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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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 ローブ選びは、思っていたよりもあっさり決まった。


 鹿屋さん、一枝さん、豊賀さん――後衛組の三人が選んだのは、ふくらはぎ辺りまでの長さのハーフコート型ローブだった。


「走る事を考えたら、これくらいが限界よね」

「ですね。足捌きは重要ですし」


 生地は夏用の薄手コート。

 通気性と撥水加工が施されていて、触るとしっかりとした張りがある。


「これ、強化10倍のですよね」

「うん。最新式のやつ」


 キューブガーデンの気候は、一年中春のように穏やかな気温だから、これくらいの重ね着なら大丈夫。


 ローブの前は、ボタンではなく金属チェーンの留め具。

 実用性とデザイン性、どちらも考えられている。


「で、色なんだけど――」


 最初に決めたのは鹿屋さんだった。


「私は、これ」


 手に取ったのは、濃い紫色。


「……あれ?」

 豊賀さんが首を傾げる。

「それ、彰斗のスポーツウェアの色と近くない?」


「ち、違うから!」

 即座に否定が飛ぶ。

「同系色の合わせだし、好きな色ってだけよ!」


 でも、その言い方が少しだけ早口だった。


「まあ、似合ってると思いますよ」

「ほら! 彰斗はそう言うと思った」


 鹿屋さんはむっとしつつも、どこか満足そうだった。


 次は豊賀さん。


「私はこれにします」


 選んだのは空色。

 濃紺のスポーツウェアとの相性が良く、動いた時に視認しやすい。


「分かりやすい色ですね」

「うん。後ろにいるって一目で分かるでしょ」


 最後は一枝さん。


「私は……これですね」


 白を基調に、紺色のラインが入ったデザイン。

 スポーツウェアの配色を反転させたような印象だった。


「清潔感ありますね」

「白が好きなので」


 三人とも、それぞれ納得した表情でローブを羽織る。


 そのまま、防具試着室の奥にある動作確認用の広場へ向かった。




 広場では、何人かのハンターが防具を付けたまま体を動かしていた。

 素振り、ステップ、軽い跳躍。


 その中に、添島さんと大豊さんの姿があった。


 二人とも自分の武器を持ち、前後に動きながら感触を確かめている。

 でも――


(……微妙だな)


 動けていない訳じゃない。

 ただ、切り返しが一瞬遅い。


 こちらに気付いた二人は、苦笑いを浮かべて動きを止めた。


「どうですか?」

「悪くはないのよ」

 添島さんが肩を竦める。

「でも、阻害感がきつい」


「守られてる感じはあるんだけど」

 大豊さんも同意する。

「その分、いつもの動きが出にくい」


 回避重視で戦ってきた二人にとって、守備力の増加はそのまま動きの制限になる。


「……だったら」

 僕は三人のローブを指した。

「後衛と同じ系統のコートタイプの方がいいと思います」


「ローブ?」

「いえ、合皮ベースの強度高めのやつです。

 腰ベルトで固定するタイプなら、コートというよりジャケットに近いですし」


 二人の表情が、少しだけ変わる。


「プロテクターじゃなくて?」

「はい。今まで通り、回避を優先した方がいいです。

 防具で本来の力が出ないのは、本末転倒だと思いますので」


 一瞬の沈黙。


「……確かに」

 添島さんが頷いた。

「守られてる安心感は確かにあるけど、動きが負けてる感じがするのよね」


「私もそっちが良さそうだな」

 大豊さんも納得した様子だった。




 結局、後衛組三人は、最初に選んだローブに即決定。

 大豊さんと添島さんは、ウィンドブレーカータイプの上着になった。

 素材は後衛組と同じ、最新式の10倍強化繊維品。

 色は大豊さんが濃い青緑。ピーコックブルーというらしい。

 添島さんは青リンゴの色。名前もそのままアップルグリーンだった。


「それで、多紀君はどれにするの?」


 あっ、自分も買う流れだったのかこれ――

 そうだよな……僕はレベルが低い事になってるし、一番に防具を揃えないとダメな存在だった。


「あー。そうですね……僕も添島さん達と同じやつにします」

「じゃあ、はい! これ!」


 鹿屋さんがいつの間にか手に持っていた物を僕に手渡す。


「あっ、ありがと」


 色は今着ているスポーツウェアと同色。黒紫くろむらさきって表記されていた。


「この色の表記って、日本語なんだ……」

「感想それ!?」


◆魔装工房『アストラル』◆


工房主「イレーザ様のご要望品……確かにこれであってますか?」

店長 「はい。こちらでもご確認したところ、サイズはこれで合っていますと」

工房主「このデザインは、完全に守護者の衣裳ですよね?

    子供?」

店長 「えっ!? 使徒様って子供産めるんですか?!」

工房主「知らないわよそんなこと。

    まあ、合っているのなら問題ないわ。

    使徒様からの依頼を手掛ける名誉。全力で務め上げるわよ!」


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