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なぜかドラマ仕立ての映像を見せられて、微妙な空気になっている新規登録者講習の室内。
教官は慣れた様子で、受講者一人ひとりの前に小さい本とハンターカード、そして20万円する腕時計型端末機を置いていく。
『初心者ハンターの心得』
手に取った本をパラパラと捲ると、基本的なことはもちろん、ハンターギルドのホームページには載っていなかった細かい注意点も書かれている。
ちゃんと読まないとな。
ハンターカードは……うん、情報どおり写真付きの個人証明カードだ。
証明写真が学生服なのはちょっと失敗した気もするけど、今さらだ。
そしてこれが
僕は端末機を右腕に付けてみる。
20万円かぁ……
実物を見ても、デジタル表示の小型目覚まし時計を腕に着けているみたいなんだよな。
やっぱり、ダサい……
「全員、教本とハンターカード、端末機は届いているな? それではこの教本を使って、ハンター活動における基礎的な情報とルールを教えていく。初心者だからと『知りませんでした』は通用しない。犯罪行為は当然として、小さなルール違反にもペナルティはある。だから今から話すことはしっかり覚えるように」
浮き足立っていた受講者達の空気が一気に引き締まり、そこから30分ほどの講義では、全員が真剣に教官の言葉へ耳を傾けていた。
講義が終わり、解散の挨拶も済むと、緊張の糸が切れたように受講者達が一人、また一人と部屋を出ていく。
◆
「多紀彰斗君。少し良いかな?」
ん?
「あっ、はい!」
声の主はさっきまで講義していた教官だ。顔を上げると、その教官と、隣の席に座っていた女子5人が、テーブルを挟んで僕を見ている。
「君は午後から大谷さんと実地訓練に向かうそうだね」
「じ、実地訓練というほどじゃないですけど、スライム狩りのコツを教えてもらう予定です」
「えっ……スライム狩り?」
教官の後ろから女性の不安そうな声が漏れてくる。
ん〜……話が見えない。
「大谷さんとは話がついているんだが、彼女達のチームに薬師のギフト持ちがいる。そこで、彼女達にはポーション素材の採取から教えるつもりなんだ」
確かに薬師なら材料を採ればタダだ。自分で揃えられるならそっちの方が良い。
「君は魔眼やスライム狩りについてよく調べているそうだね」
「あ、はい」
「では、魔核絞めの魔石とポーションの関係は?」
「ハイヒールポーションですね」
「そのとおり。それも含めて、薬師がいる彼女達には知っておくべき知識がある。そこで急遽予定を変更し、君と大谷さんとの行動に彼女達も同行させたいと思っている。」
そういう事か……
「僕にとっても悪い話じゃないですけど、彼女達はそれで良いんですか?」
「問題ない。まずスライムの森でスライム狩り。その後、ロレとロナの実を採取し、コボルト討伐の経験を積む予定だ。大谷さんの了承も得ている。あとは多紀君の了承だけだ」
「分かりました。僕もそれで大丈夫です。でもコボルト狩りは見学でお願いします」
「そうか。ではその旨、私からも大谷さんに伝えておく」
ロレとロナの採取は僕も知りたかったし、ちょうどいいな。
「えっと……このチームのリーダーを任されている、添島恵美です。突然だけど、よろしくね」
「多紀彰斗です。こちらこそよろしくお願いします。あの……自己紹介も兼ねて、フードコートに行きませんか?」
この流れだと残りの四人の自己紹介がすぐ始まりそうだったので、先手を打った。
お腹、空いてるんです!
「そうね。昼食の時間も限られてるし、そうしましょう」
講師「早々に、大谷に拾われているなんて、この子は付いているいるな」
大谷「それで、良さそうな薬師の子はいますか?」
講師「一人居る。しかも5人での申し込みで既にチームが出来上がっている」
大谷「それは……俺からも付いていると言いたくなりますね」
講師「そうだな。じゃあ、会わせる。後はこの子達次第だ」




