放たれるセカンドオーラ……?
たった今まで危ない会話をしていたばかりだっただけにいささか不用心過ぎたかと、二人の心臓がわずかながらにも弾む。
そしてシャルルの返事と共に恐る恐るといった様子でドアが徐々に開かれると、向こう側で二人が立っていたのは、学園の制服を着込んだ二人より少しだけ年上っぽい雰囲気をした藍色の髪の女子生徒だった。
「あのーシャルルさんとルルナさん、ですよね?」
「そうですけども僕等に何か?」
「新入生歓迎会の二人のメンバーになので迎えに来た二軍所属の『ティナ』と言います。よろしくね」
「すごーい胸元についてる『エンブレム』なんだかルルのよりも豪華で綺麗っ! それが『セカンドの証明』ってヤツなのね!」
(……ルルナのニュアンスって絶対褒めてる風に聞こえないよなあ……)
などとシャルルが思ってる事など知ってか知らずか、優しい聖母のような微笑みで優しく握手を求めるティナにシャルルは「はあ」と言いながらも淡々と握手を交わす。
一方でその後ろからひょこっと現れたルルナも元気な自己紹介をしながら握手する。
「あのー自己紹介もいいんですが、僕等歓迎会ってだけでそれ以外まともな説明を受けてないんですよね……」
「その辺も含めて話すわ。後まだ何も食べてないでしょうし、食堂で食べながらでもいいかな?」
「あーそうだなんも食べてないや! ゴハンだー!」
ぴょんぴょんと現金に喜びながら部屋を出るルルナに、ティナからも自然と笑みを零しながらも、一同はひとまず食堂へ向かう事にした。
* * *
「ぷはぁーっ。ごちそうさま!」
「ルルナ食べ過ぎ……僕もごちそうさま」
「どう、美味しかった?」
満足気に天井を仰ぐルルナの代弁も込めて「とても美味しかった」とシャルルは心からの賛辞を贈る。
「いきなりで驚いたと思うけど、新入生歓迎ダンジョン探索って言うのは本来チームに分かれてて本来一緒に行動できない一軍や二軍の方達が二人ずつ加わって合計6~7名でダンジョンを探索する事なの。勿論安全面には最大限配慮するから万が一の心配もないと思うわ。これまでに大きな怪我人が出たっていう話も無いし」
「へーすごーい。ティナさん以外にも誰か来るの?」
「セカンドの人達は進行役になってるから予めメンバーを決めとくんだけど、ファーストの方達は最後まで分からないの。一軍と三軍のメンバー選びはくじ引きで行うから現地集合した時じゃないとパーティの詳細がはっきりしないのよね」
「成る程そういう事情だったんですね。……あれ、じゃあもう一人いるのでは?」
「そうなんだけどね……。ちょっと用事があるからって今いなくて……」
「ええ何それ。ティナさんに押し付けたって事ー!?」
同じ女性として許せない部分があるのか、いきり立つルルナに「どうどう」と抑えるシャルル。そんな二人を見比べて、ティナはまたくすりと笑うのであった。
「ルルナさんはとても賑やかね。なんだか私まで笑っちゃう」
和んだ雰囲気になり、このまま穏やかな会話が続くかと三人は思った。
しかし突然割って入るように飄々とした口で登場したのは、同じ二軍の制服に身を包んだ男子生徒だった。
「おういたいた。わりいわりい待たせたなティナ、おっもしかしてその二人が新しく入った三軍の連中か?」
(ルルナ。分かってると思うけど『敬語』ね)
(わーかってるよ、んもう!)
「ルルナですっ! よく分かりませんけど、とにかく頑張りますっ!」
「シャルルと言います。同じく駆け出しですが――」
「おー新入りなのに挨拶がしっかりしてて偉いじゃねえの。魔法騎士序列第3821位、二軍所属の『ラディン』ってんだ!」
「もう、遅いわよ。集合までもう一時間切ってるんだから」
「まあいいから。早速行こうぜ、俺の新しく編み出した氷属性魔法剣をこれからいくダンジョンのボスに一発かまして一軍の先輩連中を一泡ふかしてやっからよ」
(ねえシャル、このラディンって人さっきから妙にイキってない!?)
(……分かってても絶対顔に出したらダメだよ?)
時間も時間となった4人は、決められた所定の待ち合わせ場所へと各々の想いを馳せながら向かうのだった。




