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ギャルゲー世界に殺される  作者: 塚上
幼馴染ヒロイン

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12/18

第十二話 ルート突入

 ショッピングモール内にある喫茶店に俺達は移動していた。ヒロインに気を使う義理はないのだが、さすがにあのまま解散とも言えず、渋々お茶をしている。……ヒロインも同じことを考えてるだろうが。助けられた手前無碍にも出来ないって感じだな。


「良い雰囲気ね…………こ、このお店がって意味だから」


「? 気に入ったなら良かった。今度黒津君と来たらいいんじゃないか」


 ココアとフィナンシェを頂きながら、さりげなく主人公のアピールを出来る大人な俺。彼がイベントに間に合わなかった分フォローしないとな。まったく、今頃どこをほっつき歩いてるのやら。……もしかしたら王子様や高校デビューのところかも。なら許す。是非とも頑張ってくれ。


「意外。甘いの好きなんだ」


「彼は苦手なのか?」


 無論、主人公のことなら原作知識で知っている。そこまでフォーカスはされなかったが、主人公と幼馴染ヒロインがカフェでデートするイベントがある。そこで彼は甘いものは頼まず、コーラとソーセージマフィンを食すのだ。相変わらずね、という赤嶺のセリフから主人公は甘いものよりしょっぱいものが好きなんだと分析した。――つまり、その逆をして黒津君の存在感を底上げしているのだ。


「……私も甘いものが好き」


「好みの違いはよくある話だから、気にしなくていいと思うぞ」


 ケーキバイキングとかは主人公にはキツいかもな。

 イベントにはなかったが、今回みたいなことを考えれば、積極的に好感度アップに繋がるイベントを企画しないとな。……甘いものが苦手とか言ってる場合じゃないぞ亜樹斗氏。


「ねぇ、何で今亜樹斗の話をするの?」


「? 幼馴染なんだから当然だろ」


「……あなたもそんなこと言うんだ」


 今更だろ。何も知らない体ならともかく、安達が日常的に幼馴染ネタをかましてるんだから、触れない方が逆に不自然だ。……イヤイヤ言ってもルートに入ればデレるくせに生意気なやつめ。


「まぁ、あの小物はもう来ないだろうが、万が一があると不味いから黒津君に護衛を頼みなよ」


「……」


 何か言いたそうな目をしているな。まさか俺から彼に説明しろと? ――面倒だけどアリかもな。現状接点が少ないわけだし。……それとも不安なのか? また同じことがあるかもしれないと。


「不安なら防犯ブザーを携帯すればいい」


「……小学生の時に持ってたわね」


「最近は大人用も多いし、デザインも豊富だ。大抵の奴は怯んで逃げる……多分な」


 本当にヤバい奴は無敵の人だ。人生や社会的立場、警察、防犯カメラ等関係ないからな。そういった輩には接触しない、人が多い所に行く、くらいしか対策は思い浮かばない。


「後はそうだな……難しいかもしれないが、スマホで誰かに助けを求めるとか」


「スマホ……」


 俺の場合は親か警察しか選択肢ないけど。


「こ、今回みたいなことがまた起きるのは不味いわよね?」


「ん? そりぁね」


 髪を触りながらキョロキョロとする赤嶺。……これは照れている時の仕草だな。お手洗いに行きたいなら好きにしてくれ。というかもう解散でいいかな。


「れ、連絡先を教えてくれると、嬉しいんだけど。変な意味じゃなくて防犯的な理由から!」


「え? やだよ教えたくない」


「…………」


 何が嬉しくてヒロインの連絡先をゲットしなきゃならんのだ。主人公の連絡先なら嬉々として飛びつくがヒロインは別にって感じだし。将来的にはヒロイン側からもフォローしたいが、黒津のスタンスが分からない以上は余りグイグイいきたくない。……逆は行くけど。


「……例の写真が欲しいんだけど」


「黒津君経由で渡すよ」


「誰かに見られたくない。普通に嫌」


「……一理あるな」


 ごもっともで。幼馴染はもちろん親にだって見られたくはないだろう。赤嶺の性格なら余計な心配をかけたくないと思うはずだ。


「赤外線通信とか?」


「そんなスマホない」


「ならデータに落とすからそれを渡すよ。パソコンで確認してくれ」


「パソコン持ってない」


「……なら印刷するか」


「ねえ? 私にその紙を常に持ち歩けってこと? 普通に嫌」


 わがままな奴め。じゃあどうすればいいのよ。


「メッセージアプリで送れば簡単じゃない」


「え〜」


「……ねえ? 何でそんなに渋るのよ。普通逆じゃない?」


 写真を理由に上手く誘導されてる気がするな。そんなに白瀬の連絡先が欲しいのか? ……何を企んでいる。

 これじゃあ埒が明かない。根負けした俺は結局連絡先を交換してしまう。――赤嶺桜のトークルームが出来てしまった。


「はい、これがさっきの写真だ。俺のスマホからは消すぞ?」


「待って。念の為持ってて」


「……バックアップ的な理由か。扱いには気をつけるよ」


 もう消したかったんだけど、赤嶺が望むなら仕方ない。イベントとはいえ被害者だしな。それくらいは協力してやるか。


「ふふっ……」


 えらくご機嫌な幼馴染ヒロイン。スマホを大事そうに胸に抱いている。……そんなに連絡先が増えるのが嬉しいのか? 俺のスマホには三人分しか連絡先がないと知ったらドン引きするんだろうな。


「じゃあ、そろそろ解散するか」


「駅まで送ってくれないの?」


 甘えるな。地方ならともかくここは栄えてるから。


「俺は電車通学じゃないからな」


「そうね。徒歩で通える距離だったわね」


「……何で知ってるんだ?」


「⁉︎ あ、安達が言ってたのよ」


 マジかよ。あいつ女にしか興味ないと思ってたんだが。どうやって知ったんだ? ストーカーかよ。


「……冗談よ。一人で帰れるわ」


「そうしてくれ。――俺は他人に興味がないからな」


 髪をかきあげながら悪い笑顔を赤嶺に見せつける。王子様ヒロインがやれば絵になるんだろうが、モブじゃあネタにしか見えないだろう。白瀬が美少年であっても中身がないから関係ない。つまり、青宮みたいに引かせて、俺に近寄らないよう警告も兼ねている。


「何よそれ……バカ」


 俯き何かを呟く幼馴染ヒロイン。顔を赤くしているのは怒っているのか、差し込む夕陽のせいに決まってる。きっとそうだ。




****




 自室のベッドに転がりながらスマホを眺める。メッセージアプリの友達リストに登録された『白瀬雪都』の文字。一人登録が増えただけなのにソワソワしてしまう。

 

 幼馴染の亜樹斗を除けば男子は一人だけ。中学時代のグループはあるが、個別に登録はしていない。……時々大して仲良くない男子から連絡が来ることがあるが、直ぐにブロックしていた。……ちなみに安達もブロックしている。つまり、男の子の友達は事実上彼が第一号。


「何て送ればいいか分からない……」


 トークルームは例の写真のみで会話はない。本来なら嫌な思い出のはずなのに、この写真を見ると身体が熱くなる。私を守る背中、私を叱る目、諭すような言葉。全てが私の心を惹きつけて離さない。……これはきっと一時的なモノ。明日になれば元に戻る……多分。


 それにしても、えらくガードが堅いのが気になった。こういうのは普通逆じゃないのか。腑に落ちない。


「ちょっと待って……」


 Aクラスのグループチャット。安達が騒いで作られたのだが、その一覧に彼がいなかった。……もしかしなくても彼はこの存在を知らないのかもしれない。追加してあげるべきか。


「……やめとこ」


 本人の承諾なしに進めるのはよくない。……決して彼の連絡先を独り占めしたいという意味じゃない。


「とりあえず……お礼を言わないと」


 猫のスタンプとお礼に、これからよろしく的なメッセージを送信する。いつ既読がつくのか、返信はあるか、ブロックされてないか、色々考えてしまう。返ってくるまでの時間がこんなにも待ち遠しいとは思わなかった。


 ――ピコン


 来た! 彼からの返信。直ぐにチェックする。


『承知しました』


「……ふふ、何よこれ。会社員みたい」


 何となく面白くてスクショを撮る。共有する相手はいないが、彼との時間が消えないようにしっかりと記録を残す。……少しずつだけど、仲良くなりたい。初めて異性に対してそう思った。


 ――喫茶店で見せた最後の笑顔は反則過ぎよ。あの顔が私の記憶から中々消えてくれない。……今日はしばらく眠れそうにないわね。




****




【黒津亜樹斗 好感度】

赤嶺桜:0%

青宮冷花:0%

黄原向日葵:0%


【??? 好感度】

赤嶺桜:40%⤴︎

青宮冷花:10%⤴︎

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