表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/27

012

 ロナの木の麓で、僕達はささやかな祝勝会をしていた。


 採れたてのロナの実は黒いトマトのような見た目なのに、口に入れると濃厚な葡萄のように甘い。

 豊賀さんが「おいしいです」と目を細め、一枝さんが「ね……甘い」と頬をゆるめる。

 添嶋さんも珍しく嬉しそうで、鹿屋さんは「……悪くないわね」と素直じゃないが上機嫌に見えた。


 強敵との初勝利。

 短時間だったけれど、仲間で味わう充実感は悪くなかった。





 夕刻が近づき、僕達は活動を終了して車へと戻った。


 運転席に大谷さん。

 助手席に僕。

 2列目に添嶋さん・鹿屋さん・一枝さん。

 3列目に大豊さんと豊賀さん。


 草原を走る車内で、大谷さんがふいに口を開いた。


「多紀君。今日の戦いぶりを見る限り、添嶋さん達とパーティを組む選択肢もあると思うが……今後はどうする?」


 ミラー越しに、後部座席の視線を感じる。


「……僕は、スライム狩りに専念します。最初に決めた通りです」


 一瞬、車内が静かになったが、すぐに添嶋さんが口を開いた。


「うん。それでいいと思う。目的があって選んでるんだもんね」


 その言葉に、大豊さんは「そっかー……ちょっと残念」と肩を落とし、

 豊賀さんは「ですが、素敵なお考えです」と微笑んだ。

 一枝さんは「うん……いいと思う」と短く。

 鹿屋さんは窓の外を見たまま無言。


 大谷さんも納得したようにうなずく。


「意思が固いなら何よりだ」


「……ただ」


 僕は続けた。


「パーティは組まなくても、魔石の買い取り相手としてなら今後もお付き合いできると思います。皆さんとの縁も大事にしたいですし」


 その瞬間、後部座席がわずかにざわついた。


「それなら……私とSNS、交換しない?」

 添嶋さんが柔らかく微笑む。


「それなら私じゃないの?」

 一枝さんがぽつりと。声はいつも通りふんわりだが、主張はしっかりしている。


 僕はどう言うべきか迷ったが、そこに


「……グループチャットに誘えばいいんじゃないの」

 ずっと黙っていた鹿屋さんが、視線を窓の外に向けたまま言った。


 言い方は素っ気ない。

 でも、その提案は一歩だけ僕に合わせてくれた距離感だった。


「そうですね。それがちょうどいいと思います」


「じゃ、それで決まりね」

 添嶋さんが微笑む。


「うん」

 一枝さんが頷き、


「いいと思うよ」

 豊賀さんが小さく付け加え、


「ありがと、多紀君。これからもよろしくね」

 大豊さんが手を挙げた。



大谷(これで……一安心だな)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ