第三十三話 狂った少女?と真実
「・・・・・・ここ、どこだ・・・・・・?」
レンやフェンルオと別れた後、北の方に向かって歩いてきた。その間にまた森に入ったらしく、現在置が把握できない状態にあった。
(こりゃあ・・・・・・迷子になったな・・・・・・)
「そう言えば、自分あんまり幻想郷の事について詳しくないんだった」
どこもかしこも森。あるのは、木々と岩が転がっているだけ。
「とりあえず・・・・・・来た道を・・・・・・って、自分はどこからきた?」
来た道を戻ろうと思っても、どこもかしこも似た景色のこの場所では、どこからきたのかさえ分からなくなってしまった。
「・・・・・・どうしたものか・・・・・・」
そう悩んでいると
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・」
「!!」
どこからか人の吐息が聞こえてきた。耳を澄ませば足音も。
(誰か・・・・・・近くにいる?)
どこかでで聞き覚えのある声。
「とりあえず・・・・・・」
声のした方へと足を進めた。
(どこ行った・・・・・・)
辺りを見回す。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・」
吐息と足音が聞こえ、右の方を人影が通り過ぎていく。
(いた!)
息を殺して人影に近づく。しかし、その時、
ポキィーー。
「あっ・・・・・・」
木の枝を踏んでしまった。その音は静寂なこの森に響く。
「!!」
その音で自分の事に気付いたのか、人影は、逃げていく。
「待て!!」
すばしっこく、華奢な動き。危うく、撒かれてしまうところだった。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・」
急に視界が開いた。太陽の光で、人影の正体がわかる。
「・・・・・・リ・・・・・・コ・・・・・・?」
その正体は自分たちが探していた人物だったのだ。
「!!なんで私の名前を知っているんですか!!」
名前を知っていることに驚き、鋏をこちらに向ける。
「なんでって・・・・・・」
「まさか・・・・・・いや、あなたもあの人達の仲間ですね!!私を連れ戻しに来たんですね!!」
「まぁ、連れ戻しに来たってのは当ているが、あいつらって、誰の事だよ・・・・・・」
「私を狂わせて、利用しようとした奴らのことです!!あなたもかれらと同じ匂いがします!!」
「いや、まぁ・・・・・・あんたを狂わせた人物・・・・・・」
多分、グラシャラボラスの事だろう。
「戦いはしたが、今は・・・・・・」
「喋らないで下さい!!あなたもきっと彼らと一緒です!!」
彼女は鋏を向けて、戦闘態勢をとる。
「それ以上近づかないで下さい!!近づいたら、この鋏で首を断ち切りますよ!!」
「話を聞けって。自分はあんたの兄から他のまれてあんたを連れ戻しに来たの!!」
「五月蠅い!!」
そう言うと鋏を刀と銃にし襲い掛かってくる。
「うぉっ!!」
銃弾が自分めがけて飛んできた。危うく弾にかすりそうになった。
「あぶっねぇ!!」
「てりゃぁ!!」
気付くと目の前にはリコが刀を振り下ろそうとしていた。
「なっ・・・・・・」
(何時の間に⁉)
自分は横に転がってその攻撃を避ける。
「くっ・・・・・・」
(こっちの本気でいかなきゃ死ぬ!!)
鉄扇を腰から抜き取り構える。
「ちょっと痛いかもしれないが、我慢してくれ。手加減が出来るような人間じゃなくてね」
「喰らえ!!」
「殺撃!!」
「!!」
銃口が自分に向けられ、無数の銃弾が飛んでくる。
「ちっ・・・・・・」
弾丸を避ける。しかし、左首に弾がかすってしまった。
「くっ・・・・・・」
左手に激しい痛みが走る。しかし、肩をぶち抜かれたあの時よりは麻理で、まだ左手も動くようだった。
「よそ見は禁物です!!」
「アサルトダンス!!」
刀と銃を使いながらの前進攻撃。それはまるでダンスを踊っているかのようなものだった。
(おっと、見とれている場合じゃない、)
鉄扇を開く。
ガキィンーー
嫌な音と共に攻撃が鉄扇によって受け止められる。
「なっ・・・・・・なぜ、私の攻撃を受け止められる!!?」
「さあな。そら、よっと」
リコの攻撃を受け流し、鉄扇で攻撃をする。
「くっ・・・・・・」
命中。今のはなかなかダメージだと思う。
(しかし、思ってたより強くはないんだが・・・・・・あの時はもっと強かった気が・・・・・・ていうか、暴走もしてない気が・・・・・・それどころか、正気を保っていらっしゃれないか?)
「聞いてた話と違うんだが・・・・・・」
(とりあえず、今は彼女を落ち着かせないと・・・・・・)
「と、言ってもどうすれば・・・・・・」
「何をごちゃごちゃ言っている!!」
(・・・・・・仕方ない、気絶させるか・・・・・・)
「こっちも技を使わせてもらうぜ」
「鳳凰扇舞!!」
鉄扇を開き、攻撃を繰り出す。横に斬って一撃、タイミングをずらして一撃、突きの一撃、そして最後にもう一撃。合計四撃をリコに喰らわせる。
「くぅ・・・・・・」
しかし、防がれた。だが、完全に防げたって訳ではなさそうだ。リコの足が震えている。
「やりますね。ではこれではどうです!!」
リコは武器を鋏に戻した。
「一刀両断!!」
「!!」
ーージョキンッーー
金属の擦れる、嫌な音。その音と共に鋏が空を切る。あの時と同じ感じだ。
「おっと」
しかし、そんなに避けるのが難しいわけではない。
(・・・・・・あの技を使ってみるか・・・・・・)
鉄扇を開く。
「これならどうだい!!」
「神楽 右方の舞!!」
「!!」
舞を舞う。その舞は攻撃ながらも美しい物であった。
「そんなもの私の攻撃で!!」
ーージョキンッーー
リコは再度、自分めがけて鋏の覇を合わせる。
「なっ!!?」
しかし、鋏は自分ではなく空を切った。
「どこを切っているんだ?」
「何!!?いつの間に!!?」
「まあ、一旦、静かにしてくれ」
ドスッ・・・・・・
鉄扇の持ち手で、リコの右のこめかみを打つ。
「く・・・・・・世界が・・・・・・」
そのままよろけながら、リコは気を失い、倒れる。
「よいしょ」
あの舞を舞う。もちろん、きちんと名前も決まっている。
「回復扇舞!!」
たちまち傷が治る。
「さて、どうする・・・・・・」
(ここから永遠亭に背負って帰るってものきついしな・・・・・・)
「かといって少女を一人でおいて助けを呼びに行くなってことは出来ないしな・・・・・・しょうがない永遠亭まで背負って帰るか」
リコを背負う。
「さ、急いで帰るか」
再び、森の中に足を踏み入れた。
「なんでだ・・・・・・?」
(確か、自分は永遠亭目指してきたはずなんだが・・・・・・)
森を向けた後、目の前に広がっていた景色、それは自分の家地の途中の森の入り口だった。
「もう、疲れたんだが・・・・・・」
もう歩いて数時間は経過している。
(もう、自分の家で寝かせよう・・・・・・)
森の中を通って自分の家へと足を進めた。
「ういしょ・・・・・・あぁ、疲れた・・・・・・」
自分が寝ていたベットにリコを寝かせる。リコは気持ちよさそうに寝息を立てて寝ていた。
「気持ちよさそうだな・・・・・・こっちはきついっていうのによ・・・・・・ふわぁ~~~~なんだかこっちまで眠たくなってきた」
床に座り、ベットに寄り掛かる。そして、瞼が重くなり、眠ってしまった。
数時間後、リコは目を覚ました。いつの間にか、夜の帳が下りている。
「・・・・・・・!!ここは!!?あの人はどこに!!?」
「んぁ・・・・・・」
リコの五月蠅い声で自分も目が覚める。
「なっ、何故あなたがいるんですか!!?」
「なぜって、ここ自分の家なんだが・・・・・・ていうか、そんなことより言うことないか?」
「何をです、私があなたに言うことなどありません!!」
「・・・・・・まあいい。それより、お腹すかないか?」
「すいてません!!」
「そうか・・・・・・、じゃあ、自分は下で何か作って食べてくるわ・・・・・・」
自分は螺旋階段を下り、キッチンへと向かう。数十分後、二階にまで美味しそうな香りが漂ってきた。
グゥーーーーーー。
リコの腹の蟲が大きな音を立てて鳴く。
「・・・・・・私は断じて食べない!敵の施しなんて・・・・・・絶対に、絶対に・・・・・・」
しかし、身体の方は素直なようで、足は勝手に一階へと進んで行った。
「寒っ・・・・・・」
「結局来たのか?」
テーブルには、一つの皿が並べられていた。そこにはカレーが盛ってある。
「お前さんの分はないぞ?いらないって言ったからな」
「なっ、勘違いしないで下さい!!私は帰ろうと思って下りていただけです!!」
「あっ、そう。じゃあ、遠慮なく」
自分はリコの目の前で、カレーを食べようとスプーンでカレーをすくい、口へと運ぶ。その途中、どことなく、視線を感じる。
「・・・・・・」
目をリコの方に向けると、リコが物欲しそうにこちらを見ていた。
(仕方ない・・・・・・)
席を立ち、キッチンへと向かい、カレーも持ってある皿をもう一皿取ってきて、自分と向かいの場所に置く。
「・・・・・・ほらよ」
「なっ!!」
「欲しいんだろう?なら座って食べな」
「まさか、食事の中に薬を盛って私を捕まえる気ですね!!私はそんな手には乗りませんよ!!」
「別に、お前さんに薬を盛ろうと思ってない。だが、そんなに疑うなら食べなくていいぞ。あとで、自分が食べるから」
「なっ・・・・・・仕方ないですね、この私が食べましょう」
(なんで、上から目線なんだ・・・・・・)
リコは席に着くと、凄い勢いで食事をし始めた。ものの数分で、
「おかわり下さい!!」
この言葉。
「自分の料理は食べないんじゃなかったのか?」
「五月蠅いですね!!」
「まあ、いいや。ほらよ」
差し出された皿に、カレーを再び盛る。
それも勢いよく、食べ始めた。
「一つ、聞いていいか」
「なんですか?」
「お前も敵っていうのはグラシャラボラスの事か?」
その質問を聞いたリコは、手を止めた。そして重そうな口を開く。
「・・・・・・そうです。ですが、彼だけじゃないです。彼の仲間も敵です」
(仲間?そんな奴がいるのか?)
「仲間がいるのか?」
思わず聞き返してしまう。
「知らないんですか?そんなに彼らの匂いが染みついているのに?」
(いちいち上から目線がむかつく・・・・・・)
「あの病院にいた人たちですよ」
「病院って・・・・・・永遠亭の事か?」
「はい、あそこにいた、兄、レンと、その守人、フェンルオと名乗る偽物の事です!!」
「!!!!!?」
思考が追いつかなくなかった。
「はぁ・・・・・・?」
「あれはお兄ちゃんじゃない!!フェンルオさんでもない!!」
「それってどういう意味だ・・・・・・」
「どういう意味ってそのままの意味ですけど」
「じゃあ、自分達が助けていたのは、敵って事か?」
「あなたが彼らと行動をしていたなら、そうなりますね」
「じゃあ、お前さんが逃げていた理由って・・・・・・」
「あの人達から逃げるためですけど・・・・・・」
(なんてこった・・・・・・)
「そう言ってくれれば、最初から、お前さんに協力したのに・・・・・・」
「そうなんですか?」
「そうだよ!!そうしたらお前さんと無駄な戦いをしなくて済んだんだよ!!」
「まぁ、別にあなたと戦ったところでわたしが勝ってましたけどね」
自慢げに言ってくるリコ。
「いや、完全に自分が勝っていた気がするんだが・・・・・・」
「い、いや、あ、あの時は油断していただけで、決して負けたわけじゃ・・・・・・」
かなり動揺している。自分はそれに棒読みで返事をした。
「ハイハイ、そうだな」
「聞いてませんね!!」
怒りだす、リコ。そんな中、自分はカウンターで、今日飲む酒を選んでいた。
「クロ・サン=フィアクル・・・・・・またワインか・・・・・・」
一本のワインを取り出す。そして、それをワイングラスに注ぎ、香りを楽しみながら飲む。
「ジィーーーーーー」
リコが再び物欲しそうな目でこっちを見てくる。
「なんだ?」
「それ、何ですか?」
「ああ、ワインの事か?なんだ欲しいのか?」
コクンー。
リコは首を縦に振った。
「駄目だ。お前さんには少し早すぎる。もっと成長してから飲むんだな」
そう言って、リコの前でワインを飲んだ。
「なっ!!ずるーい!ずるーい!!」
リコはワイングラスを奪おうとしてくる。
「ははっ、取れるものなら取ってみな!」
そうやって今日も夜が更けていく。
次の日、自分は机の上で目覚めた。いつの間にか寝てしまっていたらしい。
「んぁ・・・・・・」
隣を見ると、リコが寝ていた。昨日はしゃぎすぎて疲れたのだろう。起こさないように立ち上がる。
「さて、これからどうするかね・・・・・・」
(あんなこと言われたら、リコを見つけてきた、とはいえないよな・・・・・・)
「とりあえずは見つけていないということにしておくか・・・・・・」
このまま姿を見せないのも逆に怪しいと思われるだけだし。
そう言って外に行こうとした瞬間、何かに、引っ張られた。
「なんだ、なんだ・・・・・・」
何に引っ張和れているかを確認する。
「行かないで・・・・・・」
「・・・・・・」
恐ろしい夢でも見ているのだろうか。
(・・・・・・この子は強い・・・・・・だからこそ、何にも縋れなかったんだ。強すぎるがゆえに・・・・・・ならば)
「安心しろ、ちゃんと戻ってくる」
自分に縋れるようにしてやればいい。
「ふふっ・・・・・・」
リコの顔がこころなしか笑顔になった。そして、手が離れる。
「よし、じゃあ、行きますか」
扉をくぐり,
家を出た。
「・・・・・・」
リコが目を覚ます。少し顔が赤くなっているような気もする。
「・・・・・・」
リコも立ち上がり、扉をくぐっていった。




