門限
我が家の門限は9時となっている。ちゅんちゅんはバイトがあるので、少し遅れることもあるが、いつどこでバイトをしているかわかっているので、問題ない。
問題はウィリアムだ。
詳細に、いつ、どこで、誰と、が聞き取れない。(多分伝えてきていない)
で、彼も9時に帰れない時は連絡すれば良い、とだけ思っているので、9時に帰れない場合、何時に帰ってくるのか、私がわからないという・・・問題だよね。
17歳は未成年だし、ホームステイとはいえほとんど観光客と同じようなもの。背が高い(この時点で17歳に見えない)し、しっかりしているとはいえ、やっぱり子ども。ふらふら繁華街を歩き回っていたら危険だと思う。
「今日と明日と明後日は、夕飯要らない。友だちとゲームして遊んでくるから」的なことを英語で。
うん、聞きたいことあるぞー。
ゲーム、どこで、何時までやるの!?友だちって誰?日本人?大人?その人、大丈夫な人なの?
昨今日本の小学校では、子どもが遊びに行くときに「どこで、誰と遊んで、いつ帰ってくるか」を約束する。まだるっこしいけど、子どもを守るためには必要な情報。それが身に付いてる私としては、ウィリアムが誰とどこに行くのか、すごく心配だった。
今はネットで知り合って犯罪に巻き込まれるケースも多い。誰(どうやって知り合った友人)と一緒なのかはかなり重要な情報だと思うのだけど、知りようがない。
心配し出すときりがなく疲れてしまって、私は部屋に戻った。
そして10時半をすぎてウィリアムが帰ってきた。
ああ、よかった。帰ってきたな。しかし、ウィリアムは「今日と明日と明後日」と言っていた。3日間もこれをやるの!?
と、思ったら主人が
「夜10時の池袋(に行ってたらしい)で未成年が遊んでいるのは危険だ。私たちはとても心配していたんだよ」と言ってくれた。
次の日の朝、ウィリアムが出かけるときに
「今日は学校の後、ゲームしに行くんだよね?」と聞いたら
「遅くなるから、今日は帰ってくると思う」
のようなことを言って出かけて行った。そして、ちゃんと夕飯までに帰ってきていた。
窮屈ではあるけれど、私たちはウィリアムを守りたい。きっとその気持ちが彼の心に届いていると思うと、ホッとしたのだった。
***
で、きれいにおさまると思ったら大間違い。
その後彼は、10時半越えを何度かやらかした。そのたびに「ゴメンナサイ」と神妙な顔をして謝ってくるから、責任は自分でとってもらうことにして、説教はしなかった。
ここらで薄っすら気づいたが、彼は高校中退という経歴を持つ。それはいわゆる“普通”とは違うということで、本人もそうだし彼の家族もとても自由な考え方をしているわけで…
ま、そういうことだ。




