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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
【第一部】1.学園生活はここから!
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雑用から始まる学園日常……?

 懐かしの旧友レイドモンスターとの再会を果たし、学園に戻った双子は早速次の日から早くも試練が待ち受けていた。

 

 午前中は学園内でこれからの方針を決める説明会にほとんど時間を費やされた。

 そして午後。

 今現在、双子が何処にいるのかといえば――

 


 

「ねーシャルー。ホントにこの武具庫にある全部の武器やら防具やらを磨くのー?」


「仕方ないさ。これも『順番』らしいし、僕等は三軍の中でも更に下の『補欠』と言っても差し支えない身分だからね」


「もーシャルこっち来てから、ずっと仕方ない仕方ないってしか言ってないじゃーん! もっと自分の意志を持たないと!」


「い、いや僕は流されるタイプなんだなーと『さっき』思い知ったからさ……」

 


 ラディンに捲し立てられたのが余程堪えたのだろう。まさか攻撃するかしないかでの事で、あそこまでになるとは、と。

 


「身の程も弁えずに節操がない、と言われたらそれまでだし、当分は大人しくすると決めたよ」


「ちぇーシャルがそこまで言うんならしょうがないっか。えっと……30分経ったら代わりの人が来るんだっけ?」


「そ。もちろん『清掃ノルマ』もあるから、誰もいないからってサボったりしたら先輩達から説教らしいよ?」


「えー説教やだぁ……」


「じゃ頑張るしかないね」


「魔法でパパパっと磨くのは?」


「そこに『監視用魔法カメラ』があるよ」


「じゃあ壊しちゃえ!」


「やだよ……。そこまでしたいならルルナがやって頂戴」


「えー、シャルみたいにあそこまで器用じゃないし」


「じゃ頑張るしかないね」


「ほい……」

 


 それからしばらくの間、剣や斧、防具、兜を隅から隅まで丁寧に雑巾を持って磨く双子の姿があった。

 元々同じ作業を淡々とこなすのは、実家で合成しまくっていたシャルにとってはむしろ好きな分野だったようで、だらだらとやっていたルルナの10倍以上の作業効率は叩き出していた。

 

 ――それから黙々と作業し続け、29分経った。

 


「あ”-ん! やだーもうづがれだぁーッ!」


「まだ10個しかやってないじゃないのさ!」


「シャル何個やったの?」


「113個かな? いやーつい無心でやっちゃった」


「ほんとこういう小まめな仕事好きだよね……」



 そんな時、ガラガラと武具庫の扉が横に開いた。

 現れたのは三軍サードの男子生徒で、どうやら30分過ぎたからか交代の時間だったようだ。

 


「交代の時間でーす」


「やったー!」


「じゃ後はよろしくお願いします」


「次は何するの?」


「えっとね――合成だって。さ、ほら移動しなくちゃ」



 さっきよりは幾分かマシなのではと、ルルナの表情が希望に満ち溢れる。

 ――が、そんなものは儚い幻想だったと再び思い知る事になるのだ。




 * * *




 ――アルカディア学園、三軍用合成室――



「あ、きたきたーシャルルさんとルルナさんだよね?」


「はい、そうです」


「じゃー後よろしくねー。ポーションが残り201個と、毒消し8個と、スモールエーテル29個だから。私もう少しで二軍セカンドに上がれるから、こんな事してる場合じゃないのよね!」


 

 シャルルが「いやあの、僕等初めてで――」と言いたかった台詞は、逃げるように去った金髪の女子生徒に対して何も言えずポツンと取り残されるだけ。


 

「はぁ……もういいや。それにしても結構大きい釜だね。僕達が家で使ってるのは個人用だから、久しぶりにこのサイズのを見たよ」


「あ、あああのさシャル。ルルの聞き間違えじゃなきゃポーション100個とか聞こえたんだけど……?」


「そうだね。しかもここにある合成器具は大量合成できないやつばっかりだね。質も悪いし、型も古い、リストに書いてある合成手順も効率が悪いったらない」


「じゃあ何回作んないといけないの……?」


「んー。一回で5個くらいしか作れないから……それで割った回数だね」


『ヴォアアアアアアアアアアオオオオオオ』



 しばらく、呪詛に近いアンデッドのような喚き声が部屋に響き渡った。

 声にならない声というのは、人が本気で嫌がる時に出るんだなと、シャルルは感心していた。



「感心してばかりもいられないな……。僕とルルナだけじゃ合成作業が追い付かないぞ……!」



 予定されていた作業割り当て時間は40分。

 手順よくやれても一回で作れる量は5個が限度。

 そして一回にかかる合成時間は約一分。

 作成予定個数は、先程女子生徒が言った個数そのまま。

 ――結論。間に合う時間じゃない。

 何故こんな時間が押した事態になってるのか、すぐに双子は察した。



「成る程ね。あの女子生徒……僕等に『押し付けて』いったのか……」

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