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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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 翌日。

 僕達が報告した「ウルフを見かけなかった」件は想定通り、ウルフリーダーの出現と断定されていた。

 そして、すでにウルフの巣へと討伐に向かったハンター達がいることを、討伐受付のお姉さんから伝えられた。


「それじゃあ、昨日と変わらず『5の六』でお願いします」

「はい。お気をつけてください」


 添島さんが今日の狩り申請を済ませ、僕達は売店へと向かった。



 普段からウルフリーダーを狩り対象にしているパーティーが、情報を得れば向かうのは必然だ。


「まあ、そうなりますよね」

「でも、調べる切っ掛けにはなったから良しとしましょう」


 この時間は、今ではちょっとしたミーティングタイムになっている。

 最後尾を歩く僕の隣に、添島さんが並ぶのが最近の定位置だった。


「動画、見た感想はどうでした?」

「えぇ。多紀君の言う通り、動き自体はウルフとあまり変わらないようでした。

 解説でも、大きさの違いによる攻撃範囲と衝撃、それに殺傷能力が高いだけだから、落ち着いて対処すればいいと言ってましたね」

「はい。速度自体はほとんど変わらないそうなので、大豊さんなら避ける意識を持てば問題ないと思います。

 あとは、実際に防具を付けた状態での動きですね」

「そうね」



 ロビーの隣、ギルド直営の売店は、今日もハンター達で賑わっていた。

 入口付近にはポーション類や弁当などの食料品が並び、奥へ進むにつれて鞄や衣類、

 さらに進むとダンジョン内で宿泊するためのキャンプ用品コーナーがある。

 そこを抜けると、一気にファンタジー色が濃くなる。


 抜き身の剣が飾られた武器コーナー、その先に防具コーナー。


 まずは、前衛を務める大豊さんの装備選びからだった。


「多紀君。やっぱり、この辺りになるのかな?」

「はい。基本はプロテクターを上から装着するタイプですね」


 僕達が見ているのは軽装備コーナーのマネキン。

 胸当て(ブレストプレート)、肩当て(ポールトロン)、前腕部ヴァンブレイス

 腰回り(フォールド)、脛当て(グリーブ)の五点セット。

 軽装備らしく薄く、保護面積も控えめで、それぞれ樹脂製のベルトで固定する仕様だった。


 マネキンは、ポリカーボネート製、合成皮革、鋼製の三体が並び、

 さらに奥にはデザイン性の高いものが続いている。


「とりあえず、この辺りを試してみるよ」


 大豊さんは、飾り気のないシンプルな一式を選び取った。


「私も、それで試してみるね」


 前衛サブアタッカーの添島さんも、同じ物を手に取る。


「じゃあ、私達はローブ系を見に行きます」

「そうね。じゃあ、試着室に行ってきます。多紀君、あとはお願い」


 豊賀さんと一枝さんの会話に、僕は「はい」と返し、

 大豊さんと添島さんを見送った。


「ローブはあっちね!」


 鹿屋さんが僕の腕を取って引っ張り、僕はそのまま彼女達の後ろを付いて行く。



 ローブコーナーを眺めている途中、僕達は自然と奥へと足を運んでいた。


 ――そこで、見覚えのある光景が現れる。


 フリルの多い魔法少女風の衣装。

 金属装飾を取り入れた甲冑ドレス。

 どう見ても実戦用というより、演出全振りの装備群。


「……あ」


 思わず、声が漏れた。


「なにこれ……?」

 鹿屋さんが目を丸くする。

「うそでしょ?」


「ありますよ。こういうの」

「えっ、知ってたの?」

「はい。噂では聞いてましたけど……実物を見ると、さすがに」

「ほんとにあるんだ……」


 鹿屋さんは、魔法少女風の衣装を指差して、ちらりと僕を見る。


「彰斗って、こういうの好き?」

「えっ? 僕?」

「うん」


 一瞬考えてから、正直な感想が口をついた。


「日葵が見たら、着たいって言いそうです」

「あー……それ、分かる。

 確かに、似合うかも」


 鹿屋さんが納得したように頷く。


「――二人とも、何してるの?」


 少し離れた場所から、豊賀さんの声が飛んできた。


「ローブ、選びますよ」

「はーい」


 呼ばれて振り返った僕は、ふと値札に目をやる。


「……50万円もするのか」


 思わず零れたその一言に、

 鹿屋さんは一瞬きょとんとしてから、くすっと笑った。


「気になっただけですからね!」

「はーい!」


 鹿屋さんは何事もなかったように僕の腕を取って歩き出す。


煌装乙女舎こうそうおとめしゃ


社長「は! 今、男の娘の衣裳を思い付いたんだけど!」

専務「またですか……だれも買わないものに予算は出せませんよ。

   ただでさえ、うちの商品、需要少ないんですからね。

   あと、拘り過ぎて高いし!」

社長「妥協するくらいなら、辞める!」

専務「はいはい。

   今月締め切りの、Prism Dropプリズムドロップ様のデザインの進捗は?」

社長「今回も最高よ。それでね……」

専務「予算交渉ですね。それで今回はどれくらい足りないのですか?」

社長「材料費だけで10万ほど……」

専務「ほんと……毎回微妙なラインを攻めますよね」

社長「むーちゃんよろしく!」

専務「はいはい」



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