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さくらブルーム  作者: レーン
magic 2「魔力レ○プ!永久機関と化した大介!」
7/11

シャード・カッパード


 ブラックキューブを吸収してしまってから数日が経過したが今の俺に特に変わった様子はない。

体調もすこぶる良好だ。

変わった事があるとすればそうだな、魔法を使っても全く疲れなくなったくらいかな。

魔力の総量自体は以前と変わっていないが、減らない。

使っても使っても減らない。

どうせなら魔力の総量が増えてくれた方が嬉しかった。

そうすれば今まで使えなかった魔法が使える様になるというのに。

まあ魔力が減らないってだけでももの凄い事なんだけどね。

マラソンで言うならいくら走っても疲れないってことだから。

大魔導や凪ねーちゃんレベルの人は総量もありつつ殆ど魔力が減らないような化け物ばっかだけどね。

少しは近づけたかな凪ねーちゃんに。

自分の力じゃないという所が少し引っかかるけど。


 あの後俺に異変がない事が分かった時点でブラックキューブの事は保留、内密にという事で解散となった。

(凪ねーちゃん曰く「バレたらばばーに殺される・・・」らしい。ばばーとは学園長の事だ)


少し心配だった他の人にバレないかという所だが結論から言うと誰にもバレていない。

マッド樋口は意識が戻った後に伝えようか迷ったが追い回されそうなので黙っておいた。

ブラックキューブ探検メンバー(マッド樋口を除いた)以外には知られていない。


 「にーにはいいよねぇ、使っても使っても魔力が減らないんでしょ?羨ましい」


 「将太、同感だ。あいつはチート野郎だ。課金厨だ」


 「いや、課金はしてねーけどさ……」


羨ましがられる程度。

いつもと同じ日常だ。

何かが大きく変わってしまいそうで不安で仕方がなかったけど、今の所は大丈夫みたいで

安心している。





 ■ディアーウィッチ学園敷地内某所


 謎の男『へ~……あの小僧がブラックキューブをね……はは、面白くなってきたじゃねーか』


 謎の女『おもしろい?私にはそうは思えんが。あんな何でもない小僧にブラックキューブを奪われたのだぞ。由々しき事態だ』


 謎の男『な~に言ってんの、何でもない小僧だからいいんじゃねーか。だってよ、あの天馬凪から奪うのを考えればよ、こっちの方が楽ってもんでしょ』


 謎の女『天馬凪……奴だけはこの私が……!』


 謎の男『ちょっとちょっと、熱くなるのはいいけどさ、目的がすり替わってるよ、本当天馬凪の事になると一気に冷静さを欠いちゃうんだから』


二人の男女は画策する。

ブラックキューブを奪うべく。

表の日常には出ない不穏さが一気に漂い始めていたが大介達はまだその事に気づいてすらいなかった。




 ■ディアーウィッチ学園 教室


 あれから少しの時間が経過したがこれまたいつも通りの日常。

今日も一日いつも通りの授業を受けて、一日暇だな~なんて考えていたがどうやらそうでもないらしい。

なにやらHR前の教室が騒めいている。

何事かと隣の席の阿久比に問えば


 「スターダストから教師が転任して来て私たちのクラスの担任になるってもっぱらの噂だ。聞いてないのか?」


 「悪かったな友達が少なくて」


憎まれ口を叩いておく。

そして始業の時間になり教室のドアがガラリと開かれた。


 「おーおはよう……テメーら元気かぁ?」


観音寺が教室に入ってくる。

いつも通りやる気が感じられない。

すると観音寺のすぐ後ろからビシッとスーツを決めた長身の男が教室に入ってきた。

サングラスをしているので表情は読み取れないが何やら空気が重苦しい。


 「なぁ大介、あれがもしかして例の……?」


勇気が後ろの席から小声で話し掛けてくる。

恐らくその通りだと思うので俺は黙って頷く。

未だ一言も喋らない男にクラスの空気は固まっていた。

スターダストから転任してきたって事は俺達ディアーウィッチを毛嫌いしていてもおかしくはないはずなのだから尚更である。

そして男は長い沈黙を破りついにサングラスを外し話し始めた!


 「皆さん初めまして!私の名前はシャード・カッパード。スターダストナイツ魔術学園から転任してきた新しい教師です!これからはこのクラスの担任として皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います!」


もの凄い爽やかな先生だった。

深々とお辞儀をする先生の頭頂部が生徒に向けられ少しその薄くなった河童の様なハゲ頭が気になるがいい人そうであった。

――というか観音寺より何倍かマシそうである。

観音寺は隣でグッタリしているが、大体ぐったりしている時は二日酔いだ。

きっと昨日歓迎会か何かで飲みまくったんだろう。

するとトントンと隣の席の阿久比が俺の肩を突いてくる。


 「大介、よく見ろあの男を」


 「なんだよ」


何やら真面目な顔でカッパから目をそらさず俺に言う阿久比の態度から並々ならぬ雰囲気を感じ取る。

なんだというのだろうか?

俺には爽やかな先生にしか見えないが。

そして阿久比はカッパを睨み付けながら重い口を開いた。











 「ハゲてる」


 「ブフォッッ!!!!!」


――思いっきり吹き出してしまった。




 ■放課後の喫茶魔女狩り


 魔女狩りにいつものメンバーが集う。

皆一様にコーヒーを頼むが、阿倍野は凪ねーちゃんの緑茶を真似して頼んでいた。

阿久比はコーヒーと一人だけチーズケーキ。

正直うまそうではあるが今月は金欠気味なのでうまそうに眺めて食べにくくさせ、出来るだけ食べるのを妨害するという作戦に出る事にした。


 「大介、あまりじーっと見つめられると食べにくいのだが」


 「ジー……」


 「おい、貴様、やめろと言っているだろ」


刀に手を伸ばされたので光の速さで姿勢を正す。

若さってなんだろう。

アホな事を言っている場合ではない。

魔女狩りに来た理由はそんなことではない。

冬花さんに話を聞きに来たのであった。

 「ねえ冬花さん、シャード・カッパードって先生知ってる?」


俺がそう聞くと冬花さんは懐かしんでいるような笑いを浮かべながら答えてくれた。


 「懐かしいな!カッパだろ?」


 「うん、まあ何て呼ばれてかは知らないけどその単語で俺らが思い浮かべている人物と同一人物であるという事だけは分かったよ。どんな先生なの?」


 「そうさなぁ、私がスターダストにいた頃はもうカッパハゲだったかなぁ」


 「それいつの時代の話?」


 「ぶち殺すぞ」


アホな会話はさておき、シャード先生の事を黙って聞くことにした。


冬花さんは話を進める。


 「シャード・カッパード・マウンテン。それが奴の名だ。私がいた頃は魔導ウェポン装着後の魔法についてという授業を行っていたなぁ。魔導ウェポン装着後に魔法が使えるかどうかという初歩的な所から使い方まで一通り教わったっけ。まあ普通の優しそうな先生だよ。そうか、ディアーウィッチに異動になったのか。」


優しそうな先生、か。

確かに凄い優しそうではあった。

しかしスターダストの先生で魔法教えられるのか?


 「カッパはね、あくまで魔導ウェポン装着後の魔法の使い方について教えてただけだから魔導ウェポンの事しか知らないわけじゃないんだよ。」


俺の疑問を答える前に冬花さんが補足説明してくれた。

突然のカッパ先生の訪問で我が学校にまた波乱が起きなければいいのだが。

そう願うしかなかった。

嫌な予感がプンプンしてるから・・・


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