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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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006

 教官が僕を紹介した理由を理解した彼女達も食事を終えたので、彼女達は一度、合宿ツアーの担当者の所へ向かった。自分達が別行動になっていることを運営側が把握しているのか確認するためだ。


 まぁ、僕の第一印象を話し合うのもあるんだろうなぁ。

 僕としては、薬師の子と業務提携的な関係を持てれば十分なんだよな。

 早々にハイヒールポーションとしての売り上げが見込めるのが大きいし、なんならベリー集めも手伝える。


 薬師のギフトには、ベリー類を視界に入れば遠くからでも認識できるスキルがあり、ベリー集めはお手の物。だけどスライムを見つけることは困難。

 対して魔眼のギフトはスライムだろうとベリーだろうと、目視できなくても視ることができる。範囲はあるけど。

 物が発する魔力を見るスキル『魔力視』。魔物でもベリーでも鉱石でも、魔力を出している物なら壁の向こうにあっても範囲内なら視える。ただ、素材として収穫しても良いか悪いかの判断はできないので、そこは経験を積むしかない。




「多紀君、待たせたかな」


 腕時計型の端末機を見ると12時50分。


「いえ、考え事をしていたので」

「そうか。じゃあ、彼女達も揃っているし手続きに行こうか」

「あっ」

「さっき担当者と話をしていたら当人達が現れてな。それで君が話した内容をざっと聞いてきた」

「そうだったんですね」

「あぁ、良い説明だったと思うぞ」

「ありがとうございます」




「え? 僕も武器をレンタルできるんですか?」


 揃って討伐依頼受付を済ませ、彼女達のレンタル武具の貸出しに同行したところ、なぜか僕も対象になっていた。


「ギルドからの要望だったからな。スライムなら金串で十分なんだが、どうせなら護身用込みでこれだ」


 大谷さんから手渡されたのは、細身の片手剣。いわゆるレイピアと呼ばれる武器だった。


「確かに、候補の一番目には入っていた武器です」

「そうだろう。軽くて扱いやすい。そして突きに特化した武器は魔眼持ちには最適だ」

「大谷さんもそうなんですか?」

「いや、俺はショートソードだな。完全に護身用としてな。スライム狩りに関しては別の武器というか道具を使っている」

「それは?」

「現地でな。それより、彼女達の武器も決まったみたいだぞ」


 少し離れた場所で教官と話していた彼女達が、僕達のところへ歩いてくる。


「私はこの細い剣にしました。やっぱり普通の剣はまだ重くて無理でした」


 剣闘の大豊さんが、僕と同じ鋼のレイピアが収まった腰の鞘を見せる。


「私は六尺槍です」


 僕より少し背が高い武闘の添島さんは、自身の身長よりも少し長い槍を手にしている。


「長槍ですか」

「私達には守護がいないでしょ。だから後衛の玲ちゃんと遥ちゃんを守る役目ってことで、リーダーとして指示を出す位置取りにも良いらしくて、教官に薦められたの」

「なるほど。魔物を牽制するのに丁度良い武器ですもんね」

「で、私が後ろから魔物を倒すってことで、魔道師の定番、ミスリルのバトン!」


 魔道の鹿屋さんが誇らしげに白銀の指揮棒を掲げる。


「おぉ! それ、貸してもらえるんだ」


 ミスリルは高価で、初心者ではまず持てない。だけど魔法の威力を高める魔道師には早く欲しい武器。指揮棒でも40万円ほどするらしい。


「この合宿中に、ローンの頭金以上の稼ぎが見込めるからな。だから最初から慣れさせる目的があるんだ」


 大谷さんが僕の驚きに答えてくれた。


「なるほど。ってことは豊賀さんもミスリル?」

「はい。ポリカーボネート製の盾ですが、持ち手のところだけミスリルらしいです」


 これも聖女の定番だ。

 討伐で攻撃することはほとんどなく、身を守りながら仲間を回復する聖女にとって、武器よりも大事なのは盾。そしてミスリル製なら回復の威力が段違いに上がる。

 ただし全てミスリル製の盾は高額すぎるし、女性には重くて扱いづらい。そこで生まれたのが、持ち手部分だけミスリルで、外周を、軽くて丈夫で透明な樹脂で大きくした盾だった。


「私はこの槍ですね」


 薬師の一枝さんが取り出したのは、薬師が討伐チームに参加するときの定番武器である、片手でも扱える短槍。


「それと、ハサミ」


 カチッと音を立てて腰から取り外したのは、ベルトタイプの園芸用ハサミ。

 ケースに収まり、さらにマグネットで固定されるタイプのものだ。


「それ良いですよね。僕もいずれは持とうかと思ってます」

「そうなんだ。もしかして、多紀君も素材集めするの?」

「はい。僕の眼なら遠くからでも見つけやすいので」

「へぇ〜すごいね」


 今の魔眼持ちの扱われ方を知っていれば向けられることのない視線に、僕は気恥ずかしくなる。


「でも、実際に手に取ったときに、収穫して良いのかダメなのか判断がまだできないので、それを克服できたらって思ってます」

「そっかぁ〜。そういうのもあるんだ」


「そういうことも含めて、今日は色々と教えていくからな。準備も終わったし、出発するぞ!」

「「「「「はーい!」」」」」

「…よろしくお願いします」


 いや、その返事は男の僕には無理ですよ。

 「何一人だけ丁寧な返ししてるんですか」的な視線をやめてください!



添島恵美「控え目で良さそうな子だったね」

大豊真名「見た目通りの無害さだったね」

豊賀弥生「私達にとって、良い事ですね」

一枝遥「安心できる」

鹿屋玲子「……そうね」

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