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ギャルゲー世界に殺される  作者: 塚上
王子様ヒロイン

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15/18

第十五話 嘘吐きは恋人の始まり

teamキブシ


早速だけど、今日の写真を送ったよ。効果テキメンみたいだ


アギト

良かった。でもいつまで誤魔化せるかな?


さぁ? あの子勘が鋭いからなぁ


 グループチャットで会話する主人公と王子様ヒロイン。俺までメンバー入りしてしまうトラブルもあったが、ほぼベストな結果じゃなかろうか。

 二人の連絡先交換、共通の目的、そして交友。ここまでお膳立てすれば中々に失敗することはないだろう。今の俺は仲人気分。仮に死亡フラグをへし折れたなら、将来はそっちの道に進むのも悪くないかと考えるくらいに浮かれていた。


アギト

質問なんだけど、最終的にはどうなれば目標達成なの?


あの子達が諦めてくれるまでかな


 いいえ違います。二人が真の恋人になるまでです。

 そもそもだが、青宮を慕うお嬢様も馬鹿じゃない。最初は写真だけで静かになるが、さすがにいつまでも騙されてはくれないのだ。二人が本当に交際しているのかと疑うようになり、主人公&青宮もバレないようにそれっぽい言動を繰り返す。

 嘘を見抜くか貫き通すか。両陣営の戦いは次第に激しさを増すと……要はラブコメっぽいイベントが沢山ある。


黒津君には悪いと思ってるよ。というかボクの想定じゃなかったけど


アギト

まぁ、そうだよね。でも本当に困ってるようだし、可能な限りは頑張るよ


さっすが! やっぱり赤嶺さんの旦那さんは優しいね!


アギト

違うから。間違っても赤嶺さんに言わないでね


 何で他人事なんだよ青宮冷花。キミの隣はボクだけのモノだって宣戦布告する場面だぞ。ギャルゲー世界での謙遜は美徳になり得ないどころか、即退場ものだ。


 まぁ、次のイベントまで時間はあるだろうから、こんな感じで親交を深めてもらうと。今日の感じからして二人はこれまでほぼ絡みはなかったのだろう。マイナス百点の由々しき事態だが、これから挽回するなら多めに見ようじゃないか。俺は失敗を指摘するんじゃなくて、良いところを褒める派だ。


ねぇ見てるんでしょ? 何で反応ないの?


 個人チャットに青宮からメッセージが届く。……逆に何で反応があると思ったのか。二人のラブコメにモブキャラ白瀬が入るわけないだろうが。少しは考えなさい。


悲しいな。ボク嫌われちゃったのかな


 泣いているイルカのスタンプも一緒に送られてくる。……俺は持ってなかったけど、こういうスタンプって有料なんだろ? 何で金まで払ってスタンプを買うのか俺には理解出来ないな。字だけで伝わるだろ。


そうか。ならボクにも考えがあるよ。無視するならキミのことハニー♡って学校で呼ぶからね


白瀬雪都

やめてください


 やめろマジで。偽恋人設定があるのに、偽ハニー♡まで出てきたら余計にややこしくなるだろうが。お嬢様もドン引きのドロドロ設定になってしまうわ。バレる以前の問題だ。


良き良き。それでさ、グループチャットでも書いたけど、今は上手くいってるみたい。でも次の展開も考えておかないとね


 次か。ゲーム通りなら彼氏の紹介や抜き打ちデートチェックだったはずだ。……何だよ抜き打ちデートチェックって感じだが、俺だって知らねえよ。頭の悪いシナリオライターが考えたんじゃないのか。どうなってんだ。


白瀬雪都

親しい関係性をアピールする為に、名前で呼び合うのはどうでしょうか?


ww 何その言葉使い? ウケるんだけど(笑)


 赤嶺に続き青宮にも笑われてしまった。そんなに面白いか? 高校生の笑いのツボはよく分からないな。でも、今から始めることならそれくらいじゃないか。ほぼ絡みがなかった二人がいきなりデートに行ったって気まずいだけだ。呼び方を変えて、学校でも会話して、昼も一緒に過ごしていれば慣れてくるだろ……そして本命となる。


観客がいないところでお芝居しても意味ないと思うけど?


白瀬雪都

嘘を誠にするなら妥協は厳禁です


? 嘘は嘘のままでいいんだよ


 こいつは何も分かってない。そんなんじゃ幼馴染ヒロインや高校デビューヒロインに勝てないぞ。偽物とはいえカップルになったんだ。合法的に近くにいれるんだから有効活用しない手はない。明日からでも直ぐに実践を……って思ったけど明日から休みだったわ。仕方ない。連休明けから頑張ってもらうか。




****




「んふふ♪」


 自分の部屋でスマホを触りながらつい鼻歌が漏れてしまう。ここ最近の悩みだった凛子(りんこ)からの連絡がぴたりと止んだのだ。心配してくれてるのは分かるんだけどボクは子供じゃない。自分の好きなようにしたいし、新しい友達とも遊びたいし……男の子とだって関わりたく思う。別に取っ替え引っ替えするなんて言ってない。この人だ! って人がいるならボクは手を伸ばしたい。ただそれだけ。――女子高生なら普通だろ?


「やっぱり彼は面白いなぁ」


 星空高校で一緒になったクラスメイト。入学式当日、一人一人が余裕を持って登校してたのに、ただ一人だけギリギリで教室に入ってきた男の子。ボクからすれば男子ってだけでも珍しいのに、彼は色々と特殊すぎた。

 

 男装女子って言われたら信じてしまいそうなルックスに綺麗な瞳。不思議と目を惹くオーラみたいなモノを感じてしまう。他のクラスメイトもそうだったのか、同じような感想を抱いていた。……女子校で王子様と持て囃されていたボクに引けを取らない彼に自然と興味が湧いた。


 直ぐにでもコンタクトを取りたかったけど、きっかけがなかった。女子校ではそんなことなかったのに、思いの外ボクは緊張していたらしい。……クラスのみんなが気にする彼に遠慮してしまっていた。


 そんなボクにもついにきっかけが出来た。

 ボクや他のクラスメイトに視線を向ける女子生徒――紫藤(しどう)さんの存在だ。どうして彼女がAクラスを気にしているのかは未だに分からないし、どうやら彼も紫藤さんに何らかの興味を示している。……きっと恋愛的な理由ではないだろう。だってボクの連絡先をゴミみたいな扱いをする彼なんだから、女の子に興味がないお子様に違いない。


「……でもあの時のアレは反則だなぁ」


 Bクラスの前。会話中に見せた破壊力抜群の笑顔。理由は分からないし、紫藤さんに向けられた意味も不明。でもボクの頭からあの笑顔がずっと離れない。何処か挑戦的で蠱惑な笑み。すっかりボクは彼のファン? になってしまった。凛子達がボクに向ける気持ちも分かった気がした。


 それからボクは直ぐに今回の作戦を思いついた。王子様と呼ばれるボクに相応しい演者(相手)は彼しかいないと。彼なら何の問題もなく凛子達は納得するし、その他諸々上手くいく。なにより彼と過ごす時間はとても楽しそうだった。――例え偽物だったとしても。


「う〜ん、それにしても、何で黒津君なんだろ?」


 何故か理解が早い彼。ボクの抱える問題の対処を導き出すのは凄かったけど、どうして黒津君だったのかがよく分からない。噂だとボクや黄原さんを狙ってるらしいけど、実際そんなことはないと思う。幼馴染の赤嶺さんとの関係も別に深くはなさそう。……人畜無害だから黒津君? よく分からないや。


 でも彼は自信満々だった。適時作戦を出すと張り切るくらいに。まだ親交の浅いボクの為にここまで親身になってくれるのは本当に嬉しい。……ボクだって女の子だからね。カッコイイ男の子に優しくされるのは悪い気はしないさ。ただ――何か勘違いしている気がするんだけどなぁ。


 それにちょっと気になることもある。

 一人で過ごすことが多い彼の周りに最近人がいる……赤嶺さんだ。美少女と噂され、ちょっと怖い彼女が彼には積極的に話しかけている。――女子の中では周知の事実。何となくそれをボクは面白くないと感じてしまう。やっぱりファンだから独り占めしたいのかなぁ?


 ――うん。やっぱり黒津君は幼馴染の赤嶺さんの隣が似合ってると思う。結局赤嶺さんに相談なく勝手に決めたのは良くなかった。事情を説明して黒津君は赤嶺さんに返してあげよう。気弱そうな黒津君だから、ボクといるのも疲れるだろうしね。……で、当初の計画通り、ボクの隣には彼に立ってもらうとしよう。その方がきっと盛り上がる。凛子には直ぐに別れて彼に出会ったと説明しよう。


「となると、名前で呼び合うのか。ボクはなんて彼を呼ぼうかな?」


 これは……すごく楽しいね。世の中のカップルはみんなこんな感じなのか。演劇に恋愛物が多いのも頷けるよ。

 お互いの呼び方、付き合ったきっかけ、デートの内容、今後の予定。色々なことを想像してたらいつの間にか随分と時間が経っていた。スマホを取り、彼から新しいメッセージが届いていないか確認したら、別のチャットがきていた――凛子からだ。


「あ、はは……これはまずいね」


凛子

冷様。本当にこの殿方とお付き合いされているのですか?


 なんかもう疑われてるんですけど。これは彼に責任を取ってもらわないとね。ピンチなんだけど凄くウキウキしてしまうよ。

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