第三十四話 紅霧異変と謎の女
こんばんは、おはようございます、こんにちは。桜 梨沙です。
この話では麻雀をする場面がありますが、私は麻雀やったことがないので、おかしいところがあるかもしれません。ご了承ください。
また、一話〜三話まで修正、及び加筆を行いました。
細かい描写を加筆したので、よかったら、そちらの方も読んでみてください。
これからも東方夢幻録をどうぞよろしくお願いします。
家から人里に向かう途中ずっと考えていた。
(・・・・・真実を言っているのはどちらか・・・・・・)
きちんと見極めなければいけない。選択を間違えれば、自分は幻想郷の敵になる。
「もっと、有力な情報が手に入ればな・・・・・・」
そう思いながら、ふと空を見上げる。
「!!?」
そこには驚きの光景が広がっていた。
「紅い空・・・・・・?」
(こんな空みたことがな・・・・・・いや、待てよ。昔、どこかで・・・・・・)
朧げな記憶の中にこの空をみたことがあることを覚えている。多分、自分は紅い空を見たのは、初めてではない、はず。しかし、どこで見たのかまではわからなかった。
「しかし、なんで空が紅いんだ?」
まるで霧でも出ているかのようだ。
「いやな予感がする・・・・・・」
人里への足取りを速めた。
人里に着いた時、住民たちは誰も外に出歩いていなかった。
(やっぱり、異変なのか・・・・・・?)
その時、ちょうどいいタイミングで霊夢が上空を飛んできた。
「おーい、霊夢!」
「あら、レイじゃない」
自分を見つけた霊夢はこちらに向かって下降し、自分の前に着地した。
「霊夢、この霧は何なんなんだ?」
「紅霧の事かしら?」
「紅霧?」
聞きなれない単語だったので、つい聞き返してしまう。
「この紅い霧の事よ。この霧が発生することを人は紅霧異変と呼ぶわ。
「異変なのか?」
「ええ。紅魔館の連中がまた異変を起こしたのよ」
(また・・・・・・?)
「ていうことは、一回この異変が起きたことがあるって事か?」
「まあね。一回ちゃんとレミリアたちを懲らしめたつもりだったんだけどね、まだこりていないみたい。そんなことより、あんたは体調の何ともないの?」
「体調?何もないが・・・・・・」
「変ね?人間はこの霧の妖気で体調を崩しているっていうのに」
怪訝そうな顔でこちらを見てくる霊夢。確かにこの霧はただの霧じゃない。
(言われてみれば、この霧、なんか変な気を感じるな・・・・・・)
「そうなのか?」
「あんたも普通の人間じゃないって事ね」
さらっとひどいことを言われた。この言葉には少し自分の心も傷つく
「普通じゃないって、ひどくないか・・・・・・」
「まぁ、そんな事より、この霧が博霊大結界を超える前に、急いで解決しなきゃいけないのよ。あんたもくるでしょう?」
「もちろんだ。幻想郷が脅かされているって事なら。でも、お前、足の怪我は大丈夫なのか?」
「ええ。あいつの薬は特別だからね」
「そうなのか」
「じゃあ、紅魔館で会いましょう」
そう言うと、霊夢は飛んで行ってしまった。
「えっ・・・・・・あっ、ちょっと・・・・・・自分紅魔館まで行ける自信ないんですけどーーー!!?」
数分後、自分も紅魔館に向かうのだったが・・・・・・案の定、迷った。
「最悪だ・・・・・・」
また森の中。しかも何かでそう。
(なんでこんなにも幻想郷には森が多いんだよ!!)
「しかし、そんな事思ったところで何も起こらないんだが」
(それにしてもこの不思議な感じは何なんだ・・・・・・?)
昨日迷った森や、紅霧とは異なる不思議な霧のような何かが、この森には満ちている。そのせいで視界は良好ではない。
「妖気の類か・・・・・・いや、そんなものじゃないな・・・・・・」
邪悪なものって訳でもなさそうだ。確かに神秘的な感じもするのだが、なんだか恐ろしい何かも感じる。それがとても気味悪かった。
(こんな森、早く抜けてしまおう)
速足で森の中を進んで行く。しかし、一向に森は抜けられなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・まだ抜けれないのか・・・・・・」
もう、すでに自分は右も左も判らない状態だった。
(・・・・・・さすがに右も左も判らないこの状態で森を無理矢理抜けようとするのは無謀すぎる・・・・・・だが・・・・・・)
急いでこの森を抜けて紅魔館に向かわなければいけないのも事実。
(・・・・・・仕方ない、来た道を戻るか・・・・・・)
振り向いてきた道を戻った。しかし、数分後・・・・・・
「ここは・・・・・・」
見覚えがある。
「しまった、輪形歩行だ・・・・・・」
(くそっ・・・・・・)
原因はすぐに判った。焦りだ。焦っていたせいで、他の事に注意することを怠っていた。
(今更後悔しても遅い・・・・・・もう、この状態になったら、もう動かない方が得策だ。だが、もう代は本当にこのままここに留まっていいのかっていうことだ・・・・・・)
誰も自分が森に迷ったことなんて知らない。ましてや、自分は幻想郷に来たばかりの新参者。幻想郷の人物の事をあまり知らない。
(・・・・・・このまま、誰も探しに来なかったら、確実に自分は・・・・・・)
「死ぬ」
それだけは避けたい。死んでしまえば何もできなくなってしまう。
(どうしたものか・・・・・・)
良いアイデアが浮かばず、その場に座り込む。
「・・・・・・・・・・・・」
辺りが静寂に包まれる。まるで何かが起こる前のように。
「駄目だ!何にも思いつかない!・・・・・・しかし、やけに静かだな・・・・・・まるで嵐の前に静けさだn・・・・・・」
カチャ・・・・・・
首に何か冷たいものが当たる。何が当てられているのかはすぐに判った。
(・・・・・・刀か・・・・・・)
「どうやってここに入った」
不愛想な声。声質からして女だろう。
(・・・・・・声だけで凍ってしまいそうだ・・・・・・)
人がこの森にいることに少し安堵した。しかし、殺されるという恐怖にも襲われる。
「さぁな、こっちも迷って困っているものでね。それより、これをしまってくれないか?」
質問に答えながら武器をしまうように促す。
「それは出来ない。ここに入ってきた以上死んでもらう」
「おいおい、それはないだろう!?」
女の質問を聞いて、冷や汗が顔や手から噴き出してくる。
「それがこの森の掟」
(非常にまずい・・・・・・まずいぞ・・・・・・)
このままだと、本当に死ぬ。
(どうする、ドウスル・・・・・・)
「あがいても無駄だ」
自分は現在不利な状態にあった。座っている。つまり、立ち上がるという動作が必要なのだ。その動作をしている間に彼女は刀を振り下ろすことが出来る。つまり、
(動けば首が飛ぶ・・・・・・動かなくても首が飛ぶ・・・・・・)
「・・・・・・」
頭をフルで回転させて、必死で生還できる方法を考える。
(いや、首を切る直前で鉄扇で受け止めれば、まだ希望はある・・・・・・)
だが、下手に動けば死ぬ。動かなくても死ぬ。
(チャンスは一回しかない。タイミングを見誤れば待っているのは死だ・・・・・・)
心を静める。
「そうだ、動かなければすぐに逝ける」
そう言って女は刀を大きく振り上げる。
(いまだ!!)
鉄扇を素早く腰から抜き、刀を受け止める。
ガキィン――――――――――
耳障りな音が当たり一帯に響いた。
「そらっ!!」
鉄扇で、女の刀を弾く。
「くっ・・・・・・」
女は間合いを取って刀を構えなおした。その間に自分は立ち上がる。
(少女か・・・・・・幻想郷には多いな・・・・・・)
どうやら刀を当てていたのは少女だったようだ。華奢な体つきをしている。
(さて、どうしようか・・・・・・)
自分も鉄扇を構え、戦闘態勢に入る。
「あくまで抵抗するか・・・・・・」
「もちろんだ。そんな理不尽な理由で殺されてたまるか」
「そうか・・・・・・なら、容赦はしない」
そう言うと少女は刀を腰に合った鞘に納め、態勢を低くする。
「虚空一閃!!」
「!!?」
少女が刀を抜き放った後、斬撃がこちらに向かって飛んできた。それを避ける。その時、少女は笑っていた。
「もう一撃、天空海闊!!」
さっきの攻撃よりも範囲攻撃が広い。
(これはワンテンポ早く避け・・・・・・!!?)
身体を動かそうとする。しかし、何故だか身体が痺れてうまく身体動かない。
「ちっ・・・・・・」
何とか身体を動かして避けようとしたものの、完全には避けきれず、攻撃は右肩に当たった。
「くっ、何が起きた!?」
(確実に避けたはず・・・・・・)
「よそ見は禁物」
「!!?」
振り返った時にはもう遅かった。すでに少女は刀を振り下ろしており、防ぎようがなかった。
「ガハッ・・・・・・」
息を飲むような痛みに襲われ、意識が朦朧とする。
(やばい・・・・・・ここで気を失った・・・・・・ら・・・・・・)
しかし、その抵抗もむなしく、自分の意識は深い闇の中に沈んでいった。身体は崩れるように倒れる。
「これでとどめだ」
少女はうつぶせに倒れたレイの身体の上で刀を構える。そして刀がレイに刺そうとしたその時、
「!!?」
レイの身体は動き、刀は地面に刺さった。そこらかの勝負は一瞬だった。起き上がったレイは、目にも留まらぬ速さで、少女の腹に攻撃を繰り出していた。
「ガハッ・・・・・・」
少女にとってその一撃は重いものであった。少女は蹌踉めく。その間にレイは地面に突き刺さっている刀を抜いた。
「完全に・・・・・・油断した・・・・・・」
少女はレイの方を睨みつける。
「そんな目で見るのはやめてくれ。大丈夫、安心しな。すぐに逝けるようにしてやるよ」
そう言うとレイは刀を構える。そして、狙いを少女に定めた。
「じゃあな、お嬢さん」
そして、攻撃が繰り出された。少女は崩れるように倒れる。しかし、攻撃は少女には届いてはいなかった。
「おいおい、これは何の真似だ?」
少女を庇うように一人の濃い藍色の漢服を着た女性が少女の前に立ちはだかっていた。レイの刀は女の前で止っており、やがて刀を下ろした。
「あんたが出てくるとは思っていなかったぜ」
「こっちもよ。あなたがここに迷い込んでいたなんてね。でも・・・・・・こんな森で迷うなんてあなたらしいわ」
「あんたが出て来たんじゃ、ここは引こうじゃないの」
「そうしてくれると助かるわ」
レイは刀を地面に突き刺す。
「命拾いしたな、お嬢ちゃん」
少女の耳元で囁く。
「じゃあ、頼んだ」
そう言うとレイは再び崩れるように倒れた。
目が覚めたらベッドの上にいた。
「ここは・・・・・・」
見覚えがない・・・・・・はずだが、来たことのあるような場所だった。
「ていうか、今まで自分は何を・・・・・・」
今までの行動を振り返る。
「確か、リコかフェンルオ達の、どっちの言っていることを信じればいいのか悩んでいて、人里に行ってる途中で紅霧を見た。そして紅魔館に行くってなって、森に入ったまでは良かったんだが・・・・・・」
そこからの記憶が曖昧だ。
「って、紅魔館に行かないとやばいんじゃないか!!」
ベッドから飛び起き、外へ出る道を探す。
「どこだ、どこだ・・・・・・」
道の途中にある扉を開けまくる。
ストンッ——
「残念、ロン 清一色 ドラ3 倍満よ」
「うわぁーーー、ッ師匠!!待った、待った!!」
「待ったはなし」
二人の女がいた。麻雀をしている。一人は濃い藍色の漢服を着た女性。その服には豪華絢爛な青い鳥が縫われていた。もう一人は着物に身を扮している華奢な身体突きをした少女だ。
(あれ・・・・・・この少女さっき見た覚えが・・・・・・)
「お目覚めかしら」
漢服を着た女性がこちらに気付いたようだ。立ち上がって近づいてくる。
「ちょうど良かったわ、よかったらあなたも私たちと一緒に麻雀してもらえないかしら?」
「麻雀?なんで・・・・・・」
「いつも二人でしているから盛り上がりがないのよ」
「そんな事よりも自分はやることが・・・・・・」
「ほら、はやく座って、座って」
女に言われるがままに席につく。
「麻雀なんてルールわからないんだが・・・・・・」
「別に構わないわ。適当にしてくれればいいのよ」
牌が詰まれる。
「じゃあ、私から親ね」
そう言って麻雀が始まった。
しかし、ルールはさっぱりだった。
(なんでこんなことを自分が・・・・・・ていうか)
「あんたら、誰なんだ・・・・・・?そっちのあんたは見覚えがあるんだが・・・・・・」
少女の方を指指しながら言う。
「あら、覚えていないの?さっきあなたが戦っていたじゃない」
(戦っていた・・・・・・?)
「ああっ‼あんたは・・・・・・さっきの‼」
女の一言で思い出す。先ほど森の中で戦っていた少女だ。
「何ですか?」
「なんでお前さんがここに要るんだよ!!?」
「私がここに居たらだめなんですか?」
先程の不愛想な口調とは全く違う。
「すまなかったわ、雲雀があなたを襲ってしまって」
「危うく、殺されかけたんだぞ‼」
「すみませんでしたね‼」
こちらがキレても良いところなのに、なぜか逆ギレされた。
「まぁ、生きているだけで十分なんだが・・・・・・」
「お礼といて、あなたを治療させてもらったわ。まぁ、たいして治療するところはなかったのだけれど」
「治療するところがなかった?嘘言うなよ、自分は確かにこいつに背中を切られたはず・・・・・・」
背中を触ってみる。しかし、傷痕らしきものはなかった。
「な、なんで・・・・・・」
「さぁ?私には分からないわ」
女は自分の手牌を見ながら答える。
「・・・・・・そんな事より、あんたは誰なんだ?見知らぬ自分を助けたって、あんたには何も得がないだろう?」
「そんなことも忘れたの?あら、自摸 国士無双 役満ね」
(忘れた・・・・・・どういう意味だ)
「あなたを助けることが決して得がないってわけじゃないわよ。ちゃんと私も得しているわ。自分の事、覚えていないの?」
口調からして、この女性は何か自分の事を知っているのだろうか。
「・・・・・・」
「・・・・・・どうやら本当に忘れているみたいね」
「どういう意味だ」
「別に気にしなくてもいいわ。忘れているなら結構。そんなことより、何故あなたがこんなところにいるの?」
「それを聞いてどうする」
「聞きたかっただけよ。こんな森で迷う人、滅多にいないから」
「紅魔館に行く途中で迷ったんんだ・・・・・・」
「あら、何か約束事でもあった?」
「今、異変が起きているんだ。自分も麻雀している場合じゃない‼」
勢いよく椅子から立ち上がる。
「でもあなた、ここから紅魔館への道のりが分からないのでしょう?」
「そうだが・・・・・・あんた、紅魔館への行き方を知っているのか?知っているなら頼む、教えてくれ!!」
「・・・・・・仕方ないわね、雲雀、彼を紅魔館の前まで案内してあげなさい。」
すると、雲雀は椅子から立ち上がり、
「はい、分かりました」
と、返事をした。そして、部屋から出ていく。
「その子が案内してくれるわ、急いで付いていきなさい」
「すまない、恩にきる!!」
「あと、あなた・・・・・・」
「なんだ?」
「記憶がないことに困っている?」
「困っていると言われれば・・・・・・困ってはいないな」
「仮に私があなたの全てを知っていると言ったらどうするかしら?」
「・・・・・・仮にそうなら、教えてもらいたいな」
「どんなことでも?」
「・・・・・・なんだ、教えてくれるのか?」
「あなたと初めて会ったから、何も知らないわ。頑張って自分自身で自分の事は思い出しなさい。まぁ、思い出したら、二度と今のあなたに戻れないでしょうけど」
そう言うと彼女はこちらに背を向けた。
「あの、早くしてくれませんか?こっちはあなたの為に待っているんですけど」
雲雀も少し怒っている。その声で、自分は部屋を後にした。しかし、彼女の最後に行った言葉がずっと頭の中に響いていた。
『・・・・・・思い出したら、二度と今のあなたには戻れないでしょうけど・・・・・・』
(どういう意味なんだ・・・・・・?)
そんな事を思いながら、森の中を先導する雲雀についていった。
「彼が現れたとわね・・・・・・このことはあいつにも伝えておきましょう、警戒を怠らないようにと」
女は歩き、レイの牌を見る。
「あら、この牌譜、化け物じゃない。字一色 四暗刻 大四喜 四倍役満なんてね、流石彼だわ」
女は再び椅子に腰かける。
「幻想郷はどうなるのか、ふふっ、今の博霊の巫女の力も見せてもらおうじゃない」




