007
「居たわ!」
「任せて!」
スライムの森に到着してから、大谷さんに教わったチームでのスライム狩りの方法。
それは、5メートルほど離れて横一列になり、ゆっくり前進していくというものだ。
そしてスライムを見つけたら、刃のある武器を持つ大豊さん、一枝さん、添島さんの誰かが、魔核に当たるまで何度も切り刻む。スライムは打撃耐性が高く、斬ってもすぐにくっ付くからだ。
「この! この! この! この! この! ……当たった!」
今回は、鹿屋さんが見つけたスライムを大豊さんが担当している。
20センチほどの巨大な水滴にしか見えなかったそれがスッと消え、ビー玉ほどの透明な青い魔石だけがコロンと転がった。
「これでやっと10個かぁ〜」
「それじゃ集合。20分ほど休憩な。次はベリー集めの手伝い方を教えるぞ」
「「「「「はーい!」」」」」
返事は大きいものの、足取りは疲れが滲んでいて、後方から眺めていた大谷さんへゆっくり歩いていく。
うん、完全に部活だな。
「多紀君、待たせたな」
「はい。じゃあ行ってきます」
「あぁ、くれぐれも俺達の見える範囲でだ。それと休憩時間が終わる頃には戻ってくるように」
「はい」
ハンターギルドがある街から車で30分。2の七地区にある、スライムしかいない通称『スライムの森』に着いてから最初に行ったのは、僕の魔核締めの確認だった。
魔眼でスライムを探し、レイピアで魔核を一撃で破壊し、一発合格。
かかった時間はトータル2分ほど。
その後、彼女達にスライム狩りを教えている間に、僕の今日の行動方針が決まった。
彼女達が10個魔石を集めて休憩に入ったら、休憩時間の10分間だけ、魔力視の範囲内で僕がスライム狩りをする。
僕の魔力視の範囲はそのまま大谷さんの監視範囲でもある。
つまり双方になにかあれば、お互いに気付くという事だ。
魔力視の範囲は半径1キロ。そこに存在するスライムは20匹ほど。
彼女達が捜し終えた後でも、僕の視界には12匹がまだ居る。
彼女達5人で10匹狩るのに30分弱。
僕が休憩10分でどれだけ狩れるか……
よし、行ってみるかぁ!
◆
「おかえり〜。どうだった?」
「はぁ、はぁ、はぁ……12個でした」
「おお! ホント凄いね」
往復の距離的に、結局見つけていた12匹しか狩れず、息を切らして戻ってきた僕に声を掛けたのは大豊さん。
短い質問でも、何を聞かれているのかは察せた。
「はぁ……もう少しいけると思ったんですけどね」
「いやいや、十分すぎる結果だ。まさか10分間ずっと走っているとは思わなかったぞ。若いって言っても、どんな体力してるんだよ。しかも、こんな足場の悪い森の中でだ」
僕の大豊さんへの返答に大谷さんが驚いた顔している。
「トレラン、あ、山の中を走るトレイルランニング的な運動を中心に鍛えてたので」
「あぁ、それでそんな防御力なさそうな靴なのか」
「あ、これですか? はい。ソールが柔らかくて、石や木の根を踏んでもバランスが崩れにくいですし、グリップも良いので滑りにくいんですよ」
「なるほどな。多紀君はそのスタイルで行くんだな」
「はい。まずは自分なりに考えたやり方で試してみようかと」
「あぁ、それで良い。ここではゴブリンやウルフと戦う必要はほぼないしな。それに俺達は魔物の位置を誰よりも早く視ることができる。逃げに徹するのは正解だ」
「ですよね。それと、このトングって良いですね」
「だろ?」
「ありがとうございました。これ返します。これって自分で作っても良いんですか?」
「あぁ作っても良いが、削る作業はガーデン内でだぞ。外でやると軽犯罪法に引っ掛かる可能性がある。作ったら武器として登録して、武器庫受付に預ければそのまま登録になる」
「分かりました」
大谷さんが普段使う“スライム狩り専用トング”を貸してくれた。
栗拾いやゴミ拾いに使うステンレストングの先端を薄く削り、刃のように仕立てたものだ。
スライムの体を貫いて魔核を壊すのに十分な切れ味がある。
そして、落ちた魔石をそのまま挟んで拾えるのが何より便利だ。毎回屈まなくていい。
大谷さんは「腰に負担が掛からないのが良い」と言っていたけど、僕的には「時間短縮に最高」だ。
「よし。それじゃあ、ヒールとマナポーションの素材になるベリーを採りに移動しようか」
「「「「「はい!」」」」」
イレーザ「よく視えているようですね」
リネア「ほんとうに」
イレーザ「リネア様、見てましたか」
リネア「えぇ、気になって……」




