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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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009

 周囲から魔物が消えたので、僕達は目的の場所

 マナベリーの一つで、ヒールポーションの材料になる果物『ロレ』の木へと到着した。

 高さ三メートルほどの、ミカンや柿の木のような樹木。そこに大玉トマトのような形の白い果実が、鈴なりに生っている。


「一枝さん、スキルで視えると思うけど、完熟だけがポーションの材料になる。だからそれだけを採るんだが、パーティーでの行動では籠持ち役の補助を一人付けると良い。このメンバーなら添島さんが適任だ」

「どうしてですか?」

「背が一番高いからで、一枝さんが届かない場所にも手が届く。今後はハサミを余分に持ってくるのを薦める」

「あの、恵美ちゃんでも届きそうにないものはどうします?」

「無理に取らなくて良い。落ちた実をコボルトなんかが食べるからな」

「食べるんですね」

「あぁ。だからマナベリーの木にはコボルトがよく居る。だから“撒き餌”の要領で、手が届く範囲の完熟品も全部は取らないのがベスト。ポーションに使えるのは採ってから5時間ほどの期限だから、その日に作る数以上は採らないようにすれば、自然と残る。今日は10個だけでいい」

「はい」


 一枝さんがロレを採り始めるのを横目に、僕はずっとロレの光り方を観察していた。


 う~ん……確かに魔素の光が強いのを採っているけど、手前にある同じ光量のものは採っていない……なんでだ?


「多紀君。違いは分かったか?」

「いえ……今、一枝さんが素通りしたあの実。それと、あれも完熟ではないんですよね?」

「そうだな。ここからでは完熟に見えるだろう。だから近付いて葉の付け根を見るんだ。そこまで均一に光っているものが完熟。俺達魔眼使いが判断する基準だ」

「なるほど。でも、どうしてそこまでの情報が流れてなかったんでしょう?」


 僕はギルド公認の動画を散々見てきたけど、その情報は見たことがなかった。


「今ではもう必要ないからだ。マナベリーが町の外で栽培されているのは知ってるよな?」

「はい」

「それ以前は、魔眼使いが採取技術として仲間内で広めてたんだ。良い収入源だったしな。だけど今じゃ、ポーション用は全部果樹園で賄われてる。一般流通もしてるほどだ。だから俺達も自分で食べるか、小遣い稼ぎに少し売る程度しか採らなくなった」

「情報として記録される前に価値が無くなった……ってことですか?」

「そういうことだ。今の魔眼使いはレベルを上げてダンジョンで稼ぐのに必死だからな。ベリー狩りなんて、ほとんど誰もやらん」


「えっ? じゃあどうして私達はベリー狩りしてるんですか?」


 隣で聞いていた鹿屋さんが疑問を投げる。


「「マナベリーは果物の宝玉」」


 僕と大谷さんの声が重なった。


「えっ?」


 視線が合い、自然と笑みがこぼれる。

 僕は目で“説明お願いします”と大谷さんに促した。


「とあるハンターの言葉でな。“どうして薬師を討伐メンバーに入れてるのですか?”と聞かれて返したのが、『採れたてのマナベリーの味を知らないのね。可哀そうな人』だ。そのあとに、現場でのポーション補充の重要性や、現地での唯一の食材としての価値を語ったんだが、なぜかその一言が見出しになった」

「分かります。私なら『採れたてのマナベリーの味を知らないのね。可哀そうな人。』の方が強く残ります」

「だよな。というわけで多紀君。一枝さんとは別に、ロレを人数分採ってくれ」

「はい。お土産用に三個ほど追加してもいいですか?」

「あぁ、良いぞ」



 僕が採ったロレを、「せーの!」という掛け声で齧った添島さん達。


「美味しぃ~!」

「なにこれ!? ほんとに美味しいんだけど!」


 一枝さんの感想に、鹿屋さんがすかさず声を被せる。

 他の三人は無言で、ただ夢中で食べていた。


「これが採れたての味なんだ。確かに、知らないのは損だと思う」

「だろ。マナベリーの旨味は魔素から来る旨味らしくてな。だからポーション作りと同じく、5時間ほどで味も落ちる」

「そうなんですね。その日に食べる分だけが一番良いんだ」

「まあな。だけど一般流通のマナベリーも食べたことあるだろ? あれでも普通に美味い」

「はい! 下手な桃より断然美味しいです!」


 そう、ロレは桃の味がする。しかも完熟の甘い桃そのもの。

 採れたてとなると――もう桃のシロップみたいに甘いのに、後味はスッと消える不思議な味だった。


「だから普段のデザート用に、数日分を採るのもありだ」

「ですね」


「お菓子の材料としても良いですし、使いやすいですね」


 僕と大谷さんの会話に、それまで無言で食べていた豊賀さんが話に加わる。


「豊賀さん、お菓子作るんですか?」

「はい。休みの日はよく作ってます」

「そうなんですか。僕は妹と簡単なクッキーやゼリーを作るくらいですね」

「良いですね。私も普段はクッキーやチーズケーキみたいな簡単なものです」

「私も作れるわよ」

「鹿屋さんは何を作るんですか?」


 ちょっと食い気味に参加してきた鹿屋さん。

 これは期待してもいいやつか?


「パ、パンケーキよ!」


 パ……パンケーキか。

 いや、確かにデザートだけども。


 でもホットケーキに生クリームと果物を乗せたら立派なデザートだし……

 うん、今度マナベリーてんこ盛りで作ってみるか。


「良いですねパンケーキ! 生クリームとロレを乗せるだけでも絶対美味しいです! 今日の夜に作ります!」

「良いわねそれ!」


「それじゃあ次だな。マナポーションの材料になるロナの実を採りに行こう。載せるなら種類が多い方が良いだろう」

 大谷さんの言葉で、僕達の次の目的地が決まった。


 まあ元々、ロナの採取も今日の予定に入ってたはずだし

 ここから視える、あのベリーの木のどれかなんだろうな。


リネア「楽しそうでなによりですね」

イレーザ「はい……」

リネア「待ちきれないようですね」

イレーザ「すみません」

リネア「良いのよ。眷属として見てどうですか?」

イレーザ「それはもう!」

リネア「良かった」


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