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赤ずきんが真実を語ったのかどうか誰も知らない  作者: 相木ナナ
「猫がチートで何が悪い」(長靴を履いたネコ)
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ハンタームーン

「汝を生んだのは都会だ。

都会から離れられると思ふか

人間は人間の為した事を尊重しろ

自然よりも人工に意味がある事を知れ

悪に面せよ

PARADAIS ARTIFICIEL!」


高村光太郎『声』より

 

 あと3時間35分と29秒。


 彼の寿命が終わるまで、時間はとうに半日を切っていた。


 誰しもに平等に流れ刻まれる時間が、今日もまた切り取られていく。




「ふふっ……美味しいねェ。なんて美味なんだろう、鮮度がいいからかな」



 引き抜いたその手からは、生ぬるい血がこぼれ落ちる。


 かつて少女だった残骸いれものに、口をつけてその芳醇な味を舌を鳴らして味わう。


 爪の先で血管を弾くようにパチンと切ると、鮮血いのちのみずはまた大量に溢れた。



「美味しいーーオイシイーー!」



 掴んだ内蔵をかかげて、その臓器を絞るように口に運ぶ。


 そこかしこに広がる血の匂いはむせかえるほど濃厚だったが、ひたすらに血をすすった。


 そう、誰も邪魔などはさせない。


 今はこの御馳走グルメを味わう最上のディナータイムなのだから。



挿絵(By みてみん)


{ハンタームーン} 



 東京という不夜の街は眠ることを知らない。


 雛阪ひなさかカイトは、歓声と騒々しい車とネオン、電車の騒音の中で、偶然にも「彼女」と「彼」を見つけた。


 時刻は夜の10時を過ぎている。


 立ち止まった雛阪にぶつかりかけた若い女性たちが、むっとした様子を見せたが雛阪を観察してからそのモデルのような容姿にクレームをつけるのをやめたらしい。


 周囲は居酒屋の呼び込みやら、路上ライブをする若者が街に負けない大声を上げていた。



「へぇ……珍しい」



 いつぶりに見るのだろう。


 そうは思っても雛阪が知っている「彼女」ではない。



 赤いフードの下は綺麗な黒髪と整いすぎたほどの美貌。


 夜の東京に居るには幼い少女だが、瞬間その大きな瞳が雛阪を捉えてから無関心の色でスルーされた。


 連れの「彼」は禁煙のマークの下でタバコを取り出すと、無遠慮に火をつける。


 すらりとした長身に、鋭い眼光は色素が薄い。


 たちまち通りすぎる人々から不満の囁きが漏れて、赤いフードの少女が「彼」の足を踏んだ為に、路上喫煙は終わってしまった。



「よし、尾けてみるか」



 雛阪の独り言など、道往くひとの誰も聞きとがめない。


 どれだけ警察が注意喚起しようとスマートフォンを片手に、人々は進んでいく。


 ブツブツ言っているやつがいてぎょっとしたら、ただのブルートゥースでの電話だった、なんて時代はもうコンマで過ぎ去ろうとしている。


 そして都会では誰もが知らない相手になど興味を払わない。



 雛阪にはバイトがあったが、好奇心には勝てなかった。


 そもそも雛阪にとってはバイトなどいくらでもあるのだ。


 しかし、「彼女」と「彼」にはそうそう会えるものじゃない。



 高級ダメージジーンズからウォレットチェーンを鳴らしつつ、雛阪はそっと人の波に紛れながら二人を追い始めた。


 人混みの中でも「彼」の重そうなバックパックと、「彼女」の赤いフードはそれなりに目立つ。


 傍から見ればそれは楽器でも持っているようにしか見えないが、雛阪はその中身がそんな平和なものではないことを知っている。



「コードネーム、”赤ずきん”かーーーー」



 雛阪が呟いて、バイト先からの電話をワンフリックして拒否した。


 後のことはあとで考えるとして、今は追跡が優先だ。


 手にぶら下げていたコンビニの袋からメロンパンを出して、咥えながら食べるというマナーの悪い食事をしながら雛阪のスニーカーが音もなく二人を追う。


 .

これってモノローグですね。全然始まってませんが、色々頑張ります、とりあえずホラーと名乗っていいのか謎なので、ローファンに逃げ込みました。

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