念願1
末っ子はウィリアムが大好きである。
ニコニコしながらウィリアムの前に座って
「ウィリアム、大好き」(日本語)とか言っちゃうのだ。
ウィリアムと聞こえて本人が「うん?」とこっちを向いたので、私が
「彼(末っ子)はあなたのことが好き(like)って言ってるよ」
と伝えたら、なんと末っ子が自分から
「アイラブユー」
と告っていた。
ウィリアムも、そんなストレートな末っ子の告白に
「オゥ、ヨシ~」
と胸を押さえて悶えていた。なんなんだ、あんたたち。
さて、そんなウィリアムラブの末っ子の念願と言えば、ウィリアムと一緒にお出かけしたいということ。できることなら、プリクラとかで一緒に写真を撮りたい。らしい。
そんなことなので、私から誘ってみた。
「今度の土曜日、あなたとヨシと私で、中野に行かない?」
「何しに行くの?」的なことを英語で。
「プリクラに行こうと思う」
「ああ、残念。僕は予定があって。二人で行って楽しんで来て」的なことを英語で。
予定があるんじゃ仕方がない。末っ子はガックリしていたけれど、ウィリアムが一緒じゃなきゃ意味がないから諦めた。
ところが、その次の日だったか、ウィリアムが主人に
「今度の土曜日、遊びに行くのにお勧めの場所ありますか」
と聞いていた。
うん?今度の土曜日・・・予定あるんじゃなかったのかい?ウィリアムと主人の話を聞いていて何か腑に落ちない私。末っ子は英語が分からないけれど、それくらいのことは私はわかるんだけどなあ。
「こないだのテストに合格したから、自分へのご褒美に包丁を買いに下町に行くから、その後どこか行こうと思って」的なことを英語で。
うん、まあ、包丁を買いに行くという予定は分かったけど、だったら中野はその後でも良いじゃん。
なんだか、断られた末っ子が可哀想になってしまった。おばちゃん(私)と子ども(末っ子)と一緒に出掛けるのが嫌だったのかな。まあ、それは仕方がないのかな。
そんなことがあって、土曜日。
「今日は表参道に行こうと思う」的なことを英語で。
とウィリアム、突然の予定変更。どうした!?
「包丁は?」と聞くと
「それはまた今度にする。今日は、話題のパン屋さんがあるらしいから、そこに行こうと思う。一緒に行く?」的なことを英語で。
ということだ。
「私たちも行って良いの?」
「勿論」
パーッと末っ子の表情が明るくなって「はいはーい!」と手をあげ、一緒にお出かけすることとなった。
末っ子、良かったね~。




