折り鶴
外国人向けの(モバイル用)シムカードだかなんだかを、ウィリアムが一生懸命セットしていた。旅行者向けにそういうのがあるらしい。
説明文は英語をはじめ、各国語で描かれていて、日本へようこそみたいな紙が入っている。そこに、一緒に千代紙が入っていた。しかもご丁寧に英語で鶴の折り方も書いてある。
ウィリアムがうんうん唸っているので「なにやってるの?」と見たら、鶴を折ろうとしているようだった。
折り紙の図解説明は、慣れない人が見たら日本人だって理解しにくい。それを、外人ができるはずはない。
「鶴折ってるのか。教えてあげるよ」
と思ったけど、私、鶴の折り方まだマスターしていないのだった。念のため言っておくと、私は折り紙が趣味なので図を見ればだいたい折れるが、なぜか鶴は折りにくい。
そこで、ちゅんちゅん登場。
「一緒にやろう。レッツトライ」
ということで、まずは我が家の折り紙コレクションからウィリアムに紙を選んでもらうと、なんと彼はピンクが良いと言った。
「え、ピンク?」
「ピンク。ピンクは男の色だ」的なことを英語で。
「マジで?」
「マジデ?マジデ」これは片言の日本語で。
いや、そういう言葉は覚えなくて良い。
ピンク系花柄の千代紙を愛おしそうにすりすりするウィリアム。うん、ヘンな図。
とりあえず、ゆっくり手取り足取り鶴を折った。ウィリアムも、図解よりはずっとわかりやすいようで、ちゅんちゅんの言うとおりに折っていった。
が!
端と端を揃えるとか、そういのは難しいらしい。
何度か手直しをしてあげて、やっと出来上がった可愛いピンクの鶴は、
「これ、宝物にしてアメリカに持って帰るんだ」
と、すぐに部屋に持って行った。
自分で折ったピンクの折鶴。180センチのイケメンのお土産だと思うと微笑ましい。