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code-5-1:出会い

 家を出ると、そこは森の中だった。正確に言えば少し開けた場所なのだが、周りは鬱蒼とした木々に囲まれている。遠くで滝の流れるような音が聞こえる。水はそこから調達しているのだろう。後ろを振り向くと、なにやら家の横で大きな機械が動作している

「発電機かなこれ。聞いたところでよくわからないだろうし気にしないでおこう…」

 周りを観察していると、クロンから通信が入った。

『よう、聞こえるかい?』

「おわっ!急に話しかけないでくれよ!」

『悪い悪い、だがちゃんと繋がってるようだね』

 どうやら耳の辺りに付いているデバイスから聞こえてくるようだ。急ごしらえではあるが、タイムラグもなくしっかりと受け答えができる。

『やあセイド!クロン一人じゃ大変だから僕もナビゲートするよ』

「そりゃ助か…セイド?」

『あ、クルセイドだとちょっと長いから省略したんだ。もし嫌だったら言ってね』

「いや、それでいいよ。よろしくなメディ」

 本来の名前すらわからない今となってはニックネームで呼ばれるだけでも嬉しい。だが今はその事について深く考える暇はない。

『さて、さっそくだがヘルムを装備してくれないか?どうやらそのヘルムはただの防具じゃないみたいだ』

 いまいちよくわからないが、言われた通りにする。目を閉じ想像すると、頭部付近に何かが形成されていくのがわかる。形成が終わり目を開けると、目の前には今までの風景に重なって多くのメーターや文字数字が表示されている。

『それは簡単に言えばあんたのステータスみたいなもんだ。バイタルチェックはもちろん天気や気温、湿度を見たり、敵のロックオンやさっきも言った電波による策敵もできる。他にもいろいろあるんだが…まあ要は便利機能つきの防具だね』

「ゼニスもこれを商品化して儲ければいいものを、なんで世界征服なんか考えちゃったかな…」

『あいつの思考なんか考えるだけ無駄だよ。今はそんなことより敵の策敵だ。code-Dはマーカーの指してる方向にいるよ。まだ距離は変わってないが急いだ方がいい』

「オーケー、この体なら5kmなんてすぐだ」

 クルセイドは助走もつけずいきなり走り出す。それでも初動はかなりのもので、通常の人間の何倍も速く走れた。

「施設から脱出するときは気付かなかったけど、体感的にもかなりスピード出てるなこれ」

 あっと言う間に2km以上を走り抜け、敵はもう目前かに思えた。しかしここにきて予想外のことが起こった。

「あれ、敵の反応が消えた?」

 今まで敵の位置を示していたマーカーが突然消失した。

『あ、忘れてた。そのさき…は…』

「クロン?」

 クロンの声にノイズがかかったようになり、最後には完全に聞こえなくなった。

「おかしいな、早速不調か?なんか幸先が悪いな…」

 視界にも若干ノイズが入る。気が散るため一旦ヘルムの装備を解除する。

 どうせ向こうからもわからない。ここからは地道に目視で探すしかない。そんなことを思っていた時に、声は聞こえた。

「止まりなさい」

 声は頭上から聞こえる。声の方を向くと、木の上に立つ一つの影が見えた。


 その頃、クロンとメディは途方に暮れていた。だが二人にはこの通信障害の原因がわかっているようだった。

「クルセイド、おーい。だめだ、何も聞こえなくなった」

「ねえ、あそこ見覚えあるんだけどもしかして…」

「ああ、()()()()()()()()()()()()()()()。完全にうっかりしてた。こりゃ初戦からめんどうなことになりそうだね…」

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