表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方夢幻録  作者: 桜梨沙
第二章 狂った六重奏《セクステット》 〜sextet~
31/50

第三十話 異変の始まり

「・・・・・・ここは・・・・・・?」


 真上には見覚えのない天井。


「ッ・・・・・・」


 地面にたたき付けられた時のように身体のあちこちが痛い。その痛みに耐えながら半身を起こす。どうやら布団で寝ていたらしい。


「目が覚めたのかい・・・・・・」


 諏訪子を見て、何をしていたかを思い出した。


(そういえば・・・・・・自分は神奈子と戦っていたんじゃなかったか?まぁ、こうして自分が寝ていたってことは、自分が負けたんだろうけど・・・・・・)


「あぁ・・・・・・それより神奈子との勝負はどうなったんだ?」


 返事と共に、一応、確認で聞いてみる。


「!!・・・・・・覚えていないのかい?」


 自分の質問を聞いた諏訪子は怪訝けげんそうにこちらを見てくる。


(覚えていない?どういう意味だ・・・・・・?)


 諏訪子の言葉に引っ掛かった。


「覚えていないと言われれば、覚えていない。だが、どうせ自分が負けたんだろう?」


(自分ごときが神に勝てるはずがない)


 そう考えるのが普通だと思っていた。


「・・・・・・その言い方、本当に覚えていないんだね・・・・・・」


「・・・・・・さっきから、覚えていないってどういう意味なんだ?」


「レイ、あんたは神奈子に勝ったんだよ・・・・・・」


「マジかよ・・・・・・」


「それどころか、私と早苗が加わった三対一の状態でね」


「・・・・・・・・・・・・ハァ?」


(いやいやいや、自分が神奈子に勝った?それも諏訪子や早苗も加わった三対一で?・・・・・・流石にそれはないない・・・・・・)


「そんなわけないだろう?自分が神三柱相手に勝てるわけが・・・・・・」


 笑いながら諏訪子の顔をみる。


「とりあえず、あんたは勝ったんだよ」


 納得の行かない返事が返って来る。


「そ、そうなのか?」


「いや〜、あんた結構やるね。本気で戦ったつもりだったんだけどね・・・・・・腕が鈍ったかもしれない」


(全く記憶にないんだが・・・・・・まぁ、いいか)


「そういえば早苗と神奈子はどこにいるんだ?」


「永遠亭にいってるよ。あんたとの戦いで怪我を負っちまってね。本当は今からあんたを永遠亭に運ぶ予定だったんだが、その必要はないみたいだね」


「怪我?自分はあんたらに怪我負わせたのか?」


「たいしたことないよ。かすり傷程度さ」


「すまない。怪我を負わせるつもりはなかったんだが・・・・・・」


「いいんだ、私もあの時、神奈子を止めておけば、神奈子も、早苗も、あんたも怪我しないで済んだことなんだ。この責任は私にある」


「・・・・・・」


「まぁ、あんたが心配しなくてもいいって事よ」


(・・・・・・幻想郷ここの住人は心が広いな・・・・・・)


「そう言えば、なんでこの神社には三柱も神がいるんだ?」


「いちゃ悪いのかい?」


「いやそう言うわけではないんだが・・・・・・神奈子とあんた、一つの神社に祭ってある神様としてはちょっとおかしいんじゃないか?」


「何がさ?」


「あんたと神奈子の気が微妙なんだが、違うんだ」


「違う?」


「あぁ、あんたは多分八百万の神だ、多分。だが・・・・・・神奈子の方は、昔は神ではなく、他の何かだったんじゃないかって思ってな」


「あながち間違っていないよ。神奈子は神というか、神霊と言った方が正しいね。だけど、元が何であったか私も知らないのさ」


「そうなのか?」


「初めて私と神奈子があった時はお互い敵同士だったからね」


「敵同士?てっきり仲がいいって思ってたんだが・・・・・・」


「今はね。昔は違うよ・・・・・・話してほしいかい、私たちの昔話?」


「興味あるな、ぜひ聞かせてくれ」


「判った。早苗がもらってきた団子とお茶でも飲みながら話しおてあげるよ」


 諏訪子はそう言うと、近くにあったちゃぶ台を自分の方に近づけてくれた。


「おっ、うまそう・・・・・・」


 布団から体を出し、ちゃぶ台のの近くに座る。


「ん・・・・・・どこから話そうかね・・・・・・じゃあ、まずは幻想郷に来る前の私の事について話そうかね」


 そこから諏訪子の昔話がはじまった。その歴史は長く、二、三時間は諏訪子の話を聞いていた。







「へぇーあんたたちにそんなことがあったのか」


「そう、そして霊夢に負けて今に至るって訳さ」


「なかなか面白かった。早苗の事も聞けて面白かったぞ」


「それならよかった。話をしたかいがあるよ」


「さて、そろそろお暇しますかね」


 立ち上がり、背伸びをする。


「また暇なときにでも来な。もてなしてあげるよ」


「色々とありがとうな諏訪子」


 諏訪子に別れを告げた自分は守矢神社を後にした。


(・・・・・・あっ、そうだった。この山下りなきゃいけないんだった・・・・・・)


 しかし、来た道なんて覚えていない。


「どうすっかな・・・・・・ん?」


 辺りを見回してみると看板がある。


「人里行ロープウェイ こちら➡」


 矢印の方向をみてみるとそこには、ロープウェイがあった。


(おいおい、どういうことだよ。人里からここまで繋がってたってことか?じゃあ、最初の地獄の山登りは何だったんだ・・・・・・)


「あるなら、あると言ってくれよ・・・・」


「本日最後の人里行が発車します。お乗りになるお方はいませんか?」


「はいはいー!!乗りまーす!!」


 急いでロープウェイに乗り込む。


「では、発車しまーす」


 その声と共に、ロープウェイは動き出した。





 数分後、人里に付いた。


「うっぷ」


(・・・・・・気持ち悪い・・・・・・)


 どうやら乗り物酔いしてしまったらしい。少しでも気を抜いたら団子とかを戻しそうだ。


(急いで帰ろう・・・・・・)


 速足でなるべく衝撃を与えないように家路を帰っていった。




 何とか、腹の中の物を戻さず家に付いた。


 気付けはもう夜。辺りは真っ暗になっていた。


 家の電気を付け、棚から酒を取り出す。


「ルイ・ロデレール・ブリュット・プルミエ・・・・・・」


 シャンパンを引き当てたようだ。ワイングラスに注ぎ、ゆっくりと飲む。


(・・・・・・自分が勝った、か・・・・・・)


 信じられなかった。


(・・・・・・あの時だって自分が負けていたはずだ・・・・・・)


「おっと、この酒まで不味くしちまうところだった。危ない危ない」


(考えても無駄か・・・・・・)


 酒を飲みながら、今夜も夜は更けていく。








 次の日


「何しに来たのよ」


 縁側でお茶を飲む霊夢に問われた。


「暇だから来ただけだ」


「なら、帰ってくれる?あなたがここにいると営業妨害なのよ」


「そんな冷たいこと言うなよ。大体この神社に参拝客なんて来ないじゃないか」


 霊夢の隣に座りせんべいをいただく。


「あんた、なに勝手に私のせんべい食べているのよ!!」


「別に一枚ぐらいいいじゃないか」


「その一枚でも私の貴重な食料なのよ!!大体、あんたみたいな奴が大量にいるから、ここに参拝客が来ないのよ!!」


 縁側に足を置いてこちらに身体を寄せて来る。


「それは言いがかりだな」


「霊夢~いますか~」


 鳥居の方から声が聞こえてくる。声の方を見ると、そこには獣耳に見間違うほどの髪を持ち、和とかかれた耳当て、ノンスリーブ、紫のスカートを身に着けた女がいた。


「あら、神子じゃない、あんたがここに来るなんて珍しいわね」


「今日はあなたに依頼をと思いまして・・・・・・ところでおとなりは・・・・・・」


「自分はレイ。新参者だ。あんたは?」


「私は豊聡耳神子。気軽に神子って呼んでください」


「よろしくな」


「太子様~。待ってください〜」


 後から続いて、薄い緑色の髪で、頭には紐が付いた黒い鳥帽子のようなものを被り、白と濃緑色でまとめられたのロングスカートのワンピースを着ている。変わったところといえば、烏帽子やスカートの裾には大量の御札が貼ってあるということだろう。半霊だろうか。人間の足が無く、その代わりに、二本の足のようなものがある。


「で、あんたは何の用なのよ?」


「そうでした。あの、布都がどこ行ったか知りませんか?昨日の夜中に命蓮寺を燃やしに行くって言ってから帰ってこないんですよ」


「知らないわよあいつの事なんて。大体、命蓮寺を燃やしに行ったのなら、命蓮寺に聞きに行きなさいよ」


「行きましたよ。ですが、昨日の夜は布都どころか誰も来ていないって言われたんでこちらに」


「太子様、あのアホことです。きっとすぐ帰ってきますって」


「・・・・・・確かに、そうかもしれませんね」


「霊夢依頼なんだから、引き受けt・・・・・・!!?」


 急に嫌な気を感じた。


(この感じ・・・・・・あいつだ)


「・・・・・・」


 霊夢も気付いているようだ。辺りを見回して警戒している。


「霊夢、何なんですか、この気は・・・・・・」


「・・・・・・いるなら出て来いよ、グラシャラボラス」


「あらあら、ばれていましたか。なるべく気配を消したんはずなのですが」


 物陰から見覚えのあの男が出てくる。そう、グラシャラボラスだ。


「何しに来たのかしら」


 霊夢は鋭い目付きでグラシャラボラスを見る。それを見たグラシャラボラスは落胆していた。


「・・・・・・やはり私は幻想郷の人に歓迎されていないようです。でも、安心してください。今はあなた達には手は出しませんよ」


 甘い声で言う。しかし、その声が逆にこの場の緊張を高めていった。


「・・・・・・何をしに来たんだ」


 再びグラシャラボラスに問う。


「挨拶回り、ということで色々な場所を巡っているんですよ。いや~いいですね幻想郷。平和で。嫌いじゃないですよ」


(・・・・・・違うはずだ。こいつがこんなことでここにくるとは思えない・・・・・・)


「・・・・・・納得してくれてませんよね~え~わかってましたよ。本当に博霊の巫女やあなたっていう人は警戒心が高いお方だ。」


 境内を歩きまわりながら喋る。


「報告をしに来たんですよ。異変が起こります、と」


『!!!?』


「そろそろのはずですよ。人里で暴れ回って混乱を招く。暴走ですね。確か、名前は・・・・・・物部 布都とか名乗っていました・・・・・・」


「!!!?」


「私の前でそんなことを言うなんて、そんなに退治されたいのかしら」


「いえいえ、そう言うわけではありません。でも、今までの異変とは違いますよ、と伝えたかっただけです」


「どういう意味だ・・・・・・」


「それは自分の眼でお確かめください」


「待て!!」


「では、また会いましょう」


「逃がすとでも思っているのですか?」


 いつの間にか神子がグラシャラボラスの後ろに回り込んでおり、剣をグラシャラボラスの首に当てていた。


「おぉ、これは、困りましたね。殺されそうです。こんなに素早く動けるとは・・・・・・」


「これが瞬間移動というものですよ」


「瞬間移動!!凄いですね。尊敬しますよ!!」


「あなたに尊敬されてもうれしくはありません」


 その瞬間、神子は剣を振り下ろした。しかし、そこにグラシャラボラスの身体はなかった


「では、また〜」


 そう言って目の前から消えて行った。


「ちっ・・・・・・厄介事を持ってくるんじゃない」


 霊夢はお払い棒をもって人里へ行く準備を始めた。


「霊夢、自分も連れて行ってはくれないか?」


「・・・・・・なんでよ?」


「幻想郷に万が一の事があったら怖いからな」


「私を信用していないわけ?」


「いやそう言うわけじゃないんだが・・・・・・」


 機械のあの言葉が脳裏をよぎる。


「この危機は博霊の巫女でも食い止めるのが難しくて、あなたが必要なんです・・・・・・」


(・・・・・・グラシャラボラスが言った言葉も気になるしな・・・・・・)


「別にかまわないわよ・・・・・・でも、足手まといにならないで」


「もちろんだ」


「私達も行ってもいいですよね?うちの布都が異変を起こしているのですから」


「あの馬鹿!!面倒事増やしやがって!!」


「屠自古、そうも言っている暇はなさそうです」


「じゃあ、私は先に飛んで向かっておくわ」


「自分も急いで追いかける」


 霊夢は空を飛び、人里の方へ消えて行った。


「さて、自分達も向かうとしますか」


「では、私の瞬間移動で行きましょう屠自古、レイさん、私に捕まっていてください」


 神子の言う通り自分と屠自古は神子に捕まる。


「では、行きましょう!!」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ