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6週間家族  作者: marron
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朝っぱら


 ウィリアムは寝坊をしない。

 小栗家の朝はわりと早いと思う。あす君は4時台とかに平気で起きてる。

 5時ごろには主人とちゅんちゅんが起き出す。私も6時にでかける主人のお弁当が間に合うように起きている。

 末っ子は6時からのラジオ、基礎英語を聞いている。

 朝はそれぞれ、静かに自分のことをしている。会話はほとんどない。


 そこに起きてくるのが、ウィリアム。6時15分くらいかな。

 寝ぼけ眼で「おはよー」とみんなで挨拶をする。全員眠いので会話はほとんどなく、ウィリアムはひとりで朝食をとる。そして朝食が終わると身支度をして出かける。

 出かけるときは、ウチの子たちが全員玄関に集まって見送りをする。初めのころは恥ずかしがって見送りに来ないでくれと言っていたのだけど、だんだん慣れてきたのか諦めたのかは知らないが、とりあえず私たちが見送りに出てくると、笑顔で「いってきます」と手を振るようになった。

 そして、ある日

「Suzume, You looked so much like coffee beans that I woke up unintentionally,,,」(超適当。真面目に訳さないでね)

 と、ちゅんちゅんにむかって何やら英語でペラペラ話しかけてきた。

 ちゅんちゅんは、一度

「は?」

 と聞き返したがウィリアムは

「You looked so much like coffee beans that I woke up unintentionally,,,」

 ともう一度同じようにペラペラ話した。ちゅんちゅんは私よりずっと英語ができるので、ウィリアムもゆっくりと話さないで容赦なく普通に話しかける。

 ちゅんちゅんは

「あーははっ、そう、ふうん」

 となんとなくおざなりに応えて、手を振ってウィリアムを送り出した。


 ウィリアムが出かけてから

「なんて言ってたの?」

 と私が聞いたら

「わかんなかった。朝っぱらから英語耳にならない。なんか、私のこと、コーヒー豆みたいって言ってた気がする」

「コーヒー豆!?」

 寝ぼけた朝の耳には、ウィリアムの言葉が「コーヒー豆」に聞こえたらしい。

 しかしあながち間違ってないかもしれない。なぜなら、ちゅんちゅんは(茶色に近い)オレンジ色のパーカーを着ていたのだ。見方によってはコーヒー豆に見えなくもないかも。

「乙女にコーヒー豆て!」

 と、ちゅんちゅんは少し怒っていたが

「でも、ウィリアム、前に自分のことレーズンみたい(な頭)て言ってたよ」

 と私が教えると、

「レーズンて!」

 と大笑いしていた。

 しかし、本当にちゅんちゅんのことをコーヒー豆と言っていたかどうかは、結局わからないのだった。


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