ひとりっ子
ウィリアムは一人っ子らしい。
そのため、ひとりで何でもやろうとするし、ひとりで行動することが苦にならない。ひとりで楽しいことを探すこと、見つけることも得意だそうだ。(ウィリアムのママ談)
そしてひとりでいることも気楽なはずである。それなのに、夕食後はだいたい団欒の時を持つため、居間にいる。
あす君やちゅんちゅんが(居間で)勉強をしていて相手にしてくれなくても、主人のマシンガントーク(英語)の相手をしているし、主人が部屋にあがってしまったら、末っ子と何やらかみ合わないゲームの話をしてたりする。
学校のない週末。ウィリアムはひとりでどこかへ行く。
金曜日の夜から日曜日までは学校のことを忘れて遊びたいらしい。しかし遊ぶと言っても、何をしたらいいのだろう。もともと、我が家もあす君の受験を筆頭に、それぞれ予定があるため、ウィリアムをどこかへ連れて行ってあげたりする余裕がない。
それでも全然気にしないウィリアム。
「今度の金曜日の夜、映画を見に行くけど、一緒に行く人いますか?」的なことを英語で。
「はーい!」
って、末っ子。お前は無理だ。ごめんウィリアム、ひとりで行ってくれ。そんな感じでも全然気にしない。
「次の土曜日、僕にお勧めの場所はありますか?」的なことを英語で。
「そうだなー、浅草はどう?」
って、ひとりで行くの?そうだよね、我ら小栗家一同はみんな予定があるし。ということで、ひとりで浅草に行ったウィリアム。
帰ってきてから浅草はどうだったかを聞くと、
「ピンクのモヒカンの豚がいた」的なことを英語で。
ん!?豚?
「豚!?ピッグ?」
「うん。ピッグというより、ホッグかな」的なことを英語で。
ホッグって何だよ?
彼は一体何のことを言ってるのだろうか。そこでちゅんちゅんが
「獅子舞とかじゃないの?」と。
なるほど。そういうやつかもしれないね。
さんざんみんなでピッグについて語った後、ウィリアムが写真を見せてくれた。
「おお、本当に豚だわ」
そこには日本的な何かや、伝統的な何かがあったわけではなく、本当に普通に豚がピンクのカツラのようなものを付けている姿が写っていた。
浅草、恐るべし。