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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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063


 翌朝、国際ダンジョンハンター機構からの通達は、予想通りだった。


 低ランク狩場への制限。

 指定区画への侵入は、Dランクまでのハンターと、薬師・魔眼のギフト保持者のみ。


 掲示を見た瞬間、正直に言えば――


(そんな……)


 と、思った。

 ダンジョンの入口があるために、スライムの森が指定区画から外れた事が書いてあった。


 けれど。


「……でも」


 指定区画なら、高ランクのパーティーに場所を荒らされる事がない。




 討伐受付で、僕達は数ある中から申請が一番少ない区画を選ぶ。


「結果的には、こっちの方が効率は良さそうですね」

「そうね。他のハンターに気を使わなくて良さそう」


 添島さんの言葉に、皆が頷いた。


 今日の狩場は、区画『5の六』。

 ホーム区画の一つ下、視界と足場の悪い雑林と草原が隣接した場所だ。


 普段から人気がない場所らしい。


 それと、


「ウルフの数が少ないと感じたらご報告下さい」


 と、念を押された。


 



 雑林を目前に、僕は視界を変える。


 魔眼――『魔力視』。


 樹々や茂みの向こう。

 障害物を透過して、ぼんやりと青く光る反応が浮かび上がる。


 ――ウルフ。


 僕の視界では、輪郭まではっきりと見えている。

 体長、およそ二メートル。

 単独。


「前方、右寄り。ウルフ一体です」


 小声で伝えると、隊列が即座に変わる。


 前に出るのは、大豊さん。

 大剣を構え、足取りを重く、しかし確実に前へ。


 添島さんは一歩後ろ。

 長槍を構え、全体を見渡しながら指示を飛ばす。


「焦らず。飛び出してきたら、真名が受け止めて」


 ウルフは、奇襲の機会を失った事に気付いたのか、低く唸った。


 次の瞬間――


「来ます!」


 ウルフが飛び出す。

 だが、大豊さんは一歩も退かない。


 大剣が振り下ろされ、ウルフの動きを止める。

 そこへ、添島さんの長槍が正確に突き込まれた。


 数秒。

 それで終わり。


「周囲、安全です」


 僕はすぐに周辺を確認し、近くにいたスライム達を狩るために走り回る。

 安全圏を作ってから、スライムを狩る。

 ゴブリンなら足が遅いから後ろに任せる形で、僕は周囲を走る。

 けれどウルフは足が速いので――

 添島さん達との距離を開けずに。

 いつもとは違った流れにした。


 



 少し進んだ先で、魔力反応が増えた。


 青い光を放つ二足歩行の魔物が、複数。


「中央に一体、大きいのが居ます。たぶんホブゴブリンです」

「取り巻きは?」

「3匹。左右に散ってます」

「前衛を真名と多紀君、任せていい?」

「はい」

「弥生、強化バフを皆に」

「うん」


 添島さんが即座に判断する。


「多紀君、正面で私が受ける。サポートお願い」

「はい」


 迷いの無い大豊さんに、僕も直ぐに応える。


 ホブゴブリンは腕力型。

 ゴブリンより先に突進してくるのが特徴。


 大豊さんが前に出て、正面から受け止める。

 重い衝撃音。


「玲子! 右!」


 添島さんの声に合わせて、右から襲って来るゴブリンへ鹿屋さんのウィンドショットがゴブリンの胸に大きな穴を開ける。


 僕は、ホブゴブリンの後ろから大豊さんを襲うゴブリンをレイピアで突き飛ばす。

 もちろん、魔核を狙った一撃が入る。


 左から来るゴブリンを添島さんの長槍が突き刺さし、一枝さんが短槍の追撃を入れる。


 そして、大豊さんの2撃目の横払いで、ホブゴブリンの体が上下が別れる。

 

 瞬殺と言っていい程の快勝だった。 


 近くにウルフなどの新しい反応はない。


「問題なしです」


 それを合図に、ホブゴブリンが消滅して魔石が転がった。


 



 魔物を倒す。

 周囲のスライムを処理する。

 安全圏を確保して、次へ移動。


 その繰り返し。


 魔眼による事前警告があるから、誰も慌てない。

 添島さんの指示も、的確。


「私達、ちゃんと戦えてるね」

 鹿屋さんが嬉しそうな笑みを浮かべている。


「ええ。皆、落ち着いて戦えてる」

 添島さんも、最初の頃の緊張感が無くなっていた。


 そんな言葉を聞きながら、僕は思う。


(強くない?)


 レベルが25なのだから、当然と言えばそうなんだろうけど……


(やっぱり、バスケでの3年間の積み重ねなんだろうなぁ~)


「多紀君、どうかしたの?」

 一枝さんが僕の視界へと入り込む。


「いえ、改めて思った事なんですが……」

「うん」

「同じ部活仲間で、5人も覚醒者が出るって凄いなって」

「……確かに。そういえば、同じ中学で私達以外の覚醒者って居たかな?」


 一枝さんの言葉に、添島さん達は考え込み――


「「「「いないと思う」」」」


 と、声を揃えていた。



イレーザ「この子達も、素質はあるみたいですね」

シャニア「そうね」

イレーザ「彰斗が言うには、覚醒以前からの仲間らしいですよ。それも5人。聞いた事ありませんね」

シャニア「そうね」

イレーザ「リネア様は関わってないみたいですし、こんな偶然、奇跡だと思いませんか?」

シャニア「そうね」

イレーザ「褒賞が全て却下されたからって、いつまで拗ねているんですか? そんな姿を見せたら彰斗が笑いますよ」

シャニア「そう……な訳ないでしょ! 彰斗は笑わないし! そもそも見せないから!」

イレーザ「そうですね。では次の案を早めに決めてください。」

シャニア「ぐぬぬぬぬぅ!」








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