018
◆シャニア視点◆
六年ぶりに帰ってきた自分の世界は、やっぱり眩しい。
まあ、体感的には一年くらいなんだけど。
空気は澄んでいて、建物は全部白くて金の装飾が施されている。
どこもかしこも魔力に満ちていて、懐かしい匂いすらする。
ああ、やっぱり“異世界”ってこういう所よねって実感する。
……いや、こっちが私の本来の世界なんだけど。
そして戻った直後は、当然だけど──
女神リネア様へ土下座レベルの謝罪。
「シャニア、六年間のお昼寝は長すぎますよ」
「も、申し訳ございませんでしたぁぁぁっ!!」
ほとんど条件反射よ。
あの柔らかい声で怒られると、逆に心臓に悪いのよね……。
「今回はイザーラがよく働きました。あなたは反省しなさい」
「ひぇ……はい……」
こうして謁見は無事(?)終了した。
そのまま、私達使徒が暮らす神殿区画へ向かう途中、
イザーラは淡々とリネア様の言葉を伝えてきた。
「今回の件で、私は管理者の任を解かれました。長期休暇に入ります」
「……あんたはいいわねぇ……」
気付いたら漏れていた。
だって解任って言っても“功績による名誉休暇”なのよ?
そして、イザーラに任せていたダンジョン管理は全部私に戻ってくるわけで……
本当、ついてない。
「今、何か言いました?」
「何も言ってないわよ!!」
ああもう、強く言い返せないのが悔しい。
イザーラはリネア様のお気に入り。
逆らったら、また仕事が増えるだけよ。
それにしても6年ぶり……いや体感1年ぶりの故郷の食事は最高だった。
色とりどりのマナベリー、貴重な聖獣のお肉……
もう幸せすぎて昇天するかと思った。
そこで、ふと聞いてしまった。
「ねえイザーラ。彰斗って、何者なの?」
「何者、とは?」
「魔眼持ちってだけじゃないでしょ。
あの転移のされ方……完全にリネア様の手によるものよね?」
イザーラは一拍置き、当然のことのように言う。
「シャニアさんを見つけた後、リネア様に相談しました。
“魔眼を欲しがる少年がいる”とのお言葉をいただきました」
「欲しがる……って。かわいい言い方ね。つまり、女神が直接魔眼を付与したってこと?」
「そのとおりです」
「じゃあ……あの場所に転移させたのも?」
「ええ、リネア様の導きです」
うっわ……
あの子、女神の直々の祝福持ちなの?
この世界でも滅多にいないのに。
「ねぇイザーラ。あっちの世界には他に眷属っているの?」
「まだいません。しかし……候補は数人いるようですよ」
「へぇ……」
思わず足を止めてしまう。
あの少年──ただの可愛い子じゃない。
女神が“選んだ”存在。
そして……
私と多紀の間には、私の魔力をたっぷり吸った巨大スライムで得た経験値が原因で、
“眷属の一歩手前の繋がり”が生まれてしまっている。
もちろん本人には秘匿だけど。もしかしてリネア様も気付いてない?
(……ほんと、すんごい子に出会っちゃったわね)
「シャニアさん、あなたは6年サボっていたんです。これからはちゃんとしてください」
「サボってない! 寝てただけよ!!」
「同義語です」
「ぐっ……!」
また、言い負かされた……。
リネア「やっぱり、あの子には強く言えないですね」
アステリオン「最初の3人ですからね」
リネア「特にあの子はあれですから……」
アステリオン「上二人が甘やかした結果、いえ、元はと言えば、愛される資質が高すぎるのが原因でしたね」




