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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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◆東雲沙耶モノローグ◆


――変な子。


 それが、最初に浮かんだ感想だった。


 同じ魔眼。

 しかも初心者で、あの年齢。


 正直、期待していた。

 自分と同じ道を歩けるかもしれない、って。


 でも聞こえてきたのは――

 スライム狩り。

 ひたすら、スライム。


(……つまらない)


 才能があるのに、危険を避ける。

 上を見ない。

 伸び代を、自分から閉じている。


 そんなの、ハンターじゃない。


 魔眼は、選ばれた力だ。

 見えるからこそ、前に出る義務がある。

 危険を察知できるなら、仲間を守る役に立つべきだ。


 私はそう教えられてきたし、そう生きてきた。


 だから――

 見えるのに、安全な場所だけを選ぶ彼が、理解できなかった。



 ……そう、思ったはずなのに。


「一日で160」


 その数字を聞いた瞬間、胸の奥がざわついた。


(嘘じゃない)


 東円寺さんが言うなら、本当だ。


 しかも、四時間足らず。


(効率だけなら……私より、上かもしれない)


 認めたくない。

 でも、否定できない。


 魔眼を“戦場”じゃなく、“収集”に振り切る。

 そんな発想、私は思いつきもしなかった。


(逃げてる?)


 それとも――

 分かっていて、選んでいる?


 彼の目は、濁っていなかった。

 諦めてもいない。


 ただ、静かだった。


(……だから、気に入らない)


 強くなれるのに、強さを求めていない。

 勝てるのに、勝ちに行かない。


 それは、私が一番嫌うタイプだ。


 でも――


 東円寺さんに頭を撫でられて、

 困ったように逃げる背中を見て。


 東円寺さんは、簡単に人を認めない。

 努力も、結果も、覚悟も見てからでないと、名前すら呼ばない。


 その人が――

 あんなふうに、無防備に触れた。



(……ずるいな)


 無自覚で、評価を掻っ攫っていく。


 自分は必死に積み上げてきたのに。

 彼は、それを“当然”みたいな顔でやる。


(ああ、もう)


 だから。


 目を逸らせない。


 上を目指さないなら――

 私が、引きずり上げてやる。


 そう思ってしまった時点で、

 もう負けてるのかもしれないけど。

北条紗耶香「慶さん。沙耶ちゃんが拗ねてますよ」

東円寺慶「す……ねては……いるのか?」

北条紗耶香「います。今日、沙耶ちゃんが活躍したら頭なでなでしてあげてくださいね」

東円寺慶「いや……もう、大人の女性だぞ? セクハラになるだろ」

北条紗耶香「そうですけど。あの子まだ感情は子供ですよ?」

東円寺慶「そうなのか? でも、さすがに頭を撫でるのはダメだろ? 東雲の祖父じいさんに殴られる」

北条紗耶香「たしかに。じゃあ、ハイタッチで」

東円寺慶「俺が?! この年で!?」

北条紗耶香「丁度良いじゃないないですか、新しいダンジョンで皆のテンション上がるでしょうし」

東円寺慶「……善処する」

 

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