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東方夢幻録  作者: 桜梨沙
序章 鳴り始めた序曲《オーヴァーチュア》 〜overture〜
19/50

第十八話 二人組

 ボタッ・・・・・・ボタタッ・・・・・・ボタッ・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・?」


 突然、黒犬はこちらに噛み付く事無く、逃げるように飛び退いた。そして、後ずさりをし、逃げるように闇の中に消えていった。


「・・・・・・たす・・・・・・かったのか・・・・・・?」


 まだある命のありがたみに言葉を漏らす。しかし、それは束の間だった。


「!!」


 後方からは足音が聞こえる。振り返ってみると、一人の男が立っていた。


「・・・・・・・・・・・・」


 ニヤッ。男は不敵な笑みを浮かべている。


「やっと見つけた・・・・・・」


(やっと?・・・・・・どういう意味だ・・・・・・?)


 しかし、そんなことはどうでもいい。急いでここを離れたほうが良い様だ。男に悟られ無いように、一歩ずつ後退りをしていく。


「・・・・・・」


 無言でこちらをじっと見つめてくる。それがまた、恐怖に拍車をかける。


「・・・・・・」


 男に背を向け、脇目もふらず走る。スピードを落とさずに、家まで帰った。途中、息が切れたが、走り続けた。


「何とか・・・・・・・撒けた・・・・・・か・・・・・・?」


 男は追ってきてはいなかった。そのことに、安堵する。そのとたんに疲れが吹き出る。二階の寝室まで直行し、ベットに倒れこむ。


(今日は災難だった・・・・・・)


 目を閉じると、すぐに意識は闇の中に落ちていった。



「おーい、人里で妖怪が暴れまわっている、急いできてくれ!!」


「またか?もうこれで今月は何件目だ⁉」


「五十件目よ」


「よくそんなにも頻繁に厄介事を起こしてくれるな。こっちも迷惑なんだが・・・・・・」


「そんなこと言ってないで、早く行くぞ!!」


「分かった、分かった」



「・・・・・・・・・・・・」


(夢・・・・・・か・・・・・・)


 しかし、夢とは思えないようなものだった。


(多分・・・・・・自分は夢に出てくる人物を知っている・・・・・・)


「だが・・・・・・」


(顔はモヤがかかって判らないし、名前もわからないんだ。調べようがない)


「まぁ、そんなこと考えても仕方無いか」


 考えるのをやめ、ベットから起き上がる。


「さぁ、今日も人里に行ってみますか」


 背伸びをし、階段を下りる。


「・・・・・・ん・・・・・・?」


 目の前の壁に違和感を感じ、足と止めた。しかし、見た感じは普通の壁だ。


「気のせいか・・・・・・」


 再び足を動かし、玄関から外に出る。そして、森を向けて、人里に向かう。その途中、二人の男と出会った。


「!!」


 そのうちの一人は見覚えがあった。そう、昨日の夜人里にいたあの男だ。


「ようやく現れてくれましたか・・・・・・」


 二人の男は、武器を持っている。昨日会った男の方は懐刀、もう一人の知的そうな男は槍を持っている。


「まだダメなのか?」


「あなたは、少しも待てないんですか?」


「だって、昨日から、戦いたくて仕方がなかったんだ。追いかけようともしたんだけど、あんたが止めたんだろう?」


「それもそうですね」


 敵の二人は、武器を構える。


「手合わせ、お願い出来ますか?」


「断ったら?」


「力ずくでも戦わせます」


「そうか」


 刀を鞘から抜き、身体の前で構える。


「構えたということは、了承してくださったと取っていいですね?」


「もちろんだ」

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