6話「専属の運転手」
はじまりの村に戻ってきた。
「えーと、バスって何時くらいに来るのかな?」
「あなたが乗ってきたバス?それならもうすぐ来るはずよ。でも、乗っても無駄よ。終わりの街にしか行けないから」
「終わりの街?」
「終わりの街には、ラスボスがいたな」
ブタAは言った。
「昔行ったことあるが、途中の雑魚に倒された記憶がある……終りの街はバスを降りるともう戦場だったからな。まあ、初心者にはキツイだろう」
ブタAは語るのが好きなようだ。
ブタAって言うのは、四匹の中でリーダーっぽいブタだ。勝手に付けた。他の三匹は特に喋らないので三匹のブタでいいかな。
「えーと、その……あなたの言うとうりだけど、終わりの街は倒されるとレベルが1になるのよ」
「そうだったのか。それは面倒だな。それと私の事はアウルと呼んでくれ」
ブタAの名はアウルだった……。
「アウルってフクロウのこと?」
「そうだ」
「豚なのに?」
「ああ、そうだな」
楽しそうに笑う二匹。
僕には面白さがわからない。
――バスが着いた。
「みんな、付いてきて!」
僕は言う。
誰も聞いてなかった。三匹のブタも。
しかたないので、一人で乗った。
「こんにちは運転手さん」
「ああ……君はあの時の」
運転手さんが言った。
「どうも、この前は」
僕は言った。
「大丈夫だったか?」
運転手は言った。
「今日はそのことについてなんですが……」
「ごめんね。今、仕事中だから」
「いえいえ、すぐ終わりますから」
僕は、封筒から紙を一枚取り出した。
「そ、それは」
「そう、イケニエの札です。村長から何枚か、もらったんですよ」
「わかった。カバン、返すから」
「いえ、カバンはいいんです。中身は初心者セットですし」
「じゃあ何を……」
「専属の運転手になってもらいたい」
「わかった。そうしよう」
運転手さんは僕の専属運転手になった。