傘
ねえねえ、アメリカ人って傘知らないの?
なぜそう思ったかというと、ウィリアムは傘をささないから。
確かに冬の東京は乾燥しているけれど、雨が降ったらぬれまっせ?それなのにウィリアムは傘をささない。持ってないのかなーと思って、折り畳み傘を渡したのだけど、お守りのように鞄に入れるだけで、さしている形跡なし。
ウィリアムのアメリカのおうちは、サンフランシスコって言ったかな。雨降らないのかなあ。
でも、ここは日本だし。東京は晴れていることが多いとはいえ、雨の降る日も勿論あるし。それに、ウィリアムが来てから、結構雨降ったんだけどなあ。
傘、使ってないよね。
まあ、ウチから駅まで6分くらい。途中並木道があるから、木の陰に・・・て無理!濡れるよー!!風邪ひくよー!
そう思ったが、傘はささない。
先日、最後のピアノの生徒さんが帰る時、玄関までお見送りに行った。玄関を開けると、ウチの前の花の飾ってあるところに、黒い物体が。無造作にポイと。
「あれ~、これなんですか~?」
と、生徒さん。
「あ!それは、ウチの子の」
なんと、ウィリアムの上着がそこに置いてある。ていうか、干して?あった。かなりびしょびしょで、うん、傘使ってないね~。
とりあえず家に持って入り、椅子の背もたれにかけておくことに。
あー、なるほど。レインコート的な感じなんだね~。
次の日の朝。
「ウィリアム、今日は大雨警報が出てるよ」
と伝えると、
「オウ、じゃあ今日は傘が必要だね」的なことを英語で。
しかし、結局彼は傘をささずに出かけたのだった。




