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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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15/63

015

 巨大スライムが霧散し、光の粒が舞い落ちていく。

 その中心から――


「いっ……たぁぁぁぁぁぁ……っ!? 何よこれぇぇぇ!?」


 光の中から、小柄な少女が転がり出てきた。


 見た目は十六歳前後。

 白い肌に長い紫銀の髪、身長は僕より少し小さい。160cmくらいだろうか。

 だが、その表情は少女らしさとは程遠い。


「ん……? ここ、どこ……って、ちょっとイザーラ!? 何であんたがいるのよ!!」


 文句を言いながら立ち上がった瞬間、

 イザーラさんが満面の笑みを浮かべた。


「目が覚めましたね、シャニアさん。6年間、お休みなさいでした」


 その笑みは、どこか嬉しさと恨みが入り混じったものだった。


「やめてよその笑顔! 絶対何か怒ってるやつでしょう!? ていうか、6年って何よ6年って!!」


 シャニアさんは、少女らしい見た目に反して、上司然とふんぞり返る。


 だが、イザーラさんの身長は180cmくらい。

シャニアさんは160cmそこそこ。


 見上げる形になってしまうシャニアさんは、露骨に悔しそうに顔をゆがめた。


「ちょ、ちょっとは気を遣いなさいよ……背、高いんだから……」

「なんでしょう?」

「なんでもないわよ!!」


 バストの差でも負けているのが気に入らないのか、

 シャニアさんは腕を組んでぷるぷる震えていた。





 シャニアさんは辺りを見回し、ようやく状況を理解したようで僕の方を見た。


「あれ? この子……誰?」


「多紀彰斗さんです」

 イザーラさんが答える。


「え、可愛い……女の子じゃないの?」

「男の子です」

「まじで!? ……え、ってか、その持ってる武器…さっきの痛みは?」


 僕は少しだけ視線を逸らした。


「……すみません。言われた通りに撃っただけで」


「そういうことなら許すわ。てか、痛くして起こすとかひどいじゃないイザーラ!」


「上司が6年間もサボっていれば当然です」

 イザーラさんが淡々と返す。


「サボってない! 寝ただけよ! 仕事は……あんたに任せてたんだから! それからさっきから6年ってなによ!」


「丸投げの言い換えですね」

「うぐっ……!」


 痛い所を突かれ、シャニアさんは思わず後ずさる。


「まあ……6年の話は後でしますが、あなたの昼寝のせいで、あなたが管理していたダンジョンはすべて私が見ていました」

「ぐぬぬぬ……!」


 シャニアさんは悔しさに震えた。



 イザーラさんは僕へ向き直り、表情を静かに戻す。


「さて、多紀さん」


「……はい」


「本来、神器を他者へ渡すという行為は、“眷属にする”という意味を持ちます。

 だから私は……慎重に、そして長く待ちました」


 銀髪を揺らし、柔らかく微笑む。


「魔眼を持つ、可愛らしい男の子が現れるのを」


 シャニアさんが「ちょっと待ってよイザーラ! それセクハラじゃない!?」と割り込んだが、

 イザーラさんは完全に無視した。


 僕も同意します。



「あなたなら、魔眼で魔核を見抜き、あの武器で届かせられる。

 そして――私達の眷属として、守護者の一員にもなれる素質があります」


 守護者……眷属……?


 初めて聞く言葉が続く。


 あれ? 


 何か思い出しそうになったけど、僕は今言わなけれならない事を言葉にした。


「……すぐに答えは出ません。今は家族のことが大事ですので」


「ええ。分かっています。急かしはしません」

 イザーラさんは深く頷いた。


 後ろでシャニアさんが「それよりまずご飯にしない? お腹空いたんだけど!」と暴れていた。


 イザーラさんは小さくため息をついた。


「……こういう方ですが、どうか見捨てずにいてください」


 その声には、上司と部下という枠以外の、また違う感じの絆の気配が見えた。



リネア「シャニアは……変わりませんね」

アステリオン「何かしら問題を起こす、親孝行な娘ですね」

リネア「ふふっ」

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