表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

サイン

作者: satuki

サイン

「ねえ、私のこと愛してる?」

唐突だった。

本当に唐突で、僕は「どうだろう」と答えた。

彼女の顔も見ず、眠気眼をこすりながら答えた。


数日後、目が覚めた時、彼女は空中にいた。

首を支えにして。

縄が彼女の頚部を圧迫していた。

本人の体重のせいで、おかしな方へ折れ曲がった首から上は、恐ろしい形相をしていた。

見た瞬間に悪寒や恐怖を感じた。

それを見た後、僕は失禁して、呆然としていた。


彼女の葬式の時も散々だった。

母親が泣きわめき、父親には殴られた。

でも、どうしても涙が出てこなかった。

悲しかったよ?

本当に悲しかったんだ。

それでも涙は出なかった。

彼女の棺桶に近づいて、「おつかれさま」と言った。


それは僕が死んだ時にかけて欲しかった言葉だった。

彼女は何を思っただろう。

「愛してるよ」と言って欲しかったのだろうか?

自分を殺してまで、その言葉を望んでいたのだろうか?


なら、どうしたって「馬鹿やろう」としか返せないじゃないか。


君は言えたはずなんだ。


「私はあんたのこと好きなんだけど」


その一言に僕は我に返ったはずなんだ。

眠気なんかぶっ飛ばして、「愛している」と言えたはずなんだ。


俯いていた口から漏れたのは、罵りの言葉だった。


「バカやろう…」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ