予想外のアシスト
正面から再び特攻したアムは、メディウムロイド・ジェネレートにがむしゃらに斧を振り下ろす。しかし、生成されたマナリアブレイドで軽々と受け止められ、空いたもう片方の腕で反撃しようとする。
(やべえ、このままだと……!)
またさっきと同じ光景が繰り返されてしまう。そうアムは直感した。
自分の力はこんなものではない。それを証明するには、このタイミングこそが絶好だった。
――故に、アムは奮迅する。
「アタシの力は――!」
一度アムは斧を振り上げ、再び振り下ろす。その動きが、メディウムロイドにとっては予想外の行動だったのか、咄嗟に受け止めようとした際、剣の部分で受け止められずに腕の部分に斧が食い込む。
「こんな――もんじゃ――――!」
更にアムはもう一度斧を振り上げた。更に腕に斧を食い込ませたまま『メディウムロイドごと』強引に振り上げ、そのまま高く跳躍した。
『――! 予測不可能事態はっせ――』
「なああああああああいッ!!!」
アムは地上に落下する勢いを乗せて、そのまま思い切り地面へと叩き付ける。豪快な衝撃音と共に、抉れた地面は礫となって周りに飛び散る。その中には四肢から切り離されたマナリアブレイドを生成した右腕もあった。
「今だ! シャルル、ルルナ! リアンも詠唱しとけ!」
アムの合図に合わせて、前後から挟撃する。
シャルルの右手には雷属性を伴わせたダガーが握られ、まずは一足先にシャルルが突っ込む。
マナリアブレイドを失ったメディウムロイドは、再生しようにもどうしても数秒の時間を要する。一瞬一瞬の行動が決め手となる直接戦闘では、そのほんの数刻のタイムラグが命取りとなる。――からこそ、シャルルはこの期を逃さず無理矢理仕掛けたのだ。
なんとか姿勢を立て直したメディウムロイドは慌てて残った片手のマナリアガンで迎撃を試みる。
「当たらないね。これで――どうだい!」
持ち前の『天性の勘』で難なく回避したシャルルは、そのまま迷わずダガーを突き刺す。
「外側からの電撃には耐性があるみたいだけども……直接『中から』通されたらどうかな! ――痺れろ、『ヴォルテックスパーク』!」
シャルルは現時点での持ち前の魔力を最大限に開放し、内部へと余す事なく雷魔法を伝わせた。
「効き目は……十分だね! 行けルルナ!」
「まっかせてー…………よっ、とぉ!!」
素早く背後から奇襲したルルナはそのままメディウムロイドの両足を軽やかに払い、転倒させた。
派手にもんどり打ったメディウムロイドは『ヴォルテックスパーク』によって、一時的にだが内部を確実に狂わされた事により、再生はおろか立ち上がる事さえままならずに、これまでで最大の隙を曝け出してしまう。
「チャンスだよリア! 飛びっきりのをお願い!」
遠目で見ていたリアンはルルナの声に大きく頷き、魔法の余波に備えて3人はその場から離脱し、発射はいつでも出来る状態だった。
(撃つ魔法は氷。氷の魔法。私の苦手な氷魔法……)
別に難度の高い魔法だったり、上級の魔法である必要はない。単体威力を高めた氷属性であればそれで対象は凍てつき、活動を事実上停止させられるからだ。
――それでも、その手から魔法を放てない。意識すればするほど、リアンの手の震えが少しずつ、だが確実に強くなっていく。
今は遠くから皆が見ているからすぐには気づかない。でも、このままじっとしていたらおかしいと思われるのは時間の問題。このチャンスを潰す事は、全てが無かった事になってしまう。
「私が……やらないと!」
失敗してしまったら――――その気持ちを強引に押し殺して、リアンは目の前の敵を鋭く見据える。
手の震えは今や無視して、そのまま魔法を放とうとした。
「……ったく。ホント、見ててイラつくわね」
そんなリアンの震えた手の上に、『誰か』の声と一緒に、もう一人の手の平が遠慮なく覆い被さる。
「え……れ、レイラ!?」
「私が氷の力を杖に直接伝達させて制御するわ。後は好きに撃ちなさい」




