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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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◆統括指令室◆


 彰斗がスライムの森へと飛行していく偵察機を眺めている同時期、『統括指令室』では、少しだけ緊張感を持ってドローンを操るオペレーター達。


「目標地点、通称スライムの森の上空を飛行中。サーモグラフィ画像に切り替えます。」


 メインモニターに映るのは、徘徊するコボルトの集団。


日本ハンターギルド中央本部の総司令官として、今日も業務に携わる安藤将司は、メインモニターを見詰めたまま――


「外周を一回り。その後、中心地点へと螺旋を描くように飛行。

 記録班は魔物の数と分布図を。

 ログ管理班は、過去3日間のデーターを検閲。

 何かおかしな所があれば1番モニターへ」


「「「はい!」」」


 それぞれのオペレーター達は黙々と作業を進め――


 ログ管理班の5名が、顔を見合わせながら

「これどう思う?」

「いや……この件には関係ないと思うが…」

「でも……出来ますこれ?」

「ん~今時の子供は解らんぞ」

「あっ! この子のこれが売店の青ポーション!!」

「「「「あー!」」」」


 小さなざわめき。


「何かありましたか?」


 安藤の声に、ログ管理班のリーダーが一歩前に出る。


「本件とは直接関係ありませんが……

 新人の行動ログで、少し気になるものがありまして」


 彼は続けて補足する。


「通常、移動ログは自動保存のみで、

 事件や異常値が出ない限り、誰も精査しない事はご存じだと思いますが、

 今回は、別件で過去ログを洗っていた際に偶然引っ掛かりました」


「……なるほど」


 安藤が頷く。


「モニターに」


 一番モニターに映し出されたのは、3日前の多紀彰斗のGPS軌跡だった。


 縦横無尽に走る赤い線。

 それを見た瞬間、指令室の空気が一段、静まる。


「総走行距離、62.34キロ。

 平均速度、約15キロ。

 休憩と判断される停止時間は省いてあります」


 どよめきが広がる。


「……この動きはなんなんだ?」

「止まってないっていうより……迷ってない」

「スライムの森ってことは……」


 別のログ管理員が、画面を指差す。


「多分これ、分布しているスライムへ最短経路を取り続けています。

 ……魔眼ですね、これ」


「対象者は多紀彰斗。

 ギフトは魔眼。

 ハンター登録から、まだ5日目のルーキーです」


 今度は、はっきりとしたざわめきが起きた。


「で……たぶんですが」


 ログ管理班のリーダーが言葉を続ける。


「数日前から売店に並び始めた、青のハイヒールポーション。

 あれの供給源、彼だと思われます」


「そこと繋がる?」

「えっ? なに?」

「それ調べてくれって頼まれてたやつ!」

「私も!」

「俺も!」


 次々に声が上がり、真面目にドローンを操作しているオペレーター達の眉間がピクピクしている事に誰も気付いていない。

 当然、記録班の5人も眉間に皺を寄せている。




 ここまで傍観していた安藤将司が、閉じていた口を開く。

「なるほど……多紀彰斗の5日間の行動ログの詳細をモニターに」



 初心者講習後から、大谷を臨時講師とした5人の合宿組とパーティーを組み、ポーションを大量に納めていく過程が、AIによる編集を経て流れいく。そこには、一枝遥の情報も加わり――


「薬師の子も凄くないか?」

「2日目に100個作らすとか、鬼か!」


「160……だと?」


 4日目のブラックホーンボアの顛末も記載される。


「そうだった! 聞き覚えあると思ったら、昨日のブラックホーンボアの当事者だ」


「昨日は作ってないのか」

「あれの後で、ポーション作らせたら、マジで鬼だろ」

「今日は売ってないって、知り合いが嘆いてたな」


 そして5日目の情報が、今現在の状況まで写し出される。


「女の子達、5日目でゴブリン狩りって……猪の経験値入ったなこれ」

「スタートダッシュが過ぎる」


 若いオペレーターがぼそりと呟く


「ふっ、これで彰斗は独りだけ一桁台。爆ぜろ!」

「これだから、モテないのよ」

「なにおぉ! 散々奢らせといて! お前に奢っているせいで、他の子にアプローチが出来ないんだぞ!」

「当然でしょ。 貴方は私だけに貢いでいればいいの」

「くっそ……あれさえなければ」


(また、言い合ってるなこいつら。もういいからとっとと籍いれろ)


 と、同僚達の視線は生暖かい。



 が、偵察班と記録班の面々は我慢の限界を超えていた。


「総司令! 中心地点到達! 記録班結果報告願います!」

「了解! 現時点での分布図を2番モニターに映します!

 検証の結果! 過去! スライムの森と呼ばれる以前の状態に戻った! 

 と、判断致しました!」


 静寂が訪れる――


(そういや、そんな事調べていたな)


 と、冷静になるオペレーター達。

 

 オペレーター達の視線は、総司令官 安藤将司へ


「記録班の判断でまず間違いないでしょう。偵察班、記録班、共にお疲れ様でした」


 少しだけ間を置いて、続ける。


「そして多紀彰斗君には、これからも頑張ってくれる事を、心の中で願いましょうか。」


(才能か、努力か……いずれにしても、彼を妬む者から守らないとな)


「さて、定時まであと僅かです。

 今日も平穏な1日で終わりそうですね」


 オペレーター達は思った。


(安藤総司令 ありがとう! この職場で働けてありがとう!)


オペレーター女子(ほんと、。空気を読まないんだから)

オペレーター男子(何故俺はあの時酔い潰れたんだ! なんで裸であいつの部屋で寝てたんだよ!)

オペレーター女子(あの時はホント、いい迷惑だったわ。良い感じで部屋に入れたと思ったら吐くし! 私の服と自分の服を汚したから、裸にして床に転がして置いたけど、まさかここまで引っ張れるなんてね。もうそろそろ許してやってもいい頃かな)

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