漂白
その日、ウィリアムは何やら私に話しかけていたが、何を言っているのかさっぱりわからない。ようやく聞き取れた単語が「ブリーチ」。
「ブリーチ?」
私が聞きなおすと、そうそうと頷くウィリアム。
何をブリーチしたいのか。髪の毛?いや、金髪ではないにしても、ウィリアムの髪の毛は薄い色で、ブリーチなど必要ない。
一応、ちゅんちゅんの脱色した毛先を指さしながら「ブリーチ?」と聞くと、そうそうと頷く。
髪の毛?
すると、ジェスチャーで、衣服に何かついたからシュワっとブリーチしたいようなことを示してくれた。
どれどれと思って、台所用の漂白剤を持って洗面所に行くと、ウィリアムのエプロンが。エプロンには黒いシミや赤っぽいシミが付着している。
これか。
てか、コレなに?どんな調理をするとこんなシミが?
どうやら、イカを捌いたらしい。ウィリアムがイカの説明をするのに、どうしてもタコと区別したいらしく、かなり事細かに説明してくるが、イカだろ?イカの墨が付いたんだろ?別にタコでも良いと思うが。
とりあえず、私が頭に三角を作るジェスチャーをすると、納得してくれた。うん、イカだね。
さて、ブリーチの仕方を教えてくれと言われたが、布類にブリーチすると痛みやすいと聞いたことがある。いくら真っ白のエプロンとはいえ、ブリーチは最終手段だ。ということを伝え、まずは、普通の洗濯洗剤でつまみ洗いをしてみた。
しかしウィリアムはその私の後ろで「ブーリーチ!ブーリーチ!」と変な踊りを踊っている。
悔しくなってきて、何が何でも洗濯洗剤で汚れを落としてやろうと思うのだけど、時間が経っているせいかイカスミのせいか、黒いシミは全く取れない
完敗。
ということで、いざブリーチ。
そして、洗濯。
翌朝、真っ白になったエプロンを見て、ウィリアムは親指を立ててニッコリ笑ってくれたのだった。
洗濯ネタはここまでw