第十三話 メイド長 咲夜
玄関の門をくぐると、そこは真っ赤なホールだった。どこを見ても紅。しかし、異様に広い。そしてこのいような静寂。少し警戒を強めて、鉄扇を刀のように腰に差す。
(舞踏会でも開けるんじゃないか・・・・・・?)
そう思えてくるほど広かった。
「やっぱりやめようよ・・・・・・」
リグルが弱弱しい声を出す。その瞬間。バタン。玄関も扉が勝手に閉まった。
「今日は侵入者が多いわね。美鈴は何しているのかしら?」
声のする方を向くと、メイド服を着た女が階段の上に立っている。
(あいつが咲夜って言うメイド長か・・・・・・?)
性格がきつそうな女だ。
(あんまり関わりたくないな・・・・・・)
「門番なら寝てたぜ、メイド長さん」
「あら、そう。それなら後で美鈴にはお灸をすえましょう」
階段を一歩一歩下りてくる。
「そのことを報告しにわざわざ中まで?それなら、貴方にお礼をしなければいけないわね」
その一言で空気が張り詰める。
(空気が変わった!!・・・・・・嫌な予感が)
「死という名のプレゼントを」
「!!」
気が付けば、目の前には無数のナイフがあり、こちらに向かって飛んできていた。避けようとするも、四人が服を掴んでおり、うまく動けない。そのせいで、一本のナイフが、わき腹をかする。
「・・・・・・・ッ・・・・・・」
(このままじゃこっちが分が悪すぎる・・・・・・)
しかし、無数のナイフは、すぐに飛んでくる。
(おかしい・・・・・・ナイフを投げる動作をみせていないし、休憩も無しにこの量のナイフを投げ続けるわけがない)
すると、目の前から、咲夜の姿が消えた。
(どこに行った・・・・・・!?)
「ここですよ」
声がした瞬間、首には冷たいものが当たっていた。そして、何時の間にか身体は軽くなっていた。
「安心してください。あなたの後ろにいた妖精たちは気絶させました。仮にも彼女たちは、妹様のお友達ですから、殺しはしません。あなたは、違いますが」
「そうかい、それなら死んでもいいかな」
咲夜に気づかれぬよう、鉄扇に手を伸ばす。
「いさぎ良いわね。それなら楽に死ねるよう、一瞬で終わらせてあげましょ・・・・・・」
「と、言うとでも思ってるのかい」
「!!?」
掴んだ鉄扇を、後ろに突き出す。それに気づいたのか、咲夜は、バックステップで自分と距離を置く。
「まだ死ねない理由があるんでね、そうやすやすと殺されるわけにはいかないんだ」
「私に身をゆだねておけば、楽に死ねたものを」
鉄扇を握りなおす。
「ここからが本番だぜ、メイド長さんよ」
「そのメイド長って呼ぶのやめてもらえる?気持ち悪くて、悪寒が走るのよ」
「じゃあ、咲夜」
「そっちの方がいいわ。ま、別にあなたは死ぬからどうでも良いけど」
「死なねえよ」
「そう言っていられるもの今のうちよ」




