね」


「当たり・・・・・・前・・・・・・だ!!」


「いつか本気のあんたと戦ってみたいもんだ。そん時は私も本気を出すよ」


「何時・・・・・・か・・・・・・な・・・・・・」


 そういうとレイは崩れるように倒れた。彼の首にかかった時計はそれと同時に五分経っていた。


「ホウラーイ!!」


 倒れたレイに目覚めた蓬莱が近寄る。どうやら、彼の状態を心配しているようだ。


「心配してきたら、この様かい」


 野次馬の中から一人の鬼が出てくる。


「おっ、萃香じゃないか!」


「どうやら、意識はあるようだね」


「なんだ、萃香。こいつを知っているのか?」


「まぁね、こいつが此に来る前に博麗神社で会ったんだ。そん時は、こんなに好戦的に見えなかったんだが、どうやらこいつには秘密が有りそうだね」


「どうする気だ?」


「どっか休める所を探す。こいつに死なれちゃあこいつの秘密を何も知れないからね」


「確かに、こいつに死なれちゃあ、せっかくの良い喧嘩相手がいなるからな」


 勇儀はそういうと、休める場所を考えはじめた。


「そういえば、こいつ地霊殿に用があるとか言ってたな」


「地霊殿か、良いんじゃないか。此から近いし、休憩出来るところも沢山あるだろうしな」


「そうと決まれば急いで運ぶか」


 萃香はそういうとレイを片手で持ち上げ、勇儀と蓬莱と共に地霊殿に向かって走り出した。



 ドンドンドンドン!!


 地霊殿の玄関のドアがけたたましく叩かれる。


「お燐、お客様の対応お願いできますか?さすがにこうもうるさいと仕事が進みませんから」


「はい、さとり様」


 お燐と呼ばれた化け猫の少女は急いで玄関へと向かった。


「はいは〜い、どちら様・・・・・・」


「失礼させてもらうよ!!」


 お燐が玄関の扉を開けるやいなや萃香達は地霊殿の中に入った。


「ちょ、ちょっと、なんなんですか?」


「すまない、こっちは急ぎの用でね」


「急ぎの用?なんですか、急ぎの用って」


「急患がいるんだ。分かってくれ」


「はぁ?急患!?場所間違えてませんか?ここは永遠亭じゃなくて地霊殿ですよ。病院じゃないんです」


「そんなことは分かっている。でもベッドぐらいあるだろう?」


 萃香がお燐に尋ねる。


「いやいや、病院じゃないですし、地霊殿(うち)にはお客様用のベッドなんてありませんよ!」


「中々おさまらないと思ったら勇儀さん達だったんですね」


 ピンク色のショートボブの少女が奥から出てくる。


「さとり様、どうにかしてください!!」


「・・・・・・事情は大体分かったわ。その男性を休ませれば良いんですね?」


「心を読んだな」


 萃香はそうぼそっと言った。


「別にそれくらいなら構いませんよ。どうやらその人は私に用があるようですし。お燐、勇儀さん達を私のベッドの所まで案内して」


「で、でも〜」


「良いから急いで」


(なんで私が・・・・・・)


「お燐、早くしないと晩飯を抜きにしますよ」


「は、はい!!」


 お燐は冷汗をかきながら、二人をさとりのベッドに案内した。










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