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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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042

 僕は、ポーション作りに向かう一枝さん達を見送ったあと、ギルド本部の売店で頼まれていたポーションを買い、活動終了報告を済ませ、装備を預けた後――


 目的は、もうすっかり慣れてしまったケーキ屋へ。


 同じ店で、三日連続。


(……流石に覚えられてるよな)


 案の定、店員さんは苦笑い混じりに声を掛けてきた。


「また、あの方達への差し入れですか?」

「はい、今日もお薦めのセットでお願いします」


 




 オベリスクの裏に回り、転移。


 視界が切り替わると、そこは神域管理室。

 円卓の上には、既にお茶の準備が整っていた。


「遅いわよ」


 腕を組んで待っていたのはシャニアさん。

 どう見ても、準備万端である。


「……今日は、まだ何も言ってませんよね?」

「言われなくても分かるの。ケーキでしょ?」


 溜息をつきながら、僕は最初に箱を差し出した。


「それじゃあ、先にこれを」

「当然よ」


 即答だった。


 そのやり取りを、少し離れた位置から見ていたイレーザさんが、静かに微笑む。


「仲がよろしいですね」


「えっ?!」

「当然よ!」



 ほぼ同時に、僕とシャニアさんが言った。


「えってなによ!」

「いえ。はい。そうですね」


(……そういえば、シャニアさんには敬語が出ない……良いのかこれ?)





 お茶が注がれ、ケーキが並び、ようやく落ち着いたところで、僕は本題に入る。


「これを……」


 赤いヒールポーションと、赤いハイヒールポーション。

 二種類をテーブルに置くと、イレーザさんの表情が少しだけ引き締まった。


「ありがとうございます。こちらで調べてみます」

「はい。やっぱり、レシピ以外の品だからですよね?」

「そうですね。問題が無ければ良いのですが……」


 イレーザさんはポーションを手に取り、静かにテーブルへと戻す。



「昨日のケーキですが――リネア様と一緒に頂きました」

「えっ……?」


 思わず声が出た。


「とても喜んでおられましたよ。こちら側の食べ物自体初めてでしたし、しかも甘味物でしたから」

「そ、それなら……もっと良い物を……」


 反射的に口にすると、即座に横から声が飛んでくる。


「ちょっと待ちなさい」


 シャニアさんだった。


「これより良い物があるなら、次はそっちを持って来なさいよ」

「あ、いえ、別にこのケーキが悪いって意味じゃなくて……」


 慌てて弁解する。


「女神様にお渡しする物って、どうしても“お供え”感が強いじゃないですか。だから、普段なら絶対に買わないようなお菓子とか……」


 一拍。


 そして、予想通り。


「それ、私にも持って来なさい」

「ですよね」


 イレーザさんから静かな圧を感じた。


「シャニアさん、リネア様は……シャニアさんが独りでケーキを食べた事を嘆いていました」

「ちょ! 言ったの!?」

「はい」

「……で?」

「前回は、守護者からの頼み事に対してのお礼だったと、私から伝えましたので、お咎め無しです。もちろん、最初のケーキを全部食べた事は話していません」

「ならいいわ……けないでしょうが! そもそも言わなければよかった話じゃん!」

「シャニアさんの行いを報告する役目を頂いてますので」

「……そうなの?」

「はい。休暇中ですが、気に掛けて欲しいと」

「……そう。彰斗」


「はい」

「リネア様に捧げるお菓子はまず私が味見します。なので私の分も用意しなさい」


 直ぐに都合の良い理由を作ったシャニアさんに、僕は素直に凄いと思った。

 そして、シャニアさんの事をちょっと理解した。


「はい」


「はぁ……」

 隣からイレーザさんの溜息が聞こえてきた。





「彰斗」


 ケーキを既にいくつか完食したシャニアさんが、少し真面目な顔になる。


「本題に戻るわね」

「はい」


「新しいダンジョンを造ったわ。ホーリーポーションを大量に配布するためのものよ」

「新しい……ダンジョン?」


 思わず聞き返す。


「理由は二つ」

 シャニアさんは指を二本立てた。

「魔素の流出量が、確実に増えていること」

「……」

「もう一つは、レベル100を超えた者が、出始めたこと」


 イレーザさんが補足する。


「処理能力が揃い始めた、という事ですね」

「そう。今が丁度いいタイミングなのよ」


 既存のダンジョン構成が頭に浮かぶ。


「レベル80が狼。100が獣魔……ミノタウロスやオーガーでしたよね」

「正解」


 そして、シャニアさんは少しだけ、意地の悪い笑みを浮かべた。


「新設は――レベル120」

「……」


「流石にドラゴンは外したわ。代わりに――」


 そこで、一拍置く。


「巨人よ」


 背筋が、ぞくりとした。


「トロール、ジャイアント、属性巨人」

「……」

「ボスは、原初巨人プロトジャイアント。力と耐久の塊」


 シャニアさんは肩をすくめる。


「力だけじゃ無理。連携も、判断力も要る」

「……選別、ですね」

「そう」


 イレーザさんが、静かに言葉を添えた。


「レベル100を超えた“資格者”を、さらに選別する場所です」

 

シャニア「ふふふ~ん♪」

イレーザ「楽しそうですね」

シャニア「だって、ここなら彰斗の活躍見れるでしょ」

イレーザ「確かに、神器に慣れるのに丁度良さそうですね」

シャニア「でしょ! 驚かせてやるんだから!」


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